【特撮】感想:特撮「ウルトラセブン 4Kリマスター版」第33話「侵略する死者たち」

ウルトラセブン Vol.1 [DVD]

ウルトラセブン 4Kリマスター版 NHK https://www4.nhk.or.jp/P6565/
放送 NHK BSプレミアム

【※以下ネタバレ】
 

1967年10月1日に放送が開始された「ウルトラセブン」。当時のフィルムをデジタルスキャンし、4K・HDRでよみがえらせた4Kリマスター版を、NHKが初めて放送する。

 

第33話 侵略する死者たち

 

あらすじ

ウルトラセブン 4Kリマスター版(33)「侵略する死者たち
[BS4K] 2021年11月07日 午前8:00 ~ 午前8:26 (26分)


地球防衛軍の基地周辺で奇怪な交通事故が頻発。その夜、基地に収容された死体から影、シャドウマンが抜け出し、地球防衛軍の秘密基地の位置を記したフィルムを持ち出す。


1967年に地上波放送された『ウルトラセブン』を初の4K化・国内初放送!世界中の地球防衛軍秘密基地情報が収められたマイクロフィルムが極東基地に移送された。そのころ、極東基地周辺で奇怪な交通事故が頻発。事故の被害者は皆、何者かに蘇生され動かされていた死体だった。その夜、基地に収容された死体から影、シャドウマンが抜け出し、金庫からマイクロフィルムを持ち出しはじめた。全て影を操る侵略者のたくらみだった。


【出演】中山昭二森次晃嗣ひし美ゆり子毒蝮三太夫阿知波信介古谷敏

 
登場 … 蘇生怪人 シャドウマン

 マナベ参謀とキリヤマ隊長は、潜水艦でパリ本部から日本に重要書類を持ち帰った。その中身は地球防衛軍の秘密基地の所在を記したマイクロフィルムだった。

 同じ頃、基地周辺でフルハシの運転するポインターが、いきなり飛び出してきた男を跳ね飛ばしてしまい、慌てて基地のメディカルルームに運び込む。メディカルルームには既に同様の状況で運び込まれた死体が8体も並んでいた。さらにフルハシたちが運んだ男がいきなり襲い掛かってきたため、ショック銃で撃ったところ、その男も死んでしまう。

 男たちは全員身元を示すものを所持しておらず、またホルマリンで濡れていた。フルハシたち近所の病院を調べ、男たちが解剖に使われるはずの身元不明者の死体だった事を突き止める。

 キリヤマは死体を調べさせるものの、特に細工したような跡はなく、何故死体が動いたのかわからない。それでもキリヤマはダンに死体を見張るように命じるが、深夜、死体から霊魂が抜け出すと影となって基地内を徘徊し、易々とマイクロフィルムを盗み出ししまう。キリヤマたちは、マイクロフィルムが消えたことを知り、直ちに警戒態勢に入るが、影が相手では手の打ちようがなかった。

 ダンは、死体のそばで感じた感覚から、何者かが死体の霊魂が操っていると直感し、セブンに変身するが、霊魂相手に手も足も出ず、ミクロ化されてコップに閉じ込められてしまう。セブンはエメリウム光線で部屋の中に火事を起こし、駆け付けた隊員たちがコップを倒したことで解放される。

 ダンは何者かが死者の霊を念力で操っているという予想を話すが、その間にマイクロフィルムはどこかに電送されてしまっていた。キリヤマたちは電送先の都内K地区に急行するが、そこには廃墟しかなく、電波は中継アンテナでさらに宇宙に送られていた。

 ダンはウルトラホーク2号で宇宙に飛び、宇宙人の宇宙船と遭遇するが、ホーク2号は破壊されてしまい、セブンは宇宙船に攻撃を仕掛けるものの、捕らえられてしまう。そこにウルトラホーク1号が到着してセブンを解放し、セブンが宇宙船を破壊した。

 最後。無事に帰還したダンが他の隊員たちに手荒く歓迎されているところで〆。


脚本:上原正三
監督:円谷 一
特殊技術:高野宏一


感想

 評価は○(予想よりは面白かった)

 宇宙人が姿を見せず、代わりに宇宙人に霊魂を操られた死人が暗躍する、という、ウルトラセブンなのかホラードラマなのか解らない設定の回ですが、にもかかわらず意外と面白い拾い物エピソードでした。


 まあ、正直なところ設定がよく解らないところがあって、

・死者の霊が宇宙人に操られていると言いますが、ホルマリン漬けにされた教材用の死体の霊は、既にどこかに消えているのでは? 死体とは無関係の霊を見つけてきて、とりあえず死体に入れたという事か?

・霊魂を操れるなら、死体を基地に送り込む必要はなかったのでは? それとも霊が死体から移動できる距離に限界があるのか?

 等々疑問点が色々。

 とは言え、身元不明の死体が基地の中にどんどん増えていく不気味なシチュエーションとか、自動ドアが勝手に開閉するといういかにもの不気味演出とか、影が金庫のドアを開けて中の物を盗みだしてしまうという面白展開とか、などなど、ホラー面に注目するとそれなりに面白かったですね。

 また、理屈は良く解りませんが、シャドウマンの攻撃(?)でセブンが縮小化されてしまい、伏せたガラスのコップの中に閉じ込められる、という非現実的な映像もなかなか印象的でした。セブンは巨大化・ミクロ化どちらもお手の物なのだから、普通のサイズに戻ればよかったのでは、という気もしますが、多分シャドウマンの特殊能力でその辺りの力を封じられていたのでしょう……


 と、ホラーとしてみるとまあ悪くはないのですが、特撮ヒーロー物としては、目玉である敵との格闘シーンが無く物足りなかったのも事実。おそらくは、敵宇宙人のぬいぐるみを作る「お金」か「時間的余裕」か、はたまたそのどちらも、が、無かった物と推測されますが、かなりいただけない展開です。

 せめて、敵の宇宙船をセブンが豪快に破壊してくれればまだよかったのですが、宇宙でも敵に捕まって、ガラスコップ風の檻に閉じ込められてしまい、ウルトラ警備隊に助けられる有様。今回はヒーローとしてのウルトラセブンは全くいい所がありませんでした。これはちょっといけませんね。


 視聴前には、物凄くつまらないエピソードだろうと覚悟していたので、実際の映像はわりとキッチリした話運びでホラー話としてはそこそこ見れる話だった事から、評価は悪くありません。宇宙人が登場しても話運びが支離滅裂なエピソードと比べれば、まだましな方ではありました。しかし、やはり設定が変化球過ぎたというか、ヒーロー物としてはこれはちょっといかんでしょう、というのが正直なところですね。

 ところで最後にダンが電話を取りつつ変顔をしていましたが、あれは何だったのでしょうか。



侵略する死者たち
ウルトラ怪獣名鑑 侵略する死者たち ウルトラセブン
 
 

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perry-r.hatenablog.com
 
 
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