【ドラマ】感想:NHK番組「六番目の小夜子」(2000年)第12話(最終回)「そして扉が開く」

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六番目の小夜子 NHK https://www.nhk.jp/p/ts/YLVZ5L91N8/
放送 NHK総合。全12話。

【※以下ネタバレ】
 

とある中学校に伝わる「サヨコ」という不思議な言い伝え。3年に1度、先代のサヨコから指名された生徒が、秘密裏にサヨコの約束を実行し、その成果が学園生活の明暗を左右するという伝説だ。サヨコ伝説に取り組む三人の少年少女を主人公に、彼らの友情と成長を描く、ミステリー仕立ての学園ドラマ。

 

第12話(最終回) 『最終話 そして扉が開く』

 

あらすじ

燃え上がる校舎。秋(山田孝之)は、中にいた弟の由紀夫(勝地涼)を助けるため、校舎に入る。玲(鈴木杏)はサヨコの台本や花瓶を持ち出そうとして、棚の下敷きになってしまう。そのとき沙世子(栗山千明)が駆けつけ、二人で力を合わせれば助かる、と言う。二人は手を取り合って逃げ、炎と煙に巻かれて進めなくなるが、なんとか逃げ出る。偽のサヨコは、雅子(松本まりか)の仕業だったことがわかり、玲たちは新学期を迎える。

 
 北校舎が火事になり、黒川先生や玲・雅子たちはサヨコの戸棚の前に倒れていた由紀夫を助け出す。半狂乱の雅子はサヨコの戸棚から中の物を取り出そうと扉に飛びつくが、強引に黒川先生に連れ出される。

 しかし玲は雅子の落した戸棚の鍵を拾い、一人また校舎の中に戻ると、サヨコの戸棚を開けようとするが、崩れてきた瓦礫に押しつぶされて失神してしまう。そこに沙世子が現れ、玲を助け出し、二人は出口を目指して進むが、そこで一人の少女の姿と、光り輝く扉が開く光景を目撃する。

 玲と沙世子はなんとかサヨコの台本を持って校舎の外に脱出するが、雅子は二人が無事だった事よりサヨコの台本が燃えなかったことを喜ぶ。その姿に沙世子は雅子に怒りをぶつけるが、直後玲が倒れてしまう。


 玲は病院に見舞いに来た雅子とサヨコについて話す。同じころ秋もクラスメートに雅子のしたことについて説明していた。雅子の兄は「三人目のサヨコ」で、サヨコとしての使命を完璧にこなし、誰にも正体を知られること無く卒業した。雅子はその姿を見て、自分がサヨコになることを熱望していた。

 雅子はサヨコには選ばれなかったものの、新学期に沙世子が転校してくると、沙世子が死んだ「二番目のサヨコ」の生まれ変わりだと信じ込み、沙世子のサポートをするつもりで卒業アルバムのページを破り捨てた。しかし、秋が仕掛けたスライドで今年はサヨコが二人いることに気が付き、ならば自分が三人目のサヨコになってもいいと思いつき、独自に行動を開始した。

 クラス委員だった雅子は黒川先生のワープロを使うことができ、歌詞カードの作成と同時に劇の台本を印刷した。そして劇の開演前に実行委員会のところへ行き、巧みに台本をすり替えたのだった。しかし、その後の騒ぎは雅子にも予想外だったという。


 沙世子は祖母ゆりえの言葉で、ゆりえが黒川先生に頼んで自分にサヨコの鍵を送らせたこと、またゆりえが黒川先生を「一番目のサヨコ」に指名したこと、を察する。


 学期末。2-Aの生徒たちは、黒川先生から沙世子が外国にいる両親の元に行くためまた転校したことを知らされ騒然となる。玲は教室を飛び出して沙世子に追いつき、沙世子は新学期になれば別の誰かが自分の席に座るだけ、と醒めた態度だったが、玲は沙世子の方が忘れても自分は沙世子を忘れないと言う。


 最後。どこか別の学校で新しいサヨコ伝説がスタートしたような描写で〆。

感想

 雅子の「犯行」(?)の詳細とか、一番最初にサヨコを始めたのは誰だったのか、といったところも説明され満足のいく結末でした。最後の玲と沙世子のお別れシーンも泣かせました。満足!


総括

 2000年に放送されたドラマで、子役たちがその後有名なっている点で知名度が高いドラマ。しかし私としては内容が少年ドラマシリーズ(のジュブナイルSF回)っぽい展開が好きだった作品でした。しかし20年経ったら内容を見事なまでに全て忘れており(笑)、一から視聴し直しました。


 西浜中学校には不思議な言い伝えがあった。それは「3年に1度、選ばれた生徒が『サヨコ』という存在となり、三つの約束を果たすと、大いなる扉が開かれ、三年後にまた新しいサヨコが現れる」というものだった。二年生の潮田玲は、友人・関根秋がサヨコに指名されたのを知ると、強引にサヨコ役を譲り受け、今年のサヨコを演じようとするが……


 学校に伝わる都市伝説がテーマですが、「三年に一度のイベントが延々15年も引き継がれている」とか、不自然というか設定のための設定というか、の強引さがあるものの、殺人とかそういう物騒な要素無しに学園ミステリーを展開しているのは実に上手いです。玲の周りで不可思議な事件が次から次へと起こり、その真相に迫っていく過程がめちゃくちゃ面白く、毎回楽しみに視聴できました。


 真相が解ってみると、一つ一つの謎は大したことは無いのですが、関係者が
 ↓
・二人目のサヨコ:沙世子
・ゲームの仕掛け人:黒川先生
・妨害者:秋
・三人目のサヨコ:雅子

と何人もいて、それぞれの立場でサヨコ伝説について色々関わっているため、それらが合わさって、結果としてひどく難解な謎になっていたという構図が面白かった。

 また、結局謎のままの幼女(慰霊碑の側とかにうろうろしていた)とか、劇の際に壇上にいたり火事の校舎内にいたりした長髪の少女は誰だったのか、とか、文化祭で体育館の窓が割れた理由とか、そのあたり、何かしら心霊的な要素もちょこっと残して余韻を残していたのが、これはこれで良かったです。


 ということで、めちゃくちゃ面白いドラマでしたよ ヽ(´▽`)ノ
 
 

【原作】
恩田陸
六番目の小夜子
【脚本】
宮村優子
【音楽】
coba


【初回放送】
2000年4月8日~6月24日
ETVドラマ愛の詩にて放送


潮田玲 (鈴木杏)
津村沙世子 (栗山千明)
関根秋 (山田孝之)
黒川先生 (村田雄浩)
潮田真弓 (美保純)
潮田俊作 (上杉祥三)
唐沢由紀夫 (勝地涼)
花宮雅子 (松本まりか)
加藤彰彦 (山崎育三郎)

 
六番目の小夜子 (新潮文庫)