ウルトラセブン 4Kリマスター版 NHK https://www4.nhk.or.jp/P6565/
放送 NHK BSプレミアム。
【※以下ネタバレ】
1967年10月1日に放送が開始された「ウルトラセブン」。当時のフィルムをデジタルスキャンし、4K・HDRでよみがえらせた4Kリマスター版を、NHKが初めて放送する。
第26話 超兵器R1号
あらすじ
ウルトラセブン 4Kリマスター版(26)「超兵器R1号」
[BS4K] 2021年09月19日 午前8:00 ~ 午前8:26 (26分)
地球防衛のための超兵器「R1号」が生物がいないはずのギエロン星へ発射された。ギエロン星は消滅し、実験は成功したが、そこから地球を目指し飛んでくる影があった。
1967年に地上波放送された『ウルトラセブン』を初の4K化・国内初放送!地球防衛のための惑星攻撃用超兵器「R1号」が発射された。実験目標は生物がいないとされたギエロン星。新型水爆何千個分もの威力にギエロン星は吹き飛んだ。実験は成功したが、地球人の過剰な戦略兵器開発を喜べないダン。やがて、ギエロン星から地球を目指して飛んでくる影。R1号の放射能の影響で変異したギエロン星獣だった!
登場 … 再生怪獣 ギエロン星獣
地球防衛軍は水爆8000個分もの破壊力を持つ超爆弾「R1号」の開発に成功し、早速テストが行われることになった。しかもR1号は実験用に過ぎず、今後より強力な爆弾の開発も予定されていた。フルハシたちは、超兵器の威力が宇宙人たちに知れ渡れば、地球が侵略されることも無くなると大喜びだったが、ダンは自衛目的なら何をしても良いのかと疑問を抱く。
R1号のテストのため、シャール星座第7惑星である無人惑星・ギエロン星が選ばれ、ギエロン星はR1号によって完全に破壊された。ところがギエロン星の有った場所から飛行物体が飛来し、実験を観測していた宇宙艇を破壊してしまう。
確認のため大気圏外に出たダンたちは、巨大な生物(ギエロン星獣)が地球に向けて一直線に向かっていることを確認する。ギエロン星には実は生物が暮らしており、R1号の影響で突然変異を起こしたらしかった。ギエロン星獣は地球に到達するものの、ウルトラ警備隊はすぐさま攻撃を加え、ギエロン星獣を倒した。
ところが夜の間にギエロン星獣は再生し、またも活動を開始した。しかもギエロン星獣の発する煙はR1号の出した猛烈な放射線を含んでおり、東京に到達する危険が出てきた。ウルトラ警備隊は猛攻を加えるものの、ギエロン星獣に太刀打ちできず、ダンはセブンに変身してギエロン星獣を倒した。
戦いの後、ダンはタケナカ参謀に超兵器の開発中止を訴えようとするが、その心情を見抜いていたタケナカ参謀は、自分からR2号の開発中止を進言するというのだった。
脚本:若槻文三
監督:鈴木俊継
特殊技術:的場 徹
感想
評価は○(有名回)
「血を吐きながら続ける悲しいマラソン」の台詞で有名な回。軍拡批判をストレートに盛り込んだ、大人のテイストのエピソードで、満足度はなかなかでした。
軍拡競争のむなしさを真正面から描いた大人向けの回で、放送されたのは1968年ですが、キューバ危機勃発が1962年の話で、当時は東西冷戦の真っ最中でしたので、リアルタイムに視聴していれば、よりメッセージが生々しく伝わったものと思われます。軍拡競争に対する危機感・恐怖感は、現在(2021年)とは比較にならないような深刻さだったのでしょうね。
母星を破壊されたギエロン星獣が地球を襲撃しますが、明白に地球人の方が加害者であり、復讐されても文句の言える立場ではありません。そしてヒーローの筈のセブンがその加害者の悪の地球人の側に立って、被害者のギエロン星獣に攻撃を加えるという展開は、見ていてなんともモヤモヤした物を感じさせます。
戦いの最後も、爽快な光線技などでとどめをさすのではなく、手に持ったアイスラッガーで首を切り裂いて殺す、という生々しい決着の付け方が嫌な感じで心に残ります。スタッフが徹頭徹尾、単純な娯楽作品で終わらせたくなかったということが伺えます。
最後は、一応タケナカ参謀がR2号開発中止を進言するつもり、と言って希望を持たせた感じで〆ますが、別にそれで開発中止が確定したわけではなく、ダンの苦悩をよそに、R2号以降の開発もずっと続いていくかもしれません。視聴者を楽観的な気分で終わらせないように、結末はちゃんと、ダンがネズミがクルクル車を回しているのを見て暗い顔になる、という思わせぶりなシーンで終わりますしね。なんとも暗い回でありました。
ところで、セガワ博士はギエロン星獣が再生復活したのを知り、R2号を急いで開発してそれで攻撃したい旨述べますが、R2号は地球を破壊可能なレベルの爆弾だったのでは……
再生怪獣 ギエロン星獣
他の回の内容・感想は以下のリンクからどうぞ
perry-r.hatenablog.com
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