【映画】感想:映画「トラ・トラ・トラ!」(1970年:アメリカ)

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NHK BSシネマ http://www.nhk.or.jp/bscinema/
放送 NHK BSプレミアム。2022年10月4日(火)

【※以下ネタバレ】
 

1941年12月、太平洋戦争の開戦となった真珠湾攻撃。戦争突入への過程を、日本とアメリカ、それぞれの視点から重層的に描く戦争大作。アカデミー特殊視覚効果賞。


1941年12月の真珠湾攻撃を日本とアメリカそれぞれの視点から描く戦争スペクタクル超大作。開戦の議論を重ねる日本政府、攻撃を立案し、訓練を重ねる日本軍、日本の暗号を傍受し真意を探るアメリカの情報部、そしてハワイに駐留するアメリカ軍。重層的に語られるそれぞれのドラマを、日本とアメリカの実力派俳優が演じ、巨大なセットや大がかりな特撮を駆使した戦闘シーンも話題となった。アカデミー特殊視覚効果賞受賞。

 

あらすじ

 1940年代に入り、日米関係は悪化の一途をたどっていた。日本側は外交交渉を続ける一方で、対米戦争に備え、アメリカ海軍の一大拠点であるハワイの真珠湾を航空機で攻撃するという作戦について検討を開始する。

 1941年に入り、日本は11月末までに対米交渉に進展が無ければ交渉を打ち切り、開戦に踏み切ることを決める。そして攻撃に備え、空母を主力とする機動部隊を秘密裏にハワイに向けて出撃させた。しかし司令長官の山本は、指揮官たちに、交渉がまとまった場合には途中で引き返すようにと厳命していた。

 11月末日になっても日本とアメリカとの交渉はまとまらず、ついに日本海軍は機動部隊に対し、現地時間12月7日午後1時をもって攻撃するように指示する。アメリカ側は、ワシントンにある日本大使館と本国の通信を傍受して日本側の動向を探っていたが、日本から大使館に大量の文書が送信されていたことから、日本はついに最後通牒をつきつけてくると察知する。

 アメリカ政府首脳部は、軍に対し開戦に備えるように指示を出すが、あくまで南方のフィリピンなどが狙われていると推測していた。そして各地の基地に、12月7日午後1時以降の攻撃を警戒させるものの、ハワイは電波障害により通信が出来ず、やむを得ず電報で連絡する。

 日本大使館では本国から送信されてきた内容についてタイプライターを使って文書化を行うが、専門のタイピストを使う事を禁止されていたため、不慣れな大使館員が対応せざるを得ず、本来アメリカ側に手渡すはずの午後1時に間に合いそうになかった。

 そして12月7日午後1時。日本の機動部隊から発進した攻撃部隊が真珠湾に殺到し、停泊していた戦艦・巡洋艦や陸上の基地に大損害を与える。日本側は高らかに奇襲成功を示す暗号「トラトラトラ」を連打し、それを受信した機動部隊は歓喜に沸き返る。奇襲を受けたアメリカ側は満足な反撃もできないまま、一方的に攻撃を受け続けるしかなかった。

 日本の攻撃隊は大戦果を挙げて空母に戻ると、指揮官たちは南雲司令官にすぐさま第二次攻撃を行うように進言する。しかし、南雲司令官は、アメリカ海軍の空母が真珠湾におらず行方不明のため、空母が戻ってきて攻撃を受ける可能性を考慮し、第一次の攻撃で満足して撤退することを決める。

 日本軍が真珠湾に大打撃を与えた後、日本の野村大使はアメリカ側に宣戦布告の文章を届けるが、アメリカ側は激怒して野村を追い返す。

 日本にいた山本長官は、アメリカ側の放送から、宣戦布告の書類が攻撃の55分もあとにアメリカ側に提出されたことを知る。山本は、開戦直後に真珠湾に大打撃を与え、アメリカ側の戦意を喪失させるはずだったのに、結果的にだまし討ちになってしまい、却ってアメリカ側の戦意を高揚させてしまったと暗い表情を浮かべる。<完>

感想

 評価は○(まあまあ)。
 
 タイトルは有名ですが、他の戦争大作映画と違って今まで見る機会がなく、ようやく視聴できました。

 内容は、教科書に載っているレベルで有名な真珠湾攻撃を、そこに至る歴史の流れを含めてみっちり描いている超大作。

 ストーリーは、日本側とアメリカ側の様子を交互に描いきつつ進んでいきますが、監督も脚本もアメリカ人だけでなく日本人が参加しているので、日本人サイドの映像は完全に日本映画になっています。日本海軍の高官たちが作戦について言い争ったり、山本五十六が部下たちを叱りつける場面など、アメリカ人だけが書いたシナリオだったらこういう場面はないだろうなぁ、というシーンが多々見られ、日本人の視聴者としては嬉しいところでした。

 しかし変なところもあり、日本大使館の場面とか山本五十六が近衛首相と話すところとか、何故か場違いな琴の音色が流れていて、妙な雰囲気を醸し出していました(笑)


 アメリカ映画だけに金が有り余っていたのか、何かにつけて豪華。日本海軍の高官たちが戦艦の上に集まるシーンとか有るのですが、砲塔とか艦橋とか、どうみても模型ではなくリアルに実寸大で作っているようにしか見えない……、どうやって撮影したの?

 あと、とにかく何でもかんでも爆破してる(笑) P-40戦闘機は飛行場にまとまって待機しているところを大量に爆破、B-17爆撃機は着陸に失敗して爆破、カタリナ飛行艇も攻撃を受けて炎上、格納庫も吹き飛ばす、と、終盤は破壊シーンの連発で、どれだけ金がかかっているんだか分らん! というすさまじい破壊っぷりでした。さすがアメリカさんはお金持ちだ。

 2時間24分の映画なのに、真珠湾攻撃は1時間40分過ぎからようやく開始、という事で、ちょっと見るのに根気が必要でしたが、この手の戦争モノが好きな人だったら見て損はない内容でしたです。


 俳優は、アメリカ側は知らない人ばっかりでしたが、日本人側は

山本五十六長官 山村聡←昭和の映画テレビでお馴染み
南雲忠一司令長官 東野英治郎←初代の水戸黄門
山口多聞司令官 藤田進←特撮映画とかウルトラセブンとかの常連
・源田中佐 三橋達也 ミッチ―だったのか……

と馴染みの顔がちらほらみられて、そういう意味でも安心できる映画でした。
 
 

シネマ「トラ・トラ・トラ!」<字幕スーパー><レターボックスサイズ>
[BSプレミアム] 2022年10月04日 午後1:00 ~ 午後3:24 (144分)


【製作】
エルモ・ウィリアムズ
【監督】
リチャード・フライシャー舛田利雄深作欣二
【原作】
ゴードン・W・プランゲ、ラディスラス・ファラーゴ
【脚本】
ラリー・フォレスター小国英雄菊島隆三
【撮影】
チャールズ・F・ウィーラー、姫田真左久、古谷伸、佐藤昌道
【音楽】
ジェリー・ゴールドスミス
【出演】
マーティン・バルサム山村聰、ジェイソン・ロバーズ、三橋達也、ジョセフ・コットン、田村高廣 ほか


製作国:
アメリ
製作年:
1970
原題:
TORA!TORA!TORA!
備考:
英語、日本語/字幕スーパー/カラー/レターボックス・サイズ

 

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