【SF小説】感想「暗黒空間突入」(宇宙英雄ローダン・シリーズ 654巻)(2021年12月2日発売)

暗黒空間突入 (ハヤカワ文庫 SF ロ 1-654 宇宙英雄ローダン・シリーズ 654)

http://www.amazon.co.jp/dp/4150123470
暗黒空間突入 (ハヤカワ文庫 SF ロ 1-654 宇宙英雄ローダン・シリーズ 654) 文庫 2021/12/2
エルンスト・ヴルチェク (著), クルト・マール (著), 嶋田 洋一 (翻訳)
出版社:早川書房 (2021/12/2)
発売日:2021/12/2
文庫:272ページ

【※以下ネタバレ】
 

アラスカとテスタレは調査のためやってきた惑星エクリットで、ガヴロン人ライニッシュが有能な兵士を募集していると知り志願する


アブサンタ=シャド銀河とアブサンタ=ゴム銀河が重複するゾーンに“暗黒空間”と呼ばれる宙域がある。その宙域にある惑星エクリットは無価値だが、両銀河を支配する永遠の戦士アヤンネーとグランジカルが面目をかけて領有権を争っていた。惑星住民のオファラー、ヴォソ・ミイは生命ゲームに負けてトシンとなり、名誉回復のためひと旗あげようとしている。そのヴォソ・ミイに、怪しげな侏儒のガヴロン人が接近してきた!

 

あらすじ

◇1307話 暗黒空間突入(エルンスト・ヴルチェク)(訳者:嶋田 洋一)

 アラスカ・シェーデレーアは、五段階の衆のリーダー「ライニシュ」が、行方不明のロワ・ダントンやテケナーの情報を持っていると知り、素性を隠してライニシュの部下になった。ライニシュは暗黒空間内の惑星「マジュンタ」で、植物と知性体の混成体で予知能力を持つ「ハイブリッド」を盗もうと企んでいた。アラスカはハイブリッドの一体にジェニファー・ティロンとデメテルが融合していることを知り、ライニシュにこのハイブリッドを盗ませる。ライニシュは二人の夫のロワとテケナーが惑星エトゥスタルにいたことを知り、ロワたちを捕まえるため「オルフェウス迷宮」に向かう事を決定する。(時期:NGZ445年12月~)

※初出キーワード=惑星マジュンタ、ハイブリッド


◇1308話 銀河系の奇蹟(クルト・マール)(訳者:嶋田 洋一)

 NGZ446年1月。ボニファジオ・スラッチの指揮するヴィールス船は、消息不明のジュリアン・ティフラーにカルタン人/ラオ=シンの情報を伝えるため、銀河系に帰還した。しかし、銀河系に侵入するためのプシオン・ネットは消滅しており、調査中に船は奇跡「戦士の鉄拳」によって銀河系内に吸い込まれてしまう。直後、船はソトの配下に拿捕され、乗員は拷問を受けるが、抵抗組織GOIの介入で救出された。(時期:NGZ446年1月16日~)

※初出キーワード=戦士の鉄拳(グメ・シュジャア)、GOI(有機的独立グループ)、忠誠者の旅団(フアタ・ジェシ)、道の番人(フェレシュ・トヴァアル)


あとがきにかえて

 スポーツ吹き矢大会の話。


感想

・前半エピソード 原タイトル:VORSTOs IN DEN DUNKLEN HIMMEL(意訳:暗黒空間突入)

 アラスカの大冒険談。アラスカって、こんな不敵なアクションヒーロー的ポジションのキャラだったっけ……、とちょっと困惑してしまうエピソード。まあカピン断片が取れて色々解放されたせいで、性格も変わったのかもしれません。

 前のサイクルは「永遠の戦士の権力は盤石」というノリだったのに、このサイクルはいきなり永遠の戦士より上の地位を目指す陰謀が垣間見えたりして、それに乗じたら、永遠の戦士とかプテルスとか意外に簡単に倒せそうな気がしてきた……

 P83に「チルキオ・ラケルス大尉」というキャラが唐突に登場し、アラスカが600年ぶりに再会した云々という場面がありました。このラケルス大尉、調べてみると288巻「聖なる隕石の都市」の後半・576話「スーパー・ミュータント失踪」(ウィリアム・フォルツ)に登場したゲストキャラだったのです……、日本版発売は2003年ですから、もう覚えてないっつーの。

 旧ミュータント・サイクル(3444年)に一度しか出てこなかったキャラをここで掘り起こしてくるなんて、どんな経緯で帰って来たのでしょうか? 作者のヴルチェクが見つけてきたのか、それとも編集部が「こんなキャラが昔いましたよ」とか資料を渡したのか……、果たして?

聖なる隕石の都市―宇宙英雄ローダン・シリーズ〈288〉 (ハヤカワ文庫SF)


・後半エピソード 原タイトル:DAS WUNDER DER MILCHSTRAsE(意訳:銀河系の奇蹟)

 ユーモラス系のキャラだったボニファジオ・スラッチが拷問を受けて云々という、予想外の展開のエピソード。もしかしてこの一件でスラッチの性格が変わって、凄い戦士になるという流れなのでしょうか……? GOIの秘密基地の名前が「クラーク・フリッパー」というのには大受けした(笑) フリッパーってそんな扱いを受ける程の偉人だったかな?
 
 
 

650巻~675巻(「ネットウォーカー」サイクル)の他の巻の内容・感想は以下へどうぞ

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