【SF小説】感想「アクアマリンの再会」(宇宙英雄ローダン・シリーズ 649巻)(2021年9月16日発売)

アクアマリンの再会 (ハヤカワ文庫 SF ロ 1-649 宇宙英雄ローダン・シリーズ 649)

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アクアマリンの再会 (ハヤカワ文庫 SF ロ 1-649 宇宙英雄ローダン・シリーズ 649) 文庫 2021/9/16
H・G・エーヴェルス (著), クルト・マール (著), 鵜田 良江 (翻訳)
出版社:早川書房 (2021/9/16)
発売日: 2021/9/16
言語:日本語

【※以下ネタバレ】
 

惑星ボンファイアに到達したブル、コチストワはヴォルカイルと出会い、"ネットウォーカー"に会うため惑星アクアマリンへ向かう


ストーカーから永遠の戦士の地位をあたえられたハルト人のドモ・ソクラトは、輜重隊員を徴募するため、かつてハルト人の流刑惑星だったテルツロックに向かった。そこでなら好戦的な住民も多く、輜重隊への志願者が殺到するだろうと考えたのだ。ところが、テルツロックのハルト人は変化した暴力クリスタル、テルツォロスのせいで極端な平和主義になっていて戦いに興味をしめさない。そこでソクラトは一計を案じるのだが!?

 

あらすじ

◇1297話 ソト決闘(H・G・エーヴェルス)(訳者:鵜田 良江)

 ドモ・ソクラトは、兵士を集めるため、ハルト人の同族テルツロック人が住むマゼラン星雲の惑星テルツロックにやってくるが、やがてストーカーもティグ・イアンの大艦隊を逃れテルツロックに落ちのびてきた。ストーカーはティグ・イアンを挑発し一対一の決闘に持ち込むが、敗北して瀕死となり、ティフラーたちによって惑星外に脱出させられた。ティグ・イアンは銀河系評議会に対し、事実上の銀河系占領を通達した。(時期:NGZ430年7月15日~9月15日)

※初出キーワード=テルツォロス



◇1298話 アクアマリンの再会(クルト・マール)(訳者:鵜田 良江)

 力の球形体エスタルトゥ。ブルたちは、エルファード人ヴォルカイルの導きで、アブサンタ=シャド銀河の惑星ボンファイアを訪問し、さらにようやく見つけたヴォルカイルから情報で、ゴリム基地があるという惑星アクアマリンを目指した。ブルは、アクアマリンでペリー・ローダンと再会し、ローダンたちがゴリムこと「ネットウォーカー」になっていることを知らされた。ローダンは再訪を約束してどこかへと旅立った。(時期:NGZ430年6月14日~)

※初出キーワード=惑星ボンファイア、惑星アクアマリン、ネットウォーカー、コスモヌクレオチド・ドリフェル


あとがきにかえて

・「ソト決闘」に登場するキャラ「ウクラー・ヴェーセン」の話
・日本版ローダン50周年の話


感想

・前半エピソード 原タイトル:ZWEIKAMPF DER SOTHOS(意訳:二人のソトの戦い)

 二大ソトの対決とストーカーの敗北、銀河系がティグ・イアンに事実上占領される、と、極めて重大な内容のエピソードなのですが、全然そんなシリアスな話の気がしない……

 それというのも、エーヴェルスがいつものように個性が超強いオリジナルキャラを持ち出して来て、縦横無尽に活躍させているので、本筋の方がかすんでいるから(笑)

 翻訳の鵜田良江先生が「あとがきにかえて」で詳しく書いてくれているのですが、独自キャラ・ウクラー・ヴェーセン(本名ウヴェ・クラ―セン)はエーヴェルスが実在のファンを元に創造したキャラで、以前に外伝の「白い寺院」という作品で登場し、ローダンの愛読者がロルヴィクやハイヌと絡んだ挙句ローダン世界に吸い込まれた、という経歴の持ち主だそうで(笑)

 作中でも、以前のア・ハイヌを思い出させるような奇行を演じたり、ストーカーにサインをねだったりする、という個性が強すぎるふるまいをするので、殆どコント状態で、決闘に負けて意識喪失寸前のストーカーにサインをしてもらうシーンなんか、もう感慨とかそういうのが一切感じられない……、いくらエーヴェルスが長老作家でも、こういう重要な回にオリジナルキャラで笑いを取るのは止めて欲しかった……

 あと、「9章 エピローグ」でいきなりアダムスが「銀河系はティグ・イアンに占領されてしまった」云々と嘆いていますが、何故戦わずに負けているのかその理由が全く分からない……、以前に公会議に負けた時ほど戦力差があるとは思えず、銀河系種族が大同団結すれば追い払えるのでは? 相手の母国は4000万光年の彼方で補給もロクにできない距離だというのに……、全く納得できない……



・後半エピソード 原タイトル:DER GORIM VON AQUAMARIN (意訳:アクアマリンのゴリム)

 ブルが惑星ボンファイアで色々時間を潰した挙句に、ようやくローダンと再会します。主役のローダンは何話ぶりの登場でしょうか? そして、ついに出ました「ネットウォーカー」。死語「ネットサーファー」と似たような語感でイマイチピンと来ないのですが、慣れてくればありになるのかな……
 
 

600巻~650巻(「クロノフォシル」サイクル)の他の巻の内容・感想は以下へどうぞ

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ローダン・シリーズ翻訳者一覧は以下へどうぞ

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