ダークサイドミステリー NHK https://www.nhk.jp/p/darkside/ts/4847XJM6K8/
放送 NHK BSプレミアム。毎週木曜夜9時放送。
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【※以下ネタバレ】
他の回の内容・感想
本当の謎は、人間の闇
背筋がゾワゾワ、心がドキドキ、怖いからこそ見たくなる。世界はそんなミステリーに満ちている。世間を揺るがした未解決の事件、常識を越えた自然の脅威、いにしえの不思議な伝説、怪しい歴史の記録、作家の驚異の創造力…。こうした事件・出来事を徹底再検証!
人智を超えた謎に迫る「幻解!超常ファイル」を拡大スピンオフ!今度は人間や自然が生み出した謎と恐怖に満ちた事件・伝説の正体に、栗山千明、志方あきこ、中田譲治のダークなトライアングルで引き続き迫ります。
内容
「読むと危険?奇書“ドグラ・マグラ”と夢野久作の迷宮世界」
初回放送日: 2021年8月5日読むとおかしくなる?ウワサの作家・夢野久作。幻想!猟奇!美少女!虚構と現実!読んだらハマる!らしいけどけどちょっと怖い?あなたの知らないあなたがそこにいるかも?
今回のテーマは「夢野久作」。
●夢野久作ワールド
人気アニメ「文豪ストレイドッグス」でも名前が出て来る奇書「ドグラ・マグラ」。その作者として現代でも人気の夢野久作。
夢野久作が活躍した大正から昭和初期は、海外から探偵小説という新しいジャンルの小説が入ってきて人気を博していた。久作は探偵小説を独自に解釈し、名探偵も名犯人も出てこない、斬新な小説を書いていった。
・作品 其の一「瓶詰の地獄」(ネタバレ)
海岸に封をした三本の瓶が流れ付き、その中にはそれぞれ手紙が入っていた。第一の手紙は兄妹が親に助けを求めるもの。第二の手紙は、孤島に二人だけで暮らしていた兄妹が罪の意識から身投げするというもの。第三の手紙は、孤島に二人だけで暮らしている兄妹の兄が、美しく成長していく妹への性的な欲求を抑えきれなくなって苦悩するという物。
瓶の手紙がどの順番で書かれたのか、本当に二人は身投げしたのか、等、はっきりしないまま終わる。
●生い立ち
夢野久作、本名杉山直樹は、1989年(明治22年)に九州・福岡の名家に生まれる。大正3年・25歳の時、上京して住み込みで働くが、ある日川のほとりで対岸にいた男がハンマーで殴られてそのまま川に放り込まれる、という事件を目撃する。しかしその一件は新聞にも載らず、人間社会の闇を知ることとなった。
大正9年・31歳の時、福岡に戻り新聞記者になる。37歳で作家デビュー。「いなか、の、じけん」「空(くう)を飛ぶパラソル」「少女地獄」など、美しさと残酷さを合わせた作品を次々と発表する。
●自分探し
・作品 其の二「押絵の奇蹟」(ネタバレ)
昭和4年・40歳の時の作品。美人ピアニスト・井ノ口トシ子が病で倒れ、死が近いトシ子が歌舞伎役者・中村半次郎に手紙を書く。トシ子の生い立ちから始まり、トシ子と半次郎は、トシ子の母と半次郎の父・中村半太夫との不義の関係の末に生まれた双子では無いか、云々という内容。
久作は一歳の時両親の離婚で母ホトリと引き離されており、物語の舞台を自分の生地と同じ福岡にすることで、自分探しをしたのではないか。
「ドグラ・マグラ」は昭和10年・47歳の時の作品。探偵小説三大奇書ともいわれる夢野久作の代表作。構想十年、執筆十年の大作。
主人公「私」は見知らぬ部屋で目覚めるが、記憶を一切失っていた。やがて「私」は九州帝国大学医学部精神病科にいることが解る。「私」の記憶を取り戻すことが、ある殺人事件の解決に結びつくということで、「私」の記憶を取り戻す旅が始まる。やがて「私」は「ドグラ・マグラ」という小説を見つけ、物語は小説の中で別の小説が展開される二重構造となる。主人公をお兄様と呼ぶ謎の美少女は何者? 主人公の出生の秘密は? 心理遺伝とは何か? 謎が謎を呼ぶ物語が展開される。
久作自身が日記で「書くのが耐えられない」云々と書くほど難解な小説。矛盾だらけの内容が、しかしそれだけに読者をひきつけてやまない。
感想
今回は夢野久作特集。歴史の紹介というより、人気作家の紹介番組でした。まあ、過去にラヴクラフト紹介回も有ったし、それと似たようなもんか。なんにせよ、名前だけ有名な「ドグラ・マグラ」は、内容は知らなかったので、今回の番組はなかなかためになりました。
ちなみに小説パートの朗読には浪川大輔が登場してました。