【特撮】感想:特撮「ウルトラセブン 4Kリマスター版」第38話「勇気ある戦い」

ウルトラセブン Vol.1 [DVD]

ウルトラセブン 4Kリマスター版 NHK https://www4.nhk.or.jp/P6565/
放送 NHK BSプレミアム

【※以下ネタバレ】
 

1967年10月1日に放送が開始された「ウルトラセブン」。当時のフィルムをデジタルスキャンし、4K・HDRでよみがえらせた4Kリマスター版を、NHKが初めて放送する。

 

第38話 勇気ある戦い

 

あらすじ

ウルトラセブン 4Kリマスター版(38)「勇気ある戦い」
[BS4K] 2021年12月12日 午前8:00 ~ 午前8:26 (26分)


箱根山中で自動車の大量消失事件が発生。バンダ星人が操るロボットの仕業だった。一方、ある少年の手術に立ち会う約束をしたダンは、病院に向かおうとするのだが…。


1967年に地上波放送された『ウルトラセブン』を初の4K化・国内初放送!箱根山中で自動車が大量消失する事件が発生。母星の物資を使い果たし、地球の鉄資源を強奪にやって来たバンダ星人がコントロールするロボットの仕業であった。ウルトラ警備隊は爆弾を搭載した自動車を使ってのせん滅作戦を展開する。一方、アンヌの友人の弟・治の手術に立ち会う約束をしたダンは、病院に向かおうとするのだが…。


【出演】中山昭二森次晃嗣ひし美ゆり子毒蝮三太夫阿知波信介古谷敏

 
登場 … 強奪宇宙人 バンダ星人、ロボット怪獣 クレージーゴン

 箱根山中に原因不明の濃霧が発生し、その中で自動車30台が消滅するという奇怪な事件が発生したため、ウルトラ警備隊が調査を担当することになった。キリヤマたちは箱根で巨大な足跡のような物を見つけるが、それを残したものの正体は不明だった。

 同じころ、ダンはアンヌの友人ユキコの弟・治が入院する病院を訪れていた。治は心臓の手術を翌日に控えていたが、手術が失敗して死ぬことを恐れ、頑として手術を拒否していた。ダンは治を勇気づけ、翌日の手術にも立ち会うと約束する。

 翌日、アンヌとユキコは心臓手術の権威ユグレン博士を羽田で出迎えるが、病院に行く途中の高速道路に場違いな濃霧が発生した。アンヌの連絡でウルトラホーク1号が急行し霧を消すと、その中には巨大なロボットが潜んでいた。
 
 ロボットは自動車を次々と体内に取り込み始め、アンヌ達の車もロボットに捕まるが、ダンはセブンに変身し、ロボットから車を奪い返した。ロボットはそのまま空中に逃走し、それを追跡したホーク1号はロボットが宇宙船のような物体と合体して逃げ去るのを目撃する。

 ホーク1号の撮影した写真から、ダンはロボットが合体したのがバンダ星人の宇宙ステーションだと気がつく。バンダ星人は自分の星の資源を使い果たしたため、地球の車を奪いに来ているらしかった。

 ダンは、バンダ星人がラジオの交通情報を傍受して、渋滞の起きている場所にロボットを差し向けていると睨み、ダンの提案で、ニセの交通情報を送信し、ロボットにスペリム爆弾を仕掛けた車を飲み込ませ、爆発させるという作戦を提案する。

 ウルトラ警備隊は甲州街道・高尾山付近に爆弾を仕掛けた車を用意し、ニセの交通情報を放送した。それにつられてやってきたロボットは爆弾入りの車を飲み込んで宇宙ステーションに戻り、ステーションは爆弾で大爆発する。ところがロボットは無傷のままで、コントロールを失ったまま街中で暴走を開始した。

