笑わない数学 NHK https://www.nhk.jp/p/ts/Y5R676NK92/
放送 NHK総合。全12回。
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【※以下ネタバレ】
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パンサー尾形貴弘が難解な数学の世界を大真面目に解説する異色の知的エンターテインメント番組! 「リーマン予想」「フェルマーの最終定理」「連続体仮説」「四色問題」「ガロア理論」「abc予想」「確率論」「P対NP問題」「カオス理論」「ポアンカレ予想」「暗号理論」「虚数」・・・。天才数学者をも苦しめてきた数々の難問、そして美しくも不思議な知の世界を、1回30分ワンテーマ、ギャグ封印で、トコトン分かりやすく掘り下げる!
MC 尾形貴弘 (パンサー)
第5回「ポアンカレ予想」(2022年8月10日(水)放送)
内容
笑わない数学「ポアンカレ予想」
[総合] 2022年08月10日 午後11:00 ~ 午後11:30 (30分)
パンサー尾形貴弘が数学の難問を大真面目に解説する「笑わない数学」。今回は「ポアンカレ予想」。宇宙はざっくりどんな形をしているのか?!トポロジーの難問に挑む!
ポアンカレは19世紀末にフランスで活躍した天才数学者。彼が生前に立てた、数学の重要な予想がある。しかしポアンカレ自身には証明できず、その後1世紀にわたって世界中の数学者たちも解決できずにいた。ポアンカレの予想をやさしく言い換えると、この宇宙の形はざっくり丸いのかどうか、それを宇宙のなかにいる私たちが知る術はあるか?といえる。世紀の難問が2006年にロシアの数学者によって解決されるまでの数奇な物語。
【司会】パンサー尾形
●ポアンカレ予想とは
ポアンカレ予想は、フランスの天才数学者アンリ・ポアンカレ(1854年~1912年)が立てた予想で、簡単に言えば「宇宙はざっくり丸いか丸くないか確かめる方法はあるか」。
その昔、地球はまっ平らで端っこは滝になっていると信じられている時代があった。フェルディナント・マゼランは、1519年から1522年にかけてスペインから出港して西に西に向かい、スペインに戻ることで、地球が丸いことを証明した。
しかしポアンカレは「マゼランの方法では地球は丸いと証明したとは言えない」と言った。何故なら、地球がドーナツ/浮き輪のような形「トーラス型」であっても、やはり一周は可能だからである。
地球から飛び出して外から眺める方法以外に、地球がざっくり丸いのか、はたまたドーナツ型なのか、確かめる方法は無いか? そこでポアンカレはこう考えた。物凄く長いロープを用意し、片方の端を港に括り付け、もう一方の端を船に結んで世界一周してくる。船が元の港に戻ってきたら船に結んでいたロープを外し、両端を手繰り寄せてみる。
もし地球が球ならばロープは一度も地面から離れることなく回収することができる。しかし地球がドーナツ形で、穴をくぐって世界一周してきたなら、ロープは穴に引っかかって回収不可能である。また穴をくぐらずに一周してきても、ロープは回収している途中で地面から離れてしまうので、これまた回収不可能と見なす。
つまりロープが回収できれば地球は丸く、できなければ丸くない。地球を外から見なくてもロープの回収可否で地球の形が解る、とした。
ところでさっきから「ざっくり丸い」という表現をしているのは何故かというと。数学の分野では物の形をざっくり捉える「トポロジー」という分野が有るから。トポロジーの考えでは、お皿とスプーンはどちらも「穴が一つも空いていない」ので、ざっくり同じ形、と考える。
同じように、ざっくり考えると、カップは「穴が一個だけ空いている物」、ティーポットは「穴が二個空いている物」、という風になる。
●宇宙の形を確かめるには
ポアンカレ予想とは「宇宙の外に出ずに、宇宙がざっくり丸いか、丸くないか、確かめる方法はあるか」。
ポアンカレは地球の形を確かめる方法と同じようにして、『地球からロープを結び付けた宇宙船を打ち上げて宇宙を一周させ、戻ってきたらロープを引っ張ってみる。輪になったロープが回収できれば宇宙はざっくり丸いと言える』と言った。
●難問ポアンカレ予想
ポアンカレ予想はポアンカレ自身にすら解けなかった。その後の数学者たちもポアンカレ予想に挑んだが、ことごとく証明に失敗した。
数学の世界でマジシャンと呼ばれたウィリアム・サーストン博士は、ポアンカレ予想の証明に別のアプローチを試みた。もし宇宙が丸くなかったら、どんな形がありうるか、と発想したのである。それを突き詰め「宇宙は最大八種類の断片が集まってできている」という「幾何化予想」を発表した。
もし宇宙の断片に丸以外の形が含まれているとすれば、宇宙を一周したロープはどれかに引っかかって回収できない。つまり宇宙が丸い形の断片だけで構成されていれば、ロープは回収できる。幾何化予想が証明できればポアンカレ予想も証明できたことになる。
●ペレリマンの証明
2002年。数学者たちの間で、インターネットに発表されたポアンカレ予想の証明論文が話題になった。最初は数学者たちは半信半疑で読み進めたが、どこまで行っても間違いが見当たらなかった。
2003年。アメリカの数学者は論文の執筆者を呼び解説を求めた。現れたのはロシアの数学者グレゴリ・ペレリマン博士だったが、彼の説明に数学者たちは全くついていけなかった。ペレリマンはトポロジーではない手法を使い、さらに物理学の用語である「エネルギー」「エントロピー」「温度」などを証明の中で使用していたからである。
そして数学者たちの四年による検証により、ペレリマンの証明が正しいことが確認された。しかし、ペレリマンは数学世界で最高の賞フィールズ賞を辞退し、またポアンカレ予想の証明者に与えられる賞金100万ドルも受け取らなかった。その後ペレリマンは世間から距離を置き、論文も発表することなく世捨て人のような生活をおくっている。その理由は誰にも分らない。
感想
NHKが以前に、特番
【数学】感想:NHK番組「ハイビジョン特集「数学者はキノコ狩りの夢を見る ~ポアンカレ予想・100年の格闘~」」(2007年10月1日放送)
https://perry-r.hatenablog.com/entry/2020/12/04/210359
で扱ったことのあるポアンカレ予想の回。今回番組中で使われた映像の多くが上記の番組からの流用だったので苦笑い(笑)
やはり話がややこしすぎて、30分で説明するのはきつかったなぁ感ありましたね。この番組、毎回1時間有ったら良いのに。
ポアンカレ予想―世紀の謎を掛けた数学者、解き明かした数学者
笑わない数学(NHKオンデマンド)