【歴史】感想:歴史番組「ダークサイドミステリー」シーズン3(2021年版)「超常実録! 本当にあった!? 日本史怪事件ファイル」(2021年8月12日(木)放送)

稲生物怪録絵巻集成

ダークサイドミステリー NHK https://www.nhk.jp/p/darkside/ts/4847XJM6K8/
放送 NHK BSプレミアム。毎週木曜夜9時放送。

www.nhk.jp
【※以下ネタバレ】
 

他の回の内容・感想

perry-r.hatenablog.com
 

本当の謎は、人間の闇


背筋がゾワゾワ、心がドキドキ、怖いからこそ見たくなる。世界はそんなミステリーに満ちている。世間を揺るがした未解決の事件、常識を越えた自然の脅威、いにしえの不思議な伝説、怪しい歴史の記録、作家の驚異の創造力…。こうした事件・出来事を徹底再検証!
人智を超えた謎に迫る「幻解!超常ファイル」を拡大スピンオフ!今度は人間や自然が生み出した謎と恐怖に満ちた事件・伝説の正体に、栗山千明志方あきこ中田譲治のダークなトライアングルで引き続き迫ります。

 

超常実録! 本当にあった!? 日本史怪事件ファイル (2021年8月12日(木)放送)

 

内容

「超常実録!本当にあった!?日本史怪事件ファイル」
初回放送日: 2021年8月12日


日本人は見た!妖怪・幻獣・ひかりもの!実際の記録に残る怪異の数々、その魅力を探る!妖怪ドキュメント「稲生物怪録」、アマビエ一族「予言獣」、謎の発光物体の正体は?

 
 今回のテーマは「日本史の中の怪異」。


●江戸時代の妖怪ドキュメンタリー本

 「稲生物怪録」(いのうもののけろく)は江戸時代の稲生平太郎という少年が一ヵ月に渡って体験した妖怪目撃談を記録したドキュメンタリー本である。


 1749年(寛延2年)5月。現在の広島県三次市に住んでいた平太郎少年は友人と百物語を行うが妖怪は現れなかった。ところが一か月後の7月1日から平太郎の家に妖怪が現れ、平太郎を脅かし始めた。最初は怯えていた平太郎だったが、日にちが経つとだんだん慣れて平気になってしまい、妖怪側も日にちが経つとネタが切れたのか、虚無僧が現れて安眠を妨害するとかの嫌がらせレベルにまで落ち込んだ。妖怪出現は一か月間続いた。

 平太郎は大人になって武太夫(ぶだゆう)と改名したが、知人たちに少年時代の体験を語って聞かせ、友人がそれを聞き取って本にまとめている。1783年、武太夫は江戸勤務になると、自ら話に絵を追加した物を執筆し、結構な人気本となった。

 ところが1795年、広島藩主から、妖怪話を現実の事のように語るのは人心を惑わすと叱責され、以後妖怪話を禁じられる。1803年、武太夫は68歳で亡くなる。


 国学者平田篤胤(ひらた・あつたね)は「稲生物怪録」に大いに興味を抱いていた。彼は異界の存在を信じており、この本がそれを証明する証拠になると考えていた。篤胤は本の最終日に、平太郎が氏神に守られたこと、魔王から槌をもらったという記載を見て、これこそ異界の存在を示す証拠だと考えるが、研究半ばの1843年に亡くなってしまう。

 10年後。篤胤の弟子が三次市を訪ね、寺に奉納されているという槌が実在していることを確認した。そして様々な版の物怪録を集めた「平田本」を発行した。

 稲生物怪録は、江戸時代もそれ以降も創作者の興味を呼び、泉鏡花稲垣足穂京極夏彦水木しげる等がネタにしている。



●予言する獣たち

 日本の歴史には古来から、未来を予言する「予言獣」か記録されている。

 最近有名になったのは「アマビエ」。「今後6年は豊作が続くが、同時に疫病が流行するので、自分の姿を描き写した絵を見せるように」と言ったとされる。

 ところが、アマビエに関する記録は瓦版一枚しか無く謎の存在だった。しかし、アマビエによく似た名前の「アマビ<コ>」という予言獣の記録は結構あり、どうやら名前の書き間違えらしい。

 アマビコは、瓦版毎に微妙に異なるものの、概ね「手足が三・四本、体毛が生えており、病気の予言をして、遭遇したのは柴田なにがしという人物」というところは一致している。

 しかしアマビコが出たという現地にはそういう記録はなく、どうやら瓦版業者がでっちあげた、今風に言うとフェイクニュース上の存在だった模様。そして、アマビコネタがウケたのを見た他の瓦版業者が、ちょっと改変して真似した物を作成して、という形で、次々と微妙に異なるアマビコが出現したらしい。

 明治になると、「絵を描いて貼れば疫病が予防できる」というアマビコは、正しい疫病対策の害になるということで禁止された。


 それに代わって出現したのが、牛の体に人の首が付いた予言妖怪「件(くだん)」。件は明治には戦争の勃発を、昭和には戦争の終結や空襲対策などを予言したという。実は件には立派な元ネタ、というか、本当に人の顔に見える牛が生まれた、という事実がある。2004年には民家から件の剥製が発見されたが、レントゲンで撮影しても作り物の様子は見当たらなかった。

 件は戦争の終結など、人々が思っていても大っぴらに言えないことを代わりに言ってくれる対象だったのかもしれない。



●謎の発光現象

 日本史には奈良時代から、謎の発光現象「光物/ひかりもの」が記録されている。

 鎌倉時代。公文書「吾妻鏡」には、三代将軍・源実朝が屋敷で謎の女性と怪光に遭遇し、翌日地震が発生したという記載がある。この本には合計11か所も光物の記載が存在する。

 また室町時代には、政治などの記載と共に、光が空を横切った後大きな音がした、といった記録がある。これらは、隕石の落下、火球、等で説明可能だが、寺の上に謎の光が存在したといった説明のできない記載もある。

 江戸時代になると、大洪水の際に謎の光によって水がせき止められ命が助かった、あるいは、津波が襲来したが光によって二つに分かれ人々が助かった、という記録がある。前者は山崩れが発生し、その際に岩が衝突して火打石の原理で光が発生していて、その土が水を遠ざけた、と考えられる。後者は津波のせいで海底の可燃性ガスが海面に浮上し静電気で発光した、と推測される。つまり光と助かった原因は関連が無かったが、当時の人たちは助かった理由を考え続けた末に、光と結びつけたのだと思われる。


感想

 今回は歴史の中の怪異三本立て。特に心をえぐるダークさとかはありませんが、まあこういう回があっても良いでしょう。
 
 

光と闇のナビゲーター 栗山千明
MC 青井実 (アナウンサー)
語り 中田譲治
テーマ音楽 志方あきこ

 
 

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