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伝令船《コルドバ》遭難! (ハヤカワ文庫SF SFロ 1-677) 文庫 2022/11/16
K・H・シェール (著), ペーター・グリーゼ (著), シドラ 房子 (翻訳)
出版社:早川書房 (2022/11/16)
発売日:2022/11/16
文庫:286ページ
【※以下ネタバレ】
《タアフル》から救出されたトスタンとプースは、ティフラーとともに、最新鋭の伝令船《コルドバ》で《バジス》へと向かうが……
破壊された“タアフル”から救出されたラトバー・トスタンとポージー・プースは、ジュリアン・ティフラーとともに、最新鋭の伝令船“コルドバ”で“バジス”へと向かう。当初は順調だった航行もハイパー空間に入ってしばらくしたときに突然、衝撃波前線と衝突し、“空間断層”にまきこまれ異宇宙のアインシュタイン空間に投げだされてしまった。残存エネルギーはごくわずか。はたして、無事に帰還することはできるのか?
あらすじ
◇1353話 伝令船《コルドバ》遭難!(K・H・シェール)(訳者:シドラ 房子)
NGZ447年2月。ラトバー・トスタンたちは、GOIのクラーク・フリッパー基地から伝令船で《バジス》へ向けて出発したが、航行中に未知領域「空間断層」に実体化してしまった。空間断層は、1月下旬に銀河間空間に五百億の恒星が出現した影響で発生したものと判明した。やがて空間断層内に、トスタンがかつて異宇宙で遭遇した好戦的な種族「竿族」(ハウリ人)が出現し攻撃を仕掛けてきたが、トスタンたちはなんとか逃走し、《バジス》に到着した。(時期:NGZ447年2月22日~3月10日)
※初出キーワード=空間断層。時空歪曲バリア。惑星ホットプレス。
◇1354話 ウムバリ船救出指令(ペーター・グリーゼ)(訳者:シドラ 房子)
NGZ447年1月31日に、ニッキ・フリッケルたちは銀河間空間でカルタン人の長距離宇宙船と接触するが、直後近傍に無数の恒星が出現したことで、ショックで意識を失ってしまった。7月上旬、ようやくニッキたちは意識を取り戻し、通信を傍受することで、恒星群は異宇宙タルカンから転移してきたハンガイ銀河の一部であることを突き止めた。ニッキたちは、ハンガイ銀河の住民「タルカン=カルタン人」と接触し、情報を交換してからテラへと帰還した。(時期:NGZ447年7月10日~31日)
あとがきにかえて
・スイスでバレェを見たり、格闘技シュヴィンゲンの大会を見た話
・ウクライナの戦争の話
感想
・前半エピソード 原タイトル:CORDOBA RUFT BASIS(意訳:《コルドバ》は《バジス》を呼ぶ)
ラトバー・トスタンたちが異空間に捕まって苦労する話。
宇宙船が未知宙域で遭難し、苦労してなんとか帰還する、という展開はなんとも昔のローダン風味というか、古参のシェールらしい一作というか、という感じ。ただし見慣れない専門用語がやたら多く、読み進めるのに一苦労でした。今回のシェールの文体が特別なのか、翻訳が悪いのか……
メタグラヴ・エンジン搭載艦は、乗組員がちょっとうっかりしただけで宇宙のど真ん中で燃料切れで動けなくなる可能性がある、って、とんでもない欠陥なのでは?(笑) ローダン・シリーズの宇宙船が「燃料切れ」に陥ってしまった、という展開は過去676冊読んで来たけど初めての事象のような気がする……
・後半エピソード 原タイトル:STRANGENESS-SCHOCK(意訳:ストレンジネス・ショック)
ニッキ・フリッケルたちがハンガイ銀河の住民と初遭遇する話。宇宙の固有のストレンジネスの差異のせいで、互いに相手と接触するのが困難、という設定がちょっと面白い。
それにしても、このサイクルに入って以降に痛感するのは、ローダン・シリーズが完全に「群像劇」になってしまったということですね。もはやペリー・ローダンは主役でも何でもなく、トヴァリ・ロコシャンやニッキ・フリッケルやラトバー・トスタンたちと同程度の扱いのキャラに過ぎないという事実……、だって全然出てこないんだもん(※既に「ネットウォーカー・サイクル」でそうなっていたと言えばそうなんですけどね……)
ところでP186の「ルミレター」って何? シリーズ特有のSF用語とは思えないので余計に気になります……