 治は手術の時間が来てもダンが来ないため大騒ぎするものの、強引に手術を受けさせらせる。ダンはロボットとの戦いで負傷するものの、ロボットが病院に接近しているのを見てセブンに変身した。ロボットにはセブンのあらゆる攻撃が全く通用せず、セブンは苦戦するものの、ミクロ化してウルトラ警備隊の銃に入り込み、自らを弾丸としてロボットに叩きつけることでロボットを破壊した。

 治が麻酔から目覚めると、駆け付けたダンが病室で治を見守っていた。


脚本:佐々木守
監督:飯島敏宏
特殊技術:高野宏一

感想

 評価は○(それなり)

 サブタイトルが内容とイマイチかみ合っていなくてその辺りが気になりますが、少年ゲストキャラや宇宙人の巨大ロボットが登場する、子供向けに解りやすく作られた、それなりのエピソード。


 今回は宇宙人「バンダ星人」は名前が語られただけで全く姿を見せませんでしたが、その代わりとして大活躍したのがロボット「クレージーゴン」。無骨な胴体、胴体と比べて貧弱な両足、巨大な右手と、逆に小さすぎてほぼ意味のない左手、など、洗練されてはいないものの、逆にそういうところが「工業用重機」感があって、悪くないデザインです。

 行動からして、おそらく侵略用ではなく、あくまで「現地の金属製品を盗んで持ち帰る」事に特化したロポットだと思われますが、それでもウルトラ警備隊の攻撃をものともせず、またセブンのエメリウム光線アイスラッガーも通用しなかった、というスーパーメカでした。実力的に言えば、かの「キングジョー」に引けを取らないレベルで、もっとその辺りを評価されても良い隠れた実力者(?)と言えましょう。


 お話の方は、心臓病で手術を控えた少年、それを激励するダン、しかし手術当日ダンは宇宙人との戦いのため病院に行けず、と解りやすいものですが、その後の流れはちょっとイマイチ。というのも、治少年はダンが来ないので逃げ出そうとするものの看護師たちに捕まってそのまま手術室送りとなり、ダンをウソつき呼ばわりしながら麻酔にかけられる、と、なんともいたたまれない物になってしまうからです。

 個人的には、治少年はダンが病院に来なくて怒るものの、何らかの手段でウルトラ警備隊とロボットとの戦いぷりを見て感動し、ダンが来なくても手術を受ける気になる、というストーリーの方が良かったと思うのです。それでこそ「勇気ある戦い」という事になるんじゃないでしょうか。しかし実際のストーリーは前述のとおりですから、なんとなく見ていて落ち着きませんでした。

 一応最後に治が目覚めた時ダンが側にいたので、治がダンを許した的な事になっていますが、ダンが約束を破ったことに違いはないので、それでいいのか感があります……


 ダンがウルトラホークが撮影した写真を見て、思わず「バンダ星人の宇宙ステーションじゃないか」と言ってしまう訳ですが、それを聞いてもウルトラ警備隊のみんなが深く突っ込まないのが凄い。普通なら何故知っているのかと尋問が始まるところだと思うのですが……(笑)

 ダンの提案で、囮の自動車に爆弾を仕掛け、それをロボットに飲み込ませて、適当なタイミングで爆発させる、という計画が実行されることになるのですが、ウルトラ警備隊の誰一人、「自動車に乗っていた人間」の事を勘定に入れていないのがなんとも酷い。ロボットに飲み込まれた時点でもう死んでいる、という考えなのかもしれませんが、バンダ星人の宇宙ステーションの中で生きている可能性を全く考慮しない、というのが恐ろしい……、あとバンダ星人の罪状はせいぜい「強盗」なので、いきなり宇宙ステーションごと爆破刑に処す、というのもかなり過剰防衛なのでは……

 とまあ、色々言いたいこともある回でした。脚本担当の佐々木守氏はウルトラマンではジャミラスカイドンなどが登場する人気のあるエピソードをものにしていますが、ウルトラセブン唯一の担当回は、残念ながらもう一つの出来だったと言えましょうか。


ロボット怪獣 クレージーゴン
大怪獣シリーズウルトラセブン編 ロボット怪獣 クレージーゴン
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