【ドラマ】感想:海外ドラマ「刑事コロンボ」第33話「ハッサン・サラーの反逆」

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放送 NHK BSプレミアム

【※以下ネタバレ】
 

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第33話 ハッサン・サラーの反逆 A CASE OF IMMUNITY (第5シーズン(1975~1976)・第2話)

 

あらすじ

刑事コロンボ(33)「ハッサン・サラーの反逆」
[BSプレミアム]2020年11月11日(水) 午後9:00~午後10:14(74分)


刑事コロンボ』旧シリーズ一挙放送!中近東スワリ国総領事館で殺人事件が発生!コロンボは“外交官特権”を持つ犯人と、どう対決するのか?


ロサンゼルスにある中近東スワリ国総領事館の総領事代理ハッサン・サラーは、職員のハビブと共謀して警備隊長を殺害。アリバイ作りのため、スワリ国王の警備に関する会議に出席したサラーは、警備隊長のフリをしたハビブからの電話を受ける。だがその会議にはコロンボも出席していた。サラーは外交官特権があるため警察は逮捕できない。そこでコロンボが取った秘策とは?

 
●序盤

 ロサンゼルスにあるスワリ王国総領事館の総領事代理ハッサン・サラー(犯人)は、総領事館の警備隊長ユセフ・アラファ殺害を計画していた。サラーは部下のロッホマン・ハビーブ(共犯者)に自分のオフィスを荒らさせ、また金庫の中の書類を出して焼き捨てた後、アラファを電話で呼びつけ、隙を見てアラファを背後から撲殺した。

 その後、サラーはアリバイ作りのため、ロス警察本部に会議に出かける。そして午後四時直前、総領事館にいるハビーブはアラファのふりをしてサラーに電話をかけ、アラファがまだ生きているように偽装した。そのあとハビーブはオフィスの金庫に仕掛けた爆弾を爆発させ、さらに車で総領事館から逃亡した。


●中盤

 警察は総領事館での殺人事件の捜査に取り掛かり、サラーのオフィスの壁に(ハビーブがスプレーで書いた)政治的スローガンが書かれていたことから、反政府勢力が総領事館に忍び込み、アラファを殺害したと判断する。またオフィスの金庫に入っていた60万ドルが消えたことも解る。

 コロンボは現場で、焼かれた書類の上に、爆発で落ちて来た漆喰が積もっていたことから、金庫の爆発より前に既に書類が取り出されていたことを見抜く。またアラファが午後三時の休憩の際に入れたコーヒーが手つかずで残っていたこと、銃も抜かずに殺されていたこと、等を考え併せ、「アラファは午後四時頃の爆発より前に殺されていた」「アラファは顔見知りに殺された」「犯人は金庫の番号を知っている人物」という事を推理する。

 コロンボ総領事館の館員について調べ上げ、サラーに休暇中のロッホマン・ハビーブの行方だけが確認できていないことを伝える。逃走した車についての目撃者の証言では、運転者の人相は、ハビーブその人だった。サラーは何も知らないような顔でハビーブが宿泊予定のニューヨークのホテルへ連絡を取るが、当然ハビープは宿泊していなかった。

 夜。サラーはこっそり総領事館を抜け出し、ハビーブと落ち合うと、外国への逃走を手助けする振りをして隙を見て撲殺。さらに死体にメガネをかけさせ車に乗せて崖から転落させる。

 翌日。コロンボはサラーを訪ねハビーブが死体で見つかったことを伝える。サラーはハビープは反政府過激派の一員でアラファ殺しもハビーブの仕業という方向で済まそうとするが、コロンボはハビーブがコンタクトを着用しているのに、さらにメガネをかけていたことから、何者かが殺したあとかけさせた、つまり他殺だと断定する。

 翌日。コロンボ総領事館を訪問すると、スワリ国王アームド・カマルが訪米しており、パーティの最中だった。サラーはあからさまにコロンボを迷惑がるが、コロンボはハビーブ自身がホテルの予約をしたのではない事などをあげ、明らかに総領事館内に共犯者がいることを示唆する。

 直後、国務省の役人がロス警察本部を訪れ、サラーがアメリカ政府に対してコロンボの行動に抗議してきた事を伝え、コロンボに外交交渉を妨害するなと命じる。コロンボはサラーが殺人犯だと主張するものの、役人は真剣に取らず、コロンボはサラーに謝罪の詫び状を出すという事でその場を収める。

 コロンボは詫び状をもって総領事館に入るが、出迎えたサラーに対し、サラーが二件の殺人の犯人だとはっきり言い切る。立腹したサラーはコロンボが不法侵入者だと言って総領事館から追い出す。


●終盤

 サラーは空港で国王の帰国を見送った後、総領事館に戻るが、コロンボが門の外で待ち構えていた。コロンボはサラーに、今回の件で警察をクビになりそうなので、是非謝罪させて欲しいと泣きつき、サラーはコロンボを中に入れる。サラーは二人きりになると、コロンボに自分が犯人であると告白し、さらには殺人の動機はスワリ国内の勢力争いに関係していることなどを親切に説明する。

