【数学】感想:NHK番組「笑わない数学」第6回「虚数」(2022年8月17日(水)放送)

別冊 虚数がよくわかる 改訂第3版 (ニュートン別冊)

笑わない数学 NHK https://www.nhk.jp/p/ts/Y5R676NK92/
放送 NHK総合。全12回。

www.nhk.jp
【※以下ネタバレ】
 

https://www.nhk.jp/p/ts/Y5R676NK92/
パンサー尾形貴弘が難解な数学の世界を大真面目に解説する異色の知的エンターテインメント番組! 「リーマン予想」「フェルマーの最終定理」「連続体仮説」「四色問題」「ガロア理論」「abc予想」「確率論」「P対NP問題」「カオス理論」「ポアンカレ予想」「暗号理論」「虚数」・・・。天才数学者をも苦しめてきた数々の難問、そして美しくも不思議な知の世界を、1回30分ワンテーマ、ギャグ封印で、トコトン分かりやすく掘り下げる!


MC 尾形貴弘 (パンサー)

 

第6回「虚数」(2022年8月17日(水)放送)

 

内容

笑わない数学「虚数
[総合] 2022年08月17日 午後11:00 ~ 午後11:30 (30分)


パンサー尾形貴弘が数学の難問を大真面目に解説する「笑わない数学」。テーマは「虚数」。“2乗するとマイナスになる”不思議な数の謎。虚数は「ありえない数」なのか!?


2乗するとマイナス1になるルートマイナス1。どんな数でも2乗すればプラスになると信じていた数学者たちにとって、「虚数」は受け入れることができない数だった。しかし、天才たちの執念によって、虚数は“想像上の数”ではなく、この世界に欠かせない、とてつもなく重要な数であることが明らかになっていく。自然数に始まり、無理数、ゼロといった数を人類が受け入れてきた歴史とともに、虚数発見に至る壮大な物語を紹介する。


【出演】尾形貴弘

 
有理数無理数

 人類はどうやって「数」を発見していったのか。

 まずは「XXが何個ある」という様に「自然数」に気が付き、次に「一個のリンゴを三つに分ける」という様に「分数」にたどり着いたはず。これらは「有理数」という。


 次に「ルート」で表される「無理数」が登場する。「ピタゴラスの定理」で有名な数学者ピタゴラスは、実は教団の教祖でもあった。彼の教団は「万物は数である」をスローガンに、この世界の全ては有理数で表現できると考えていた。

 ところが彼の弟子ヒッパソスはピタゴラスの定理から「直角三角形の縦と横の長さが1なら、斜辺の長さは二乗して2になる数」であることを発見する。この数は有理数では表すことができない。ピタゴラスはこの数の存在を秘密にするため、ヒッパソスを殺してしまったという。



●ゼロの発見

 さらに7世紀ごろインドで「ゼロ」が発見された。この世には「ゼロ個」という個数は無いので、人間は長らく「ゼロ」に気が付かず、「102」という数を表す際には「1●2」と表現していた。●とは「この位には何もない」という意味。

 しかしインドで

 123
-□13
----
□11●

という計算をする場合、「3-3=●」だから「●」は数字の一種として扱おう、ということになり、「●→0」となった。



●マイナスの数の発見

 また同様にインドでマイナスの数も発見された。

 例えばリンゴを1個も持っていない人が「リンゴを4個あげる」と言ったとしても現実にリンゴを1個たりともあげることはできないので、なんとなく「0-4=0」のように表現したくなる。

 しかし、何もない人がリンゴを4個あげることで「4個の借りを作る」と考えて「0-4=-4」と表現するようになった。こうしてマイナスの数も見いだされた。



虚数登場

 自然数有理数、ゼロ、無理数、マイナスの数、これらは全て「数直線」の上で表すことができ、「実数」と呼ぶ。ところが数直線のどこにも当てはまらない数が見つかった。


 数学者・医師・賭博師・占星術師、など多数の顔を持っていたジェロラモ・カルダーノ(1501-1576)は、三次方程式「Xの三乗+ax+b=0」の答えを得る解の公式を発見していた。

 ところが「Xの三乗-15x-4=0」という式では、答えは「X=4」だが、解の公式では途中で「√ -1」、つまり二乗すると-1になる数、が出てきてしまうため、カルダーノは途中で計算を止めてしまった。ラファエル・ボンベリ(1526-1572)はカルダーノの計算を引き継ぎ、我慢して√ -1を受け入れ計算すると、ちゃんと「X=4」と答えが出ると解った。

 しかし、デカルトニュートンなどは、このような「虚数」をあり得ない数と見なしていた。



虚数の研究

 レオンハルト・オイラー(スイス:1707-1783)は、虚数について研究し、虚数を「i」という記号であらわした。そしてついに『オイラーの等式』として知られる「eのπi乗+1=0」という関係を発見した。それは虚数が数学上重要な「e」「π」「0」「1」とつながりがある、という驚くべき事実を示していた。

 カール・フリードリヒ・ガウス(ドイツ:1777-1855)は、実数と虚数を組み合わせた「複素数」について研究し「複素数の範囲ではn次方程式はn個の解を持つ」ことを発見した。例えば、四次方程式は、実数だけの範囲では解の個数は0個から4個までバラバラだが、複素数まで含めると、必ず4個の解を持つ、という事である。

 さらにガウスは、虚数が数直線の上下に存在する数であることも発見した。そして「複素平面」上に築かれた数学のジャンル「複素関数論」が誕生した。虚数は、他の数と同様に存在する数で「想像上の数」ではなかったのである。



●現実の世界に関係する虚数

 20世紀初頭、物理学の世界で、ミクロの世界を扱う「量子力学」の基礎方程式「シュレーディンガー方程式」が発見されたが、その式の中に虚数iが含まれていた。つまり、この世の全てのもの、身の回りの物から宇宙の星々に至るまで、ありとあらゆるものに虚数が関係していたのである。


感想

 虚数入門。科学雑誌ニュートンの特集風というかで、非常に解りやすくてグッドでしたよ。
 
 
ゼロからわかる虚数
ゼロからわかる虚数 (角川ソフィア文庫)


 
笑わない数学(NHKオンデマンド)
笑わない数学(NHKオンデマンド)