【歴史】感想:歴史番組「ダークサイドミステリー」シーズン4(2022年版)「よみがえるニコラ・テスラの亡霊 幻の“超科学兵器”は実在するのか?」(2022年6月16日(木)放送)

Nikola Tesla: Prophet Of The Modern Technological Age (English Edition)

ダークサイドミステリー NHK https://www.nhk.jp/p/darkside/ts/4847XJM6K8/
放送 NHK BSプレミアム。毎週木曜夜9時放送。

www.nhk.jp
【※以下ネタバレ】
 

他の回の内容・感想

perry-r.hatenablog.com
 

本当の謎は、人間の闇


シーズン4スタートしました!
今年度はなんと、地上波・Eテレで毎週(火)夜10:45放送の、名作の数々のコンパクト29分版と同時期放送です!
背筋がゾワゾワ、心がドキドキ、怖いからこそ見たくなる。世界はそんなミステリーに満ちている。世間を揺るがした未解決の事件、常識を越えた自然の脅威、いにしえの不思議な伝説、怪しい歴史の記録、作家の驚異の創造力…。
人智を超えた謎に迫る「幻解!超常ファイル」のスピンオフ!
栗山千明中田譲治志方あきこのダークなトライアングルに加え、伊藤海彦アナウンサーも参加!

 

よみがえるニコラ・テスラの亡霊 幻の“超科学兵器”は実在するのか? (2022年6月16日(木)放送)

 

内容

ダークサイドミステリー「よみがえるニコラ・テスラの亡霊 超科学兵器は実在?」
[BSプレミアム] 2022年06月16日 午後9:00 ~ 午後10:00 (60分)


明王エジソンに勝った科学者が超科学兵器を設計?天才ニコラ・テスラの都市伝説は本当か?幻の論文を狙う怪しい組織。死後80年、現代も人を惑わす鬼才の光と闇に迫る!


無人で空を飛び敵を撃つビーム兵器!基地からは無限のエネルギーを電送!地震兵器で敵都市を破壊!これら驚異の超科学兵器を発明したという天才科学者ニコラ・テスラ。発明王エジソンとの競争に勝ち、現代の送電システム普及に寄与した偉人に、なぜ怪しい都市伝説が?FBIが!スターリンが!幻のテスラ論文を狙う怪しい組織。死後80年経った今もよみがえり、人々を惑わせるテスラ伝説。時代を超えた超鬼才の光と闇を徹底検証!

【出演】栗山千明,【ゲスト】作家・評論家…新戸雅章竹内薫,【語り】中田譲治,【司会】伊藤海彦

 
 今回のテーマは「科学者ニコラ・テスラ


ニコラ・テスラオウム真理教

 科学者ニコラ・テスラ(1856~1943年)は、しっかりした実績を残した人物だが、一般的にはそういった業績より「ビーム兵器」「人工地震」といった「オカルト・都市伝説」関連の人という印象が強い。

 作家・評論家の新戸雅章氏は、1993年に日本で初めてテスラの正伝を執筆したが、そのあと1995年1月20日に見知らぬ相手からのはがきで、テスラの論文の入手方法の問い合わせを受けた。しかしどんな種類の論文が必要といったことは全く書かれていなかった。

 同年2月12日、セルビアベオグラードにあるニコラ・テスラ博物館に、四人の日本人男女が訪れ、テスラの論文の閲覧を希望した。この博物館にはテスラの書いた論文20万点が保存されている。この日本人たちは「日本テスラ協会」のメンバーを名乗り、パソコンとスキャナを持ち込むと、毎日毎日論文を片っ端からスキャンして保存し、その作業を二か月間続けた。

 同年4月6日。新戸氏はあるニュースで「日本秘密ニコラ・テスラ協会」の文字を見つける。それはあのオウム真理教関係の建物のドアについていた札だった。オウム真理教は同年3月20日地下鉄サリン事件を引き起こし、警察に捜査されていた。

 新戸氏はオウム真理教の機関紙を調べ、オウム真理教がこの年1月17日に発生した阪神・淡路大震災を人工地震だと書いている文章を見つける。オウム真理教は、テスラの論文から「人工地震」を発生させる装置の論文を見つけようとしていたらしかった。しかしその日本人たちはいつの間にか姿を消していた。後に、このベオグラードの博物館に来ていた人物が、新戸氏に問い合わせの葉書を送った人物と同一だと判明した。


 また、テスラの超兵器に興味を示したのはオウム真理教だけでなかった。ソビエトの独裁者スターリンも、テスラの超兵器に注目していた模様で、FBIはテスラとソビエトの貿易会社との間で、荷電粒子ビーム砲の技術に関する契約が取り交わされたことを記録していた。



●電気の魔術師テスラ

 テスラはかつて「電気の魔術師」と呼ばれていた。テスラとエジソンは1890年代、電気をどうやって送電するかについて「電流戦争」という戦いを繰り広げた。

 エジソンは「直流」、テスラは「交流」、をそれぞれ主張した。直流は低電圧でしか送電できないので発電所の周囲3Km程度の範囲でしか送電できないが、交流は高電圧に出来るのでより遠くに送れる。しかし直流はモーターを回転させられるが、交流は電流の向きが入れ替わるためモーターを回転させられない。

