ウルトラセブン 4Kリマスター版 NHK https://www4.nhk.or.jp/P6565/
放送 NHK BSプレミアム。
【※以下ネタバレ】
1967年10月1日に放送が開始された「ウルトラセブン」。当時のフィルムをデジタルスキャンし、4K・HDRでよみがえらせた4Kリマスター版を、NHKが初めて放送する。
第44話 恐怖の超猿人
あらすじ
ウルトラセブン 4Kリマスター版(44)「恐怖の超猿人」
[BS4K] 2022年01月30日 午前8:00 ~ 午前8:26 (26分)
警官がゴリラ級の大男に撲殺された事件の究明のため、ダンとアンヌがモンキーセンターを訪問。そこには地球人の脳と猿の脳を交換することを企むゴーロン星人が潜んでいた。
深夜、巡回中の警官がゴリラ級の大男に撲殺された。事件究明のために、ダンとアンヌはモンキーセンターを訪問。アンヌと旧知の真山博士は好意的に彼らを迎えるが、既に博士は女性助手と共に、同センターにいる金の猿に化けたゴーロン星人に洗脳されていた。さらに飼育係の男は星人の脳波交換装置によって猿人間にさせられていた。星人の目的は地球人の脳を猿のものと交換し地球を猿人だらけの惑星に作り変えることであった!
登場 … 宇宙猿人 ゴーロン星人、猿人 ゴリー
深夜。二人の警官が怪しい男を職質すると、男は突然猿人間に変身し、警官たちを殺して逃走する。
翌日。ウルトラ警備隊にこの警官殺し事件の情報があげられる。事件の目撃者によれば、犯人はゴリラのような姿で三メートルある塀に飛びあがって逃走したとのことだったが、現場に残っていた犯人の物と思しき血液は人間の物で、キリヤマたちは犯人像が掴めずに困惑する。
ダンとアンヌは情報収集のため日本モンキーセンターを訪問するが、実はここで働いている飼育係の男こそ警官殺しの犯人ゴリーだった。ダンはセンターで飼育されている希少種の猿「ゴールデンライオンタマリン」をみて何か違和感を覚える。その頃、ゴリーは隙を見て、ダンたちが乗って来たポインターのエンジンルームの配線を切ってしまう。
ダンはセンターの飼育係や助手が怪しいと睨むが、さらにポインターが壊されていたため、アンヌと共にセンターで一晩泊めてもらうことになった。しかしダンはポインターの修理中にゴリーに襲われ失神してしまう。
一方、アンヌは助手がゴリーを鎖で縛り付けている場面を目撃してしまう。助手によればゴリーは脳波を猿の物と交換された猿人間で、アンヌも同じ目に合わせてやると言う。助手と所長の博士はアンヌを追い詰めるが、ゴリーが暴れて鎖を引きちぎり、その騒ぎの間にアンヌは逃げ出す。
アンヌはダンと合流し、アンヌはダンから日本ラインで脱出するように指示される。一方ダンはゴールデンライオンタマリンの檻に向かうが、もぬけの空で、そこにタマリンに偽装していたゴーロン星人からのテレパシーが届く。ゴーロン星人は所長と助手を脳波催眠で操り、地球を猿人間の星に変えようとしていた。
アンヌは日本ラインで船に乗って川下りするが、漕ぎ手の一人に化けていたゴリーに襲われる。しかしアンヌ達を心配して駆け付けたキリヤマたちがゴリーを倒した。ダンもセブンに変身し、正体を現したゴーロン星人と対決し勝利した。所長と助手はゴーロン星人の催眠から解放され、ゴーロン星人の野望は阻止された。
感想
評価は△(なんじゃこりゃ)
基本的には割とオーソドックスな宇宙人の侵略回。しかし、いわゆるタイアップで、愛知県の「モンキーセンター」と「日本ライン川下り」が強引に挿入されているため、見ていてかなり変なエピソードになっていて、評価はもう一つ。
一応宇宙人の侵略話ですが、かなり後の方まで侵略者ゴーロン星人は姿を見せず、代わりに催眠で操られた博士と助手がアンヌを人体実験の材料にしてしまおうと追い回すなど、ヒーロー物というよりホラー物テイストが強く、思わず「美女と猿人間」とかいう怪しいタイトルの映画を空想してしまいました。
実際、アンヌが猿人間に迫られたり、ムチをふるう女助手に追い詰められたり、人体実験の器具を付けられそうになって怯えながら懇願したり、と、いつものウルトラセブンのノリを随分逸脱していて、ちょっとびっくりするストーリーでしたね。
また、ホラー要素強めでいつもと随分雰囲気が違うのに、そこに加えてタイアップによる宣伝要素が強すぎて、もう全然いつものセブンではなくて、これは一体何なのか感が物凄かったです。
今回のエピソードでメインの舞台となったのが、愛知県にある日本モンキーセンターですが、そもそもダンとアンヌはモンキーセンターに何をしに行ったのかさっぱり分かりません。何かを調べに行ったわけでもなく、アンヌが旧知の所長に挨拶するついでにダンとデートして喜んでいたようにしか見えない。また、モンキーセンターから逃走する際にも「ポインターが使えないから日本ラインの観光船に乗る」という不自然極まりない展開が待っており、その強引な展開にはもう唖然とさせられました。
まあ、タイアップすると、先方からスタッフに対し、食事・宿泊、場合によってはいくらかのお金も提供される、ということで、予算不足で苦しんでいたセブン製作陣にとっては美味しい話だったようですが、その成果がこれではちょっと……
あと、終盤に正体を現したゴーロン星人ですが、人間と猿の脳波を入れ替えた「猿人間」を作るのが目的と白状するものの、普通の人間より知能が低い猿人間に作り替えて何のメリットがあるのか、ちっとも伝わってこず、まるで納得できませんでした。実験される方は、猿にされたら怖い、というのはあるでしょうが、ゴーロン星人にとって何か得することがあるのか……
ストーリーがしょうもなかったせいか(?)、セブンとゴーロン星人のバトルシーンは結構尺が長く、手四つの体勢からの力比べのあと、手から針のような光線を乱れ打ち、とどめはエメリューム光線で五体をバラバラにと、わりと豪華なバトルでした。
しかし、ラストシーンが猿の顔のアップというのは……、最後までなんか変な回でした。
他の回の内容・感想は以下のリンクからどうぞ
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