 コロンボはサラーがここまで明かすのは外交官特権で逮捕されないからだと指摘すると、サラーは涼しい顔で肯定する。ところがそこに帰国したはずの国王が姿を現し、サラーをスワリに送還し自国で裁判にかけると言い放つ。実は国王はコロンボの助言で、帰国した振りをして、一足先にヘリで総領事館に戻っていたのだった。

 サラーは、スワリで裁判にかけられれば斬首されると怯え、慌ててコロンボに外交官特権を放棄するので逮捕してくれと懇願する。コロンボは、最初は国際問題云々と渋るものの、あらかじめ用意していた自白の宣誓書を取り出し、サラーは喜んでサインするのだった。


監督:テッド・ポスト
脚本:ルー・ショウ(原案:ジェームズ・メンジス James Menzies)


感想

 評価は○(まずまず)。

 コロンボが異国の総領事館で捜査を行うという、普段とはちょっと代わった雰囲気の作品だが、なかなかに面白かった。


 コロンボ・シリーズのシーズン5(1975~1976年/第32話~第37話)は、テーマとして「今までと違うコロンボ」を掲げていたそうで、各作品を見るとなるほど色々と今までと変化が付けられているが、今回は「領事館」というアメリカの中の異国を舞台とするエピソードとなっている。そのため、登場人物が中近東風の服装をしている中でコロンボが捜査をしている様は、普段とは結構変わった印象を受ける。

 しかし、事件がどこで起きようとも、コロンボの観察眼と推理の組み合わせはいつものごとく冴えており、『書類の灰の上に漆喰が落ちていることから、金庫の爆破の前に書類は既に焼かれており、故に犯人は金庫の番号を知る人物である』云々というように、サラーの完璧と見えた犯行のほころびを次から次から見つけていく。この辺りの展開は実に上手く、シナリオの組み立ての見事さに感心しきりだった。

 本作は74分枠で短めなので、余計な回り道も無く、実にテンポよく手掛かりを見つけて真犯人のサラーに迫っていくのが楽しい。とぼけた刑事を装いながら、要所要所で暗にサラーが犯人だと匂わせ、サラーをイライラさせる描写も良く出来ており、コロンボ物のフォーマットに従った申し分のない話だった。


 最後は、コロンボが国王の協力を得てサラーに罠を仕掛け、サラーに自分から罪を認めさせるという展開となり、実に面白かった。それまでは余裕綽々だったサラーが、母国の裁判を怖れて一転コロンボに逮捕してくれと泣きつく流れは痛快の一言に尽きた。

 コロンボは、過去にも『完璧に計画を実行し証拠を残していない狡猾な犯罪者』を逮捕するため、犯人に巧妙な罠を仕掛けてボロを出させる、という手をよく使っているので、いつもの手を又繰り出してきたともいえるが、協力者が一国の国王で、国王がサラーに飛行機で飛び立ったと錯覚させるなど引っ掛けののスケールも大きく、その辺りの騙しの過程も楽しかった。

 サラーがコロンボに逮捕してくれとせがむと、コロンボはとぼけて「そうしたいのは山々なんですが……、国務省のお役人にも国際問題だって釘刺されているんでねぇ、ここで波風立てますとねぇ、お国で裁判受けた方が無難でしょう?」「でもまずいんですよ、何しろねぇ、細かい所はともかく、ほとんどが状況証拠ですからねぇ、裁判やっても難しかろうと」とか後ろ向きな事を言っておきながら、実はしっかり懐にサラーの自供に備えた書類を用意してる、という小芝居には何度でも繰り返してみたくなる名シーンだった。

 まあ、一つ気になるとすれば、コロンボはどのタイミングで国王に連絡を取ったのか、という点である。地方警察の刑事が、一国の国王に、総領事館の最高責任者のサラーの目を盗んでどうやって接触したのか、と考えると結構無理がある展開に思えなくもないが、 胸のすくような結末だったので深くは考えない方が良いかもしれない。


 このエピソードは、駆け出し時代のジェフ・ゴールドブラムがチョイ役で出演しているので有名(?)である。開始から55分過ぎ、総領事館の前でぐるぐる歩いているデモ隊の一員の中におり、車が入って来るあたりで一瞬だが顔がしっかり映っている。

 作品のサブタイトル「A CASE OF IMMUNITY」は、意訳すると「免責の事例」。犯人のサラーが外交官特権で罪を許される、という意味と思われるが、最後には自分から外交官特権を放棄して罰してくれと懇願する羽目になったので、最後まで見ると皮肉な感じがして悪くない。


その他

 放送時間:1時間14分。
 
 

ピーター・フォーク小池朝雄ヘクター・エリゾンド…井上孝雄,サル・ミネオ…宗近晴見,ケネス・トビー…松下達雄,クセーニャ・グラチョス…三浦真弓,バリー・ロビンス…坂部文昭,【演出】テッド・ポスト,【脚本】ルー・ショウ

 

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