 テスラは天才的な発想で、交流で動く「交流モーター」を開発した。また高電圧の安全性をアピールするため、100万ボルトの高電圧が流れる電線を掴み、自分の体から放電したり、ネオンサインを光らせて見せた。実は100万ボルトの電圧でも流れる電流はごくわずか、また高周波電流は体内に入らず、皮膚の表面を流れていってしまう、ため、人体に危険はない、というカラクリだった。こういったアピール力で、テスラは電流戦争に圧勝した。



世界システムを目指して

 テスラはさらに「テスラコイル」を発明した。小さい電圧から高い電圧を発生させる装置である。巻き数の少ない一次コイルと巻き数の多い二次コイルの間に「共振」が発生し、二次コイルに高電圧が発生する。

 1897年、テスラはこの共振を利用し世界中どこにでも電力を送電するという壮大な計画「世界システム」を発表した。巨大なテスラコイルを使って、地球を共振させることで、地球のどこからでも電気を取り出せる、というシステムである。1901年にはニューヨーク州に高さ57mのタワーを作り、これは「テスラタワー」と呼ばれた。

 しかし、今から考えれば、テスラの構想は実現不可能だった。地球の大半は岩石で出来ているので、電気を通さず、共振する筈も無いのである。

 またテスラは、タワーの建設に当たり、大富豪J.P.モルガンから「無線の通信施設」の名目で資金を出してもらっていたが、ウソがばれて出資を打ち切られてしまった。タワーは1917年、テスラ61歳の時に解体された。

 世界システムの夢破れたテスラは、晩年はホテルを転々として暮らすようになった。



●失われた論文伝説

 1939年、テスラが83歳の時に第二次世界大戦が勃発した。1943年1月7日、テスラはニューヨーク・マンハッタンのホテルの一室で誰にも看取られずに世を去った。享年86歳。

 その二日後、FBIがホテルの部屋に残されていた資料を回収し、さらに研究室の資料も全て持ち去った。FBIがこのような事をしたのは、晩年のテスラが語った「超科学兵器」のせいだった。テスラは、兵器として、敵機を撃墜する「殺人光線」や、敵を防ぐ「力の壁」、地震を起こす「地震兵器」などのアイデアを次々と語った。FBIはそれらの兵器の技術が敵国に渡ることを恐れ、資料を回収したのだった。これが「テスラの語った超兵器は実用可能だったのでは?」という憶測を呼んだ。


 1977年にニューヨークタイムズは「ソ連が指向性エネルギービーム兵器/荷電粒子砲を実用化した」という怪しい記事を掲載した。1981年にとある退役軍人の作家がこの兵器とテスラとを結びつけた。しかし1943年にFBIがテスラの資料を専門家に調べさせた記録が残っており、その内容によればテスラのアイデアは実現不可能とされていた。


 1980年代にアラスカで「高周波活性オーロラ調査プログラム HAARP(ハープ)」の施設の建設が開始された。ハープは、電離層・宇宙・水中・地下での電磁波の作用を研究するもので、電磁波を上空に放射できる。1977年科学雑誌オムニは電磁波の放射で気象を操作したり、ミサイルを攻撃したりできる、という記事を掲載した。さらに1991年にイギリスのインデペンデント紙は、ハープとテスラを結びつけ、人工地震が起こせると書き立てた。しかし、地球の地下の岩盤は電気を通さないのだから、電磁波を放射して何かが起こせるわけがない。


 しかしもうテスラの名前は「フィラデルフィア実験」」「ツングースカの大爆発」「UFOの反重力エンジン」「ピラミッドパワー」など、未知のエネルギーを使う物なら何でも結び付けられるようになってしまった。



●蘇り続けるテスラの亡霊

 2018年、とある会社がテキサス州の郊外に巨大なタワーを建設し、ツェネック波という電波を使い、テスラの世界システムを実現させるとぶち上げた。しかし2019年に稼働させると予告されたものの、実現せず、2020年には会社が破綻。2022年に会社再建活動中。

 また2021年にアメリカで健康グッズ「テスラ缶」が発売された。発売会社の説明によると、缶からテスラが発見した「テスラ波」が発信され血液を浄化するという。お値段は260万円。しかしそもそも「テスラ波」というものは存在しない。

 と、このようにいつまでもテスラの亡霊は蘇り続ける。


●聖地

 テスラが晩年を暮し最期を迎えたホテルの部屋はテスラ・マニアの聖地となり、一日一組は訪れるという。部屋の中身はテスラが生きていた時のまま保存されており、涙を流す人もいるという。


感想

 オカルト界隈の有名人ニコラ・テスラの回。既にテスラの人生については「フランケンシュタインの誘惑」で一度取り上げられているので

感想:NHK番組「フランケンシュタインの誘惑 科学史 闇の事件簿」第12回『ゆがめられた天才 幻の世界システム
https://perry-r.hatenablog.com/entry/2017/05/26/235350

perry-r.hatenablog.com

 
 今回は「テスラと超兵器伝説」という切り口で番組を作っていました。オウム真理教がテスラに興味を持っていたネタとかもあって面白かったです。
 
 

光と闇のナビゲーター 栗山千明
語り 中田譲治
テーマ音楽 志方あきこ
司会 伊藤海彦 (アナウンサー)

 
 

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