【特撮】感想:特撮「ウルトラQ 4Kリマスター版」第17話「1/8計画」

ウルトラQ Vol.1 [DVD]

ウルトラQ 4Kリマスター版 NHK https://www4.nhk.or.jp/P5138/
放送 NHK BSプレミアム

【※以下ネタバレ】
 

第17話 1/8計画

 

あらすじ

ウルトラQ 4Kリマスター版(17)1/8計画
[BS4K] 2021年07月19日 午後11:15 ~ 午後11:41 (26分)


35mmフィルム原版から4Kリマスター。「1/8計画第三次募集中」の看板を見つけた由利子。それは人口問題解決のため、人間や建物を1/8に縮小する計画だった!


「1/8計画第三次募集中」という看板を見つけた由利子。それは人口問題解決のため、人間や建物を1/8に縮小する計画だった。間違って縮小されてしまった由利子は、懸命に万城目たちのもとへ向かうが……。もともと35ミリフィルムで制作されていた1966年放送の特撮ドラマを4Kリマスター。だれも見たことがなかった「ウルトラQ」。


【出演】佐原健二,西條康彦,桜井浩子

 
登場 … 1/8人間

 冒頭。由利子は満員電車から駅に降り立つが、人ごみにもみくちゃにされる。


 万城目、由利子、一平の三人はドライブ中、「1/8計画第三次募集中」という立て看板を見つけ、興味を惹かれた由利子は建物の中に調べに行く。係員の説明によれば、1/8計画とは人口増加対策のため人間を1/8サイズに縮小するというもので、既に諸外国でも実施されているという。縮小された後は、やはりミニチュアサイズの街に移住することになるので生活は今までと変わりはないし、何より政府が全ての面倒を見てくれるので好きな事をして暮らせるという。

 そのあと由利子は移住希望者の人の群れに押し流されてしまい、気が付くと由利子も1/8サイズに縮小されてしまっていた。直後、由利子はパスポートなしに不法に侵入したとして、手提げサイズの箱(由利子にとっては小部屋サイズ)に入れられ、出入国管理の拘置所に送られてしまう。

 由利子は拘置所にいた縮小待ちの男の力を借り、箱を建物の外に出してもらうが、箱は小川に転落して下流に流され始める。やがて箱はシスターたちに拾われ、由利子はシスターに頼んで星川航空に運んでもらう。

 星川航空では万城目も一平も不在で、しかも部屋には由利子の遺影が飾られていた。やがて万城目たちは戻ってくるが、由利子は二人の会話を隠れて聞き、自分が死んだことになっていることを知る。由利子は二人に名乗り出ることが出来ず、毎日新報のデスクに電話するものの、やはり幽霊扱いされて電話を切られてしまう。ショックを受けた由利子は万城目たちに別れの書置きを残して、1/8の街に戻ってしまう。


 多くの人が暮らす街に、突然二体の巨人が現れる。それは1/8の街に乗り込んで来た万城目と一平だった。二人は由利子が縮小されて生きていることに気が付き探しに来たのだった。二人は苦労して由利子を見つけ、元の世界に戻ろうというが、由利子は自分はもうこちらの世界で楽しく暮らしていると言い、戻ることを拒絶して二人の元から逃げ去ってしまう。そして由利子は階段で逃げる人たちにもみくちゃにされる。


(場面転換)


 万城目と一平は車で鉄道病院に駆けつける。二人は由利子が駅の階段で倒れ病院に担ぎ込まれたと聞いて飛んできたのだった。心配げな二人の前で由利子は目覚めるが、由利子は万城目と一平を見るなり、二人も小さくなってくれたと喜び、これで全ては今まで通りだと笑う。万城目と一平は由利子の言葉が全く理解できず、万城目は一平に医者を呼びに行かせるが、それに気が付かない由利子は楽し気に窓の外の光景を眺め続けていた。


 最後のナレーション『古い記録によると巨石文化時代の人類は身の丈18メートル、身の幅が5メートルはあったという。現在の人類はいつから、そして誰の手によって、どういう理由で小さくなったのか、それはまだ謎のままである。』


脚本:金城哲夫 監督:円谷 一 特技監督有川貞昌


感想

 評価は◎(面白い)。

 ウルトラQ初の「人外の存在が一切出てこない回」ですが、にも拘らず、これが無性に面白かった。日常とほんの少しだけ隔たった世界で展開される奇妙なエピソードということで、アメリカのドラマ「トワイライトゾーン」風味で、思いっきり好みのお話でした。


 人口増加対策のため人間を縮小してミニチュアの街に移住させる、というアイデアが秀逸ですし、由利子が間違って縮小されてしまうという展開も面白く、流れるように進むストーリーに最初から最後まで一瞬たりとも目が離せませんでした。

 また、特撮シーンも今回は特に楽しく、役所の隅に小さな箱があると思ったらそれが1/8人間用の部屋だったり、星川航空でのいつもの部屋で小人の由利子が巨大な電話をかけたり鉛筆を持ったり、街の向こうに突然巨人サイズの万城目と一平が現れたり、と、実に幻想的というか奇妙というかの光景が次々と展開され、「特撮」の面白さを堪能させてもらいました。


 物語の設定としては、政府が人口増加対策のため、上手い話を並べたててそれに引っかかった大衆を次々と小人にしていく、というのがちょっと不気味というかそういう話でもありました。由利子が縮小されたあとに出迎えた区長と二人の民生委員が、とにかくやたらニコニコと愛想が良いのが、却って気持ち悪かったですしね。よくよく考えると、これは一般大衆だけが小人になり、一部エリートのみ通常サイズのまま悠々と暮らす、という二極化世界の始まりなのでは……



 お話は結局、最後に「全ては由利子の見た夢だった」と種明かしされて一応決着はつくのですが、ここで面白いのは結末が決して「ハッピーエンド」ではないこと。

 由利子は目が覚めても、「全ては夢だったのね、自分は1/8にされていなかった、良かった」とは言わず、頭は現実の世界に戻ってきていません。嬉しそうに万城目と一平が小さくなってくれたと思いこんだままで、この後正気に戻ったのかどうかは視聴者の想像にゆだねられています。実に居心地が悪い空気のまま「終」となってしまうという……、この後味の悪い幕の下ろし方はなんとも大人の味わいでした。もっとも、当時これを見せられた子供たちはどう反応したのでしょうか……


 さて、この話は「1/8計画」と言っていますが、終盤に万城目たちが乗り込んだ街の様子を見ると、1/8どころではなく、もっともっと縮小されているように見えます。1/35スケールくらいじゃないでしょうか?
 
 あと、冒頭の駅の混雑ぶりがもうひどい……、放送されたのは1966年(昭和41年)ですが、当時こんなすさまじい状況だったんですね。そりゃ市民を小人にしたくなるのも解りますわ……
 
 
 
1/8計画 江戸川由利子
X-PLUS 大怪獣シリーズ ウルトラQ編 少年リック限定「1/8計画 江戸川由利子」
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