ウルトラセブン 4Kリマスター版 NHK https://www4.nhk.or.jp/P6565/
放送 NHK BSプレミアム。
【※以下ネタバレ】
1967年10月1日に放送が開始された「ウルトラセブン」。当時のフィルムをデジタルスキャンし、4K・HDRでよみがえらせた4Kリマスター版を、NHKが初めて放送する。
第40話 セブン暗殺計画 [後編]
あらすじ
ウルトラセブン 4Kリマスター版(40)「セブン暗殺計画 後編」
[BS4K] 2021年12月26日 午前8:00 ~ 午前8:26 (26分)
ガッツ星人はセブンを処刑すると人類に通告。ウルトラ警備隊はセブンを助けるためにマグネリュームエネルギーが必要だと知る。その鍵はレーサーの夏彩子が握っていた。
1967年に地上波放送された『ウルトラセブン』を初の4K化・国内初放送!ガッツ星人は、はりつけにしたセブンを夜明けと共に処刑すると人類に通告する。セブンの念力でセブンがエネルギー切れの状態であることを知ったウルトラ警備隊は、マグネリュームエネルギーを与え、復活させようと考える。そしてエネルギー生成に必要なダイモード鉱石をレーサーの夏彩子が持っていると分かるが、ガッツ星人にも察知されてしまう。
登場 … 分身宇宙人 ガッツ星人
地球防衛軍は謎の通信を受信するものの、すぐに別の妨害電波によって受信不可能になってしまい、その妨害電波はイズミガオカから発信されていた。
謎の通信を解読した結果、それはセブンの脳から発せられたもので、体を動かすための「マグネリュームエネルギー」を求める内容と判明する。マグネリュームエネルギーを生み出すためには水素原子四個を融合させてヘリウム原子一個にする必要があり、そのために「ダイモード鉱石」が必要と指示されていた。しかしダイモード鉱石はアフリカ原産で、セブンの処刑までのわずかな時間で入手できる見込みはなかった。
しかし、フルハシは数日前に妹の友人でアフリカにいる女性から、現地の宝石を郵便で受け取っていた。調査の結果、宝石はまさにダイモード鉱石と判明し、早速マグネリュームエネルギー確保のための試験が行われるが、鉱石が小さすぎて必要なエネルギーが生み出せず、一同は落胆する。
しかしフルハシは同じ宝石をナツコという女性が持っていると気が付き、早速会いに行くが、ガッツ星人はセブンの通信を解読して先回りし、ナツコのペンダントの宝石を奪っていた。フルハシたちは悔しがるが、実は盗まれたのはガラス玉で本物の鉱石は盗まれていなかったことが解る。
ウルトラ警備隊は遂に十分な量のダイモード鉱石を手に入れ、必要なマグネリュームエネルギーを発生させることに成功した。早速キリヤマたちは空中に磔になったウルトラセブンにウルトラホーク1号で接近し、ビームランプに向けてエネルギーを打ち込むものの、エネルギーは素通りしてしまい、しかも直後セブンの姿は消え、全ては幻だったと解る。セブンの居場所の手掛かりが見つからないままま、夜明けは間近に迫っていた。
ナツコが車を運転していると、突然ガッツ星人の小型円盤が襲撃してきた。密かに尾行していたフルハシは円盤を追い払うが、直後イズミガオカの崖に磔になっているセブンを発見し、基地に報告する。キリヤマたちはマグマライザーで出撃するが、その到着前にガッツ星人の攻撃用宇宙船がセブンの処刑を開始した。きわどい所で間に合ったマグマライザーはセブンのビームランプにエネルギーを注入し、それによってセブンは復活した。
セブンはガッツ星人の攻撃用宇宙船を次々と破壊し、ガッツ星人は予想外の事態に全く反応できないまま右往左往する。さらにセブンはガッツ星人の乗る宇宙船も破壊し、彼らの地球侵略の野望を粉砕した。最後、無事な姿のダンが他の隊員たちに発見されて皆が大喜びするシーンで〆。
脚本:藤川桂介
監督:飯島敏宏
特殊技術:高野宏一
感想
評価は○(そこそこ)
前編は、いきなりアロンとの戦いのシーンから始まったり、ウインダムが壮絶な戦死を遂げたり、セブンが敗北したり、と強烈なインパクトを残した回でしたが、後編は一転して変な展開となり、前編で張り詰めた気持ちが嘘のようにい雲散霧消してしまいました……
まず第一。ダイモード鉱石を入手するくだりですが、ナツコってそもそも誰なんでしょうか? まあアフリカにいてフルハシに宝石を送ってくれた女性の姉妹くらいだと思いますが、いきなり「ナツコが宝石を持っている」とか言われても視聴者としては困惑するしかありません。ナツコさんもレーサーらしいので、もしかするとアフリカでラリーをしていた当の人物とも考えられますが、前編でフルハシに届いた小包はアフリカから届いたと言っていたので、それでは矛盾しますし……
またガッツ星人はセブンの通信を傍受してナツコのことを知ったような説明がありましたが、セブン/ダンはナツコのこと(名前とか居場所とか)を知るはずもないのでは……?
まあ、それと宇宙人が夜明けにセブンを処刑してやると脅しているその当夜に、レースの記録取りみたいなことをしている心の余裕があるものなのかと……、全人類は宇宙人の侵略の恐怖に震えている長い夜なのでは……
第二。ナツコが車を運転していて、ガッツ星人の小型円盤が襲ってくるあたり、全く話の流れが意味不明です。ガッツ星人がガラス玉をつかまされたから、腹いせにナツコを襲ってきた、という意味のシーンの様ですが、ナツコをわざと一人にしておいてガッツ星人に襲わせて、ウルトラ警備隊に何の得があるのでしょうか? またこの時点ですでに日は高く昇っており、「夜明けとともにセブンは処刑される」という話はどこかに消えてしまっているのも混乱を誘います。
と、話の流れがめちゃくちゃなので、ウルトラ警備隊によるセブン救出大作戦のインパクトがとても薄く、今一つ盛り上がりに欠けました。
また前編ではあれほどセブンを翻弄したガッツ星人が、後編では復活したセブンになすすべもなく敗北してしまうというあっけなさも悪印象に拍車をかけました。まあガッツ星人がもう一度分身戦法を使って来たらセブンが再度負けるしか無いわけですが、そうさせないために、宇宙船の中で反撃もできずにあたふたしながら右往左往しているだけ、では、前半の強敵キャラ描写がぶち壊しです。
「ガッツ星人は、計画を綿密に立てて進める事には長けていたが、その反面、予想外の突発事態に対応する柔軟性には欠けていた」と納得するしかないのですが、そう考えてもあの最期は承服しかねます……
結局、シナリオライターが前編を盛り上げるのに全体力を使ってしまい、後編でどう決着をつけるのか考えるスタミナが無かった、竜頭蛇尾エピソードであった、という印象ですね。残念。
他の回の内容・感想は以下のリンクからどうぞ
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