【SF小説】感想「番人の失われた贈り物」(宇宙英雄ローダン・シリーズ 668巻)(2022年7月6日発売)

番人の失われた贈り物 (ハヤカワ文庫SF SFロ 1-668)

http://www.amazon.co.jp/dp/4150123713
番人の失われた贈り物 (ハヤカワ文庫SF SFロ 1-668) 文庫 2022/7/6
アルント・エルマー (著), H・G・エーヴェルス (著), 嶋田 洋一 (翻訳)
出版社:早川書房 (2022/7/6)
発売日:2022/7/6
文庫:256ページ

【※以下ネタバレ】
 

GOIの迎撃を逃れた〝番人の贈り物″百万個は、その強力なプシオン放射によりブルー族の理性を狂わせ好戦的に作りかえていく!


GOIの迎撃を逃れた“番人の贈り物”百万個は銀河系イーストサイドに浸透していった。星系内に出現した贈り物は、その強力なプシオン放射によりブルー族の理性を狂わせ、欲望を増大させ、より好戦的にブルー族を作りかえていく。ブルー族のもとハンザ・スペシャリストのトリュリイトは、引退して故郷のガタスにもどり、72人の孤児たちの養父として暮らしていた。そんなかれのもとにも、番人の贈り物は現われるが…!?

 

あらすじ

◇1335話 番人の失われた贈り物(アルント・エルマー)(訳者:嶋田 洋一)

 銀河系イースト・サイドに、ムウン銀河の奇跡「番人の失われた贈り物」百万個が出現した。「贈り物」はプシオン放射によって瞬時にブルー族を支配下に置いてしまい、五ヵ月にはブルー族は完全に恒久的葛藤の信奉者になり果てていた。(時期:NGZ446年6月頃~10月15日)

※初出キーワード=なし



◇1336話 ガタスの狩人(H・G・エーヴェルス)(訳者:嶋田 洋一)

 ブルー族の大半は「贈り物」のプシオン放射に支配され、放射に免疫を持つ者たちは、国家の敵として政府に追われていた。ティフラーやグッキーたちは免疫保持者を支援するため惑星ガタスに潜入するものの、待ち伏せに会い捕まってしまう。しかしハルト人の介入により、無事ガタスから救出された。直後、ナック種族の一人がギャラクティカーにコンタクトを求め、ナックはカルタン人のことを「姉妹たる者」と呼んだ。(時期:~NGZ446年10月30日)

※初出キーワード=無し


あとがきにかえて

 四月末にバーベキューパーティーをした話。


感想

・前半エピソード 原タイトル:DIE VERLORENEN GESCHENKE DER HESPERIDEN(意訳:ヘスペリデスの失われた贈り物)

 銀河系イースト・サイドに謎の物体「番人の失われた贈り物」が襲来する話。

 ブルー族は、戦争エレメントに支配されたり、贈り物に支配されたり、と、何かと怪しげな物体に支配される運命にある模様。そしてティフラーたちが「ブルー族から悪いニュースが届かないから、きっと贈り物は無害なのだろう」とかとぼけたことを話し合っているのに苦笑いさせられました。

 ところで劇中でバドラーの少年が持つプラットフォームの模型の名前を「巨大TA」と訳してありますが……、バドラーのプラットフォームは(この本のP230に書いてある様に)故・松谷健司先生が「KA大サービス」とか「MA天才的」という風に訳されていたので、今回も「TA巨大」とするべきだと思うのですけど…… 



・後半エピソード 原タイトル:DER JAGER VON GATAS(意訳:ガタスの狩人)

 引き続き銀河系イースト・サイドでの「贈り物」に支配されたブルー族の話。

 登場人物一覧には書いてありませんが、この話ではエーヴェルスの持ちキャラである「ガイ・ネルソン船長と姉のメイベル」というキャラクターが登場し、ティフラーたちをイースト・サイドに送り届けます。このコンビ、過去にも登場しているのですが、それがなんと428巻「精神スペクトル」の後半・856話「死の惑星での邂逅」! 前回はバルディオク・サイクルですよ? 詳細は不明ですが、このコンビはエーヴェルスによって劇中で不老不死的な立ち位置に設定されているみたいです。


 P215で、《ソル》のエンジン「七次元平行シュプール・エンジン」や、《バジス》のエンジン「トランスファーディム・エンジン」の名前がちらっと出ていましたが、これらの新型エンジンは、名前だけ出てきて、それ以前のディメセクスタ・エンジンと何が違うのか全く説明されなかったよなぁ…… 未だにモヤモヤしています(笑) シェールが担当していたら、技術系の将校の口を借りて、それこそメチャクチャ細かく説明してくれたはず……


 このエピソードのキモは最後の最後のページですよね。ナックがそれまで何の接点も無かったカルタン人に対し「姉妹たる者よ」と呼びかけるとか、これはどうなっていくのかとワクワクさせられました。
 
 

650巻~675巻(「ネットウォーカー」サイクル)の他の巻の内容・感想は以下へどうぞ

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ローダン・シリーズ翻訳者一覧は以下へどうぞ

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