【特撮】感想：特撮「ウルトラセブン 4Kリマスター版」第２３話「明日を捜せ」

ウルトラセブン 4Kリマスター版 NHK　https://www4.nhk.or.jp/P6565/
放送　NHK BSプレミアム。

【※以下ネタバレ】
　

1967年10月1日に放送が開始された「ウルトラセブン」。当時のフィルムをデジタルスキャンし、4K・HDRでよみがえらせた4Kリマスター版を、NHKが初めて放送する。

第２３話　明日（あした）を捜せ

あらすじ

ウルトラセブン　４Ｋリマスター版（２３）「明日を捜せ」
[BS4K] 2021年08月29日午前8:00 ~ 午前8:26 (26分)

占い師・安井が「地球防衛軍の兵器開発の倉庫が爆破される」と予言。ウルトラ警備隊の調査が徒労に終わる中、キリヤマだけはもう一つの予言を頼りに背後の星人を探し出す。

１９６７年に地上波放送された『ウルトラセブン』を初の４Ｋ化・国内初放送！地球防衛軍の動脈ともいうべき兵器開発研究の要・○３（マルサン）倉庫が爆破されると予言した占い師・安井与太郎。彼は、シャドー星人に命を狙われていると主張する。ウルトラ警備隊の調査が徒労に終わる中、キリヤマだけは安井の口にした「明日を捜す」ことにこだわり、単独で調査を続行する。

【出演】中山昭二，森次晃嗣，ひし美ゆり子，毒蝮三太夫，阿知波信介，古谷敏

　
登場 … 宇宙ゲリラシャドー星人、猛毒怪獣ガブラ

　冒頭。一人の男がトラックに追い回されている。キリヤマとフルハシはポインターでバトロール中に男が前に飛び出してきたので慌てて駆け寄ると、男は「○３（マルサン）倉庫爆発」と口にする。そのあとトラックが通りかかり、運転手は男の太ももにナイフを投げつけて逃走した。

　キリヤマたちは、襲われた男、自称占い師の安井与太郎を基地まで運んで治療した。安井は水晶玉にマルサン倉庫が爆発するシーンが見えると言い、さらに爆発時にはキリヤマが怪我をするので気を付けろと警告する。マルサン倉庫とは巧妙に偽装された地球防衛軍の超兵器開発基地のため、キリヤマたちは徹底的に調査するが何も異常は見当たらない。

　非難された安井は、今度は空飛ぶ円盤が富士見ヶ原に降りたと言い出し、キリヤマは今度は富士見ヶ原を調査するが何も見つからない。キリヤマはマナベ参謀から、怪しげな予言を元に行動したことを叱責され、キリヤマはやむなく宇宙人に怯える安井をアパートに送り返さざるを得なくなる。

　キリヤマはどうしても安井の言葉が気になり、マナベ参謀に一日だけの休暇を申請し、一個人としてマルサン倉庫周辺を調査して回るが成果は無かった。ダンは一週間の宇宙パトロールから帰還するが、キリヤマが一人で調査を行っていると聞き、助力に向かう。

　夜。安井は宇宙人に拉致されてしまう。またダンとキリヤマの目の前でマルサン倉庫に火の玉が降り注ぎ、倉庫は大爆発し、キリヤマは左腕を負傷した。フルハシたちは安井の言葉を疑ったことを後悔するが、既に後の祭りだった。ダンはアマギに放射線照射装置を用意させ、これで宇宙人の秘密基地を暴こうとする。

　安井は宇宙人（シャド―星人）の基地に捕えられ、拷問を受けていた。宇宙人は彼らの計画を予知する安井の超能力を恐れていた。一方、ダンとアマギは宇宙人の基地の出入り口を発見し、内部に突入するが、山中から円盤が飛び出し、ダンとアマギは落石で失神してしまう。目覚めたダンはセブンに変身し、シャド―星人の円盤を破壊し、怪獣ガブラを倒した。

　無事生還した安井だったが、宇宙人の拷問のせいでもはや予知能力をなくしていた。しかし安井はこれでもう宇宙人に狙われることはなくなると大喜びするのだった。

脚本：南川龍・上原正三
監督：野長瀬三摩地
特殊技術：的場徹

感想

　評価は○（なかなか面白い）

　全体を流れる雰囲気、特に前半の展開が子供の視聴者を相手にしていない、大人っぽいムードの一作。セブンというと、こういうアダルトなイメージが強いので、なかなか楽しめたエピソードでした。

　冒頭、視聴者に何の説明もなくトラックに追い回される男の必死の逃亡シーンからスタート。助けられたものの、荒唐無稽な予言をしてフルハシたちから笑いものにされる安井。しかしキリヤマは自分の勘を信じ、私人として調査を続行する……、前半はダンが全く登場せず、またキリヤマが初公開の背広姿を見せて地道な調査に当たったりするなど、いつもの子供向け特撮物の空気は全く影を潜めており、何か刑事物を見ている様な感覚に襲われました。

　基地から放り出されそうになる安井が、必死に「今日が駄目なら明日（あした）……、そうだ、明日を捜せばいいんですよ！」と懇願するシーンなども、サブタイトルにかかる台詞が有るため妙に印象的でした。

　まあ、さすがに後半は便利な装置を使って透明宇宙人の基地を暴き、宇宙人を次々とぶっ倒し、アクション満載で怪獣も退治し、と特撮ヒーロー物のノルマはこなしていました。さすがにメトロン星人回「狙われた街」のように最初から最後まで子供視聴者無視で押し切るわけにもいかなかったのでしょう。

　でも、最後に予知能力をなくした安井が「宇宙人にもう狙われなくて済む」と大喜びするあたりは、やはりちょっと大人の感覚という気がしました。

　ところで、夜中、安井がしゃがみこんで泣いている女性に声をかけ、女性が振り向くと宇宙人の顔！→安井が慌てて近くの店に飛び込み店員が振り向くと宇宙人の顔！！→安井がタクシーを止めて乗り込み「どうしたんですお客さん？」「宇宙人に追われているんだよ！」「そりゃ大変だ……」と答えた運転手の顔がミラーに映ると宇宙人の顔！！！　って、この流れ、のっぺらぼうの出て来る「むじな」って話そのまんまですが(笑)　なんかこう、シャド―星人も妙におちゃめなところがあります(笑)
　
　
シャド―星人

猛毒怪獣ガブラ