【SF小説】感想「ネットウォーカー」(宇宙英雄ローダン・シリーズ 650巻)(2021年10月5日発売)

ネットウォーカー (ハヤカワ文庫 SF ロ 1-650 宇宙英雄ローダン・シリーズ 650)

http://www.amazon.co.jp/dp/4150123403
ネットウォーカー (ハヤカワ文庫 SF ロ 1-650 宇宙英雄ローダン・シリーズ 650) 文庫 2021/10/5
エルンスト・ヴルチェク (著), クルト・マール (著), 嶋田 洋一 (翻訳)
出版社:早川書房 (2021/10/5)
発売日:2021/10/5
文庫:300ページ

【※以下ネタバレ】
 

ローダン、アトラン、グッキーらに、アラスカはドリフェルを守り永遠の戦士たちと戦うための組織"ネットウォーカー"を紹介する


ロワ・ダントンとロナルド・テケナー、その妻ふたりとシガ星人三名は、ムリロン人ヴェト・レブリアンとともに、戦士イジャルコルの船に随行して惑星エトゥスタルに向かっていた。エトゥスタルはアブサンタ=ゴムとアブサンタ=シャド両銀河が重なるゾーンにあり、超越知性体エスタルトゥの居所だという。ダントンとテケナーが足を踏み入れたその惑星は“エスタルトゥの庭園”と呼ばれ、まるでパラダイスのようだった…。

 

あらすじ

◇1299話 エスタルトゥの庭園(エルンスト・ヴルチェク)(訳者:嶋田 洋一)

 ロワ・ダントンたちは、超越知性体エスタルトゥの居所である惑星エトゥスタルに到着したが、エスタルトゥとは接触できないままだった。やがてダントンたちは、エスタルトゥが遥かな過去に異領域の住人の救助のため姿を消し、後を任された補助種族プテルスが「第三の道」を歪んで解釈し、恒久的葛藤という支配に走ったことを知る。ダントンたちは自分たちの精神がティグ・イアンと接続され利用されていることを知り、それを切断したが、その罰としてオルフェウス迷宮への永久追放を宣告された。(時期:~NGZ430年9月13日)(「クロノフォシル」サイクル完結)

※初出キーワード=形態形成フィールド


◇1300話 ネットウォーカー(クルト・マール&エルンスト・ヴルチェク)(訳者:嶋田 洋一)

 NGZ445年。ローダンの娘「エイレーネ」は、16歳の誕生日と共に「ネットウォーカー」の一員となった。ネットウォーカーとは永遠の戦士と戦うために、プシオン・ネットを自由に移動する力を授けられた者たちの事だった。

 五万年前、コスモヌクレオチド・ドリフェルが変化を起こしてプシオン・ネットが移動用に使用できるようになり、以後も永遠の戦士たちは十二銀河の「奇跡」を使ってドリフェルに干渉していた。ネットウォーカーは、クエリオン種族が、永遠の戦士のドリフェルへの干渉をやめさせ元の状態に戻すため作った組織だったが、未だ何の成果もあげられていなかった。

 NGZ445年9月。エイレーネはプシオン・ネット経由でドリフェル・ステーションに向かうが、同じ頃ドリフェル近傍に突然小惑星が出現し、その影響でネットは大混乱となったため、エイレーネは「惑星ソム=ウサド」に墜落し「ソム=ウサド人」に捕まってしまった。(時期:NGZ430年~NGZ445年9月)(「ネットウォーカー」サイクル開始)


※初出キーワード=惑星サバル、コスモジーン、プシオン刻印、宇宙プシ定数、ピココンピュータ・システム、ダータバル銀河、カリュブディスのセイレーン、銀河系のゴルディオスの結び目、スティギアン・ネット、惑星ソム=ウサド、ソム=ウサド人、丸太


あとがきにかえて

・八月に色々やったこと、の話
・今後の仮題(1301話~1350話)


感想

・前半エピソード 原タイトル:IM GARTEN DER ESTARTU(意訳:エスタルトゥの庭)

 サイクル最後のエピソードですが、実にあっさりした内容で拍子抜け。まあ、1000話台に入ってからのローダンは、サイクルの最後で盛り上げるという風習は無くなってしまいましたね……

 恒久的葛藤だの戦争崇拝だのの元凶がプテルス種族と判明しましたが、プテルスが権力欲とかそういうのでやらかしているのではなく、あくまでご主人エスタルトゥの残した方針を遵守したらこうなっちゃいました、というオチがなんとも意外。


・後半エピソード 原タイトル:DIE GANGER DES NETZES (意訳:ネットの利用者)

 新サイクルスタート。元々女性キャラの少ないローダンですが、16歳少女エイレーネの登場でちょっと華やいだ雰囲気となりました。こんな若いキャラの参加は第三勢力時代(!)のベティ・タウフリー以来ですよ。

 しかし、ローダンたちは「過去五万年活動しているが何の成果も上がっていない」というポンコツ組織の一員としてのスタートとなり、いきなり前途多難過ぎる…… あとカルフェシュのネットウォーカー組織への評価が辛辣過ぎてちょっと笑えました(笑)
 
 

600巻~650巻(「クロノフォシル」サイクル)の他の巻の内容・感想は以下へどうぞ

perry-r.hatenablog.com

650巻~675巻(「ネットウォーカー」サイクル)の他の巻の内容・感想は以下へどうぞ

perry-r.hatenablog.com

ローダン・シリーズ翻訳者一覧は以下へどうぞ

perry-r.hatenablog.com