ウルトラセブン 4Kリマスター版 NHK https://www4.nhk.or.jp/P6565/
放送 NHK BSプレミアム。
【※以下ネタバレ】
1967年10月1日に放送が開始された「ウルトラセブン」。当時のフィルムをデジタルスキャンし、4K・HDRでよみがえらせた4Kリマスター版を、NHKが初めて放送する。
第35話 月世界の戦慄
あらすじ
ウルトラセブン 4Kリマスター版(35)「月世界の戦慄」
[BS4K] 2021年11月21日 午前8:00 ~ 午前8:26 (26分)
地球防衛軍の月面基地が爆発。ダンとキリヤマが調査に向かう。V3からもクラタが部下のシラハマ隊員とともに合流。しかしシラハマの正体はザンパ星人であった。
1967年に地上波放送された『ウルトラセブン』を初の4K化・国内初放送!地球防衛軍の月面基地が謎の爆発を起こし、ダンとキリヤマが調査に出発。宇宙ステーションV3からもクラタが現地に向かった。クラタに同行した部下のシラハマ隊員は実は偽者。3年前にキリヤマとクラタが全滅させたザンパ星人の生き残りがシラハマ本人を殺害し入れ替わっていたのだ。ザンパ星人は復しゅうするため、2人が揃う機会をうかがっていた。
登場 … 復讐怪人 ザンパ星人、月怪獣 ペテロ
同じ頃、宇宙ステーションV3では、クラタ隊長が部下のシラハマ隊員の開発した「遠隔指示器」のデモンストレーションを見ていた。この装置は超音波を使い10万キロ以内の物体を自由に動かす事が可能だった。
やがて月基地爆発が判明し、原因調査のため、地球からはキリヤマとダンがウルトラホーク1号で、宇宙ステーションV3からはクラタ隊長とシラハマがステーションホークで、それぞれ月面へ出発した。
シラハマは遠隔指示器を密かに操作し、ホーク1号の機器を操作することで遭難させようとするが、キリヤマとダンは協力して危機を切り抜ける。さらにダンたちは、通信が妨害されており、さらにその原因となる超音波がステーションホークから発信されていることを突き止める。
ステーションホークは一足先に月面に到着し、クラタたちは壊滅した基地の残骸の調査を開始するが、突如シラハマがクラタを殺そうと襲い掛かる。実はこの「シラハマ」は偽物で、宇宙人「ザンパ星人」がシラハマを殺してすりかわっていたのだった。ヘルメス惑星出身のザンパ星人は、三年前に艦隊で襲来したものの、キリヤマとクラタのコンビに壊滅させられていた。偽シラハマはその際の生き残りで、キリヤマとクラタへの復讐を目論んでいた。
やがて遅れてキリヤマとダンが到着するが、すぐさま「シラハマ」が怪しいことに気が付いて銃を突き付け、正体を現したザンパ星人はすぐに射殺された。しかしそこに月基地を壊滅させた怪獣(ペテロ)が出現し、三人はそれぞれ自機に帰還を開始した。
ダンはセブンに変身しペテロと戦うものの、月の夜が到来し、零下180度の寒さのため戦闘不能に陥ってしまう。しかしそこに隕石が落下し、セブンは爆発の光でエネルギーを補充したことで辛くもペテロを倒した。三人はそれぞれ自機に戻り、月を後にした。
脚本:市川森一
監督:鈴木俊継
特殊技術:高野宏一
感想
評価は○(淡白なエピソード)
普段の宇宙人侵略エピソードとは一味違い、月が舞台だったり、宇宙人が復讐狙いだったり、とひねって入るものの、結果的には淡白で印象の薄いエピソードでした。
今回のエピソードは月面がメインの舞台で、ダン・キリヤマ・クラタたちがごつい宇宙服を身につけているシーンが大半、というなかなか珍しい回ですが、実はこの宇宙服は東宝映画「怪獣総進撃」で使った物を円谷が払い下げてもらった物だそうです。多分この宇宙服が先にあり、それを使うシナリオを後付けで書いたものだと思われます……
今回は第13話「V3から来た男」で登場したクラタ隊長が再登場。戦友のキリヤマ隊長との昔の戦いとの思い出話に盛り上がる場面とか、キリヤマ機と連絡が取れなくなっても「キリヤマのことだ。何とか来るだろう」と信頼しているところを見せるとか、キチンとキャラ立てが出来ていて実にいい感じです。
キリヤマ隊長も、ホーク1号がトラブル連発で遭難しかけても、「この中には二人しかいない。だからこそ力を合わせようじゃないか」とか言って人間のデカい所を見せてくれています。しかし任務中に、しかも宇宙飛行中に煙草に火をつけるシーンはちょっと……、機内の酸素のがおかしいと示すために盛り込まれた一場面ですが、これではキリヤマがところかまわず煙草を吹かすダメな人に見えてしまうので、ちょっとこれは何とかしてほしかったところではあります。
ゲスト怪獣のペテロは、手も足も無く、というかまともな生き物の形をしていないため異形感満載で、月面で戦う相手としては良い感じでした。体形的に自ら動いて積極的バトルが出来ませんが、その代わり体液を放射してセブンを苦しめるというギミックでなかなか戦いに緊張感を醸し出していました。
しかし、それだけに「セブンが月の夜で弱ったところに、たまたま都合よく月面に隕石が落下して、その爆発の光と熱でセブン大復活」という決着はなんともご都合主義過ぎるというかで、ちょっと醒めてしまいました。そこはキリヤマとクラタが手を組んで攻撃に加わり、その助けでセブンが辛勝する、という展開くらいにしてほしかったところです。
偽シラハマ隊員ことザンパ星人が使用していた「遠隔指示器」。今回は復讐のためにホーク1号をあれこれするくらいにしか使いませんでしたが、冷静に考えるとこれで地球防衛軍の基地をあれこれして人類を壊滅させるくらいの事が出来たのでは? 何せ到達距離が10万キロで、見えないホーク1号内部の機器を自由に操作できる代物ですからね。ザンパ星人はキリヤマ・クラタ相手の個人レベルの復讐に凝り固まらずに、もう少し大きな視点で人類全体を攻撃した方が良かったのでは……
他の回の内容・感想は以下のリンクからどうぞ
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