【数学】感想:NHK番組「笑わない数学」第9回「暗号理論」(2022年9月7日(水)放送)

図解雑学 暗号理論 (図解雑学シリーズ)

笑わない数学 NHK https://www.nhk.jp/p/ts/Y5R676NK92/
放送 NHK総合。全12回。

www.nhk.jp
【※以下ネタバレ】
 

https://www.nhk.jp/p/ts/Y5R676NK92/
パンサー尾形貴弘が難解な数学の世界を大真面目に解説する異色の知的エンターテインメント番組! 「リーマン予想」「フェルマーの最終定理」「連続体仮説」「四色問題」「ガロア理論」「abc予想」「確率論」「P対NP問題」「カオス理論」「ポアンカレ予想」「暗号理論」「虚数」・・・。天才数学者をも苦しめてきた数々の難問、そして美しくも不思議な知の世界を、1回30分ワンテーマ、ギャグ封印で、トコトン分かりやすく掘り下げる!


MC 尾形貴弘 (パンサー)

 

第9回「暗号理論」(2022年9月7日(水)放送)

 

内容

笑わない数学「暗号理論」
[総合] 2022年09月07日 午後11:00 ~ 午後11:30 (30分)


パンサー尾形貴弘が数学の難問を大真面目に解説する「笑わない数学」。今回は素数の不思議を駆使する「暗号理論」。数学者たちの型破りな発想法が世紀の発明を生んだ!


スマホからメッセージを送ったり買い物をしたり…。そのとき情報のやり取りを安心してできるのは、実は暗号理論のおかげ。私たちはふだんから、高度な数学をつかって暮らしている。でも誰かに解読されてしまう恐れは本当にないのか?なぜそんなに安全とされているのか? その裏にある、現代暗号の驚きの数学エッセンスをお届けする。番組ラストはパンサー尾形からの秘密の暗号が!みなさんの数学の力で読み解いてください。------


【司会】パンサー尾形

 
●身近に使われる暗号

 「暗号」と聞くと、遠い世界の話のように聞こえるが、実は身近に使われている。ネットでメッセージをやりとりしたり、買い物をしたりするときに、暗号が当たり前に使われているのである。



●暗号の基本

 暗号の基本的な考え方は以下のようになる。

 例えば、送り手が受け手に数字「501」を密かに伝えたいとする。その際に、あらかじめ「暗号化の方法」として「元の情報を二倍する」というルールをお互いに決めておく。


1)送り手は「501」をルールに従い二倍にして「1002」に変換して送る。
2)受け手は「1002」を受け取り、ルールを逆にして「二分の一」にして「501」と正しく解読する。


 しかし暗号の問題は、第三者に「暗号化の方法」がバレてしまえば意味がないこと。「1002」を盗み見られて、さらに「元の情報を二倍する」というルールがバレていれば、簡単に元の情報が「501」と解ってしまう。暗号製作者たちは、この問題をどうにか解決できないかと悩んでいた。



●画期的解決方法

 1970年代、数学者のマーティン・ヘルマンとホイットフィールド・ディフィーは、暗号の新しい方向性として、「暗号化の方法」がバレても(公開しても)よい「公開鍵暗号」というアイデアを提案した。

 そして、数学者ロナルド・リベスト、アディ・シャミア、レオナルド・エーデルマンは、その論文を元に全く新しい暗号を作り出し、それは三人の頭文字から「RSA(Rivest Shamir Adleman)暗号」と名付けられた。



RSA暗号

 RSA暗号は「暗号化の方法」が解っているのに解けない画期的な暗号で、数学を利用している。そのキモは「p(素数)×q(素数)=N」という式であらわされる。

 例えば「6569 × 3851」という計算は小学生が手計算で答えが出せる(答え:25297219)。しかし答え「25297219」から、掛け算の元になった二つの素数を見つけるのは非常に難しい(素因数分解の困難性)。RSA暗号は「素数の掛け算は簡単」「しかし答えから元の素数を見つけるのは困難」という事を利用する。


 具体的にはRSA暗号は以下のように使用される。

1)受け手が任意の素数「p 11」と「q 19」を掛け算して答え「N 209」を決める。そして暗号に「N 209」を使うことを公開する(公開鍵)

2)送り手は「21」という数字を伝えたいので、あらかじめ決まっている数式に「N 209」と「伝えたい数字 21」を組み合わせて計算し、暗号「10」に変換。

3)受け手は暗号「10」を受け取り、あらかじめ決まっている数式に、自分だけが知っている素数「p 11」「q 19」と暗号「10」を組み合わせて計算し、元の数字「21」を解読。


 暗号化の方法は公開されているので誰でもわかるが、解読するには「p 11」と「q 19」が必要。もし第三者が暗号を解読したい場合、公開鍵「N 209」を素因数分解すれば「p」と「q」は解るが、それにはとても時間がかかる。現実の世界では、Nは何百桁というとてつもなく巨大な数が使われているので、それを素因数分解して「p」と「q」を求めるには、スーパーコンピューターでも何年もかかり、事実上解読不可能なのである。


感想

 有名なRSA暗号がテーマ。司会の尾形とスタッフが手で暗号を計算してやり取りして見せたりして、暗号通信の基本をやさしく教えてくれたので、非常にスッキリ理解できました。


 RSA暗号って今まで何度説明されてもピンと来なかったのですが、つまり盗み見る第三者の解読側からすると
 ↓
・平文をどうやって暗号化するかは分かっている
・暗号文をどうやって平文化するのかも分かっている
・ヒントとなるNという数字も解っている
・だから、あとはNを素因数分解してpとqを求めればいいだけ!(注:ただしpとqを計算するためにウン年間お待ちください)

ということなんですね。


今まで)暗号化の方法は秘密、でも方法がバレれば解読は一瞬
RSA)暗号化の方法は公開、でも方法がバレていても第三者には解読そのものに時間が死ぬほどかかる


 なるほどねぇ、腑に落ちました。イイネ!

 
暗号理論入門 原書第3版
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笑わない数学(NHKオンデマンド)
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