【ゲームブック】感想:ゲームブック「鉄人28号 東京原爆作戦」(樋口明雄、スタジオ・ハード/1986年)【クリア】

ゲームブック 鉄人28号東京原爆作戦 (光文社文庫)

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ゲームブック 鉄人28号東京原爆作戦 (光文社文庫) 文庫 1986/12
横山 光輝 (著), 樋口 明雄 (著), スタジオ・ハード (編集)
文庫: 281ページ
出版社: 光文社 (1986/12)
発売日: 1986/12

★★【以下ネタバレ】★★
 
 

昭和30年、冬。戦災の傷も癒えつつあった首都・東京で戦慄すべき謀略が進められていた。謎の秘密組織が東京の何処かに原爆を仕掛けたというのだ。東京は再び焦土と化してしまうのか?鉄人28号の力を借りて捜索作戦を開始せよ!大迫力のゲーム登場!

 

概要

 横山光輝の巨大ロボット漫画「鉄人28号」の世界観を使ったゲームブック


あらすじ

 昭和30年12月18日。謎の組織「ブラックファントム団」は、3日後の12月21日午前0時に東京某所で原爆を爆発させると予告してきた。政府はただちに都民を避難させる一方、大塚署長を責任者とする対策本部を設立する。しかし大塚署長と名コンビを組んでいた少年探偵・金田正太郎アメリカに留学中で、とても帰国は間に合わない。さらに敷島博士の邸宅を何者かが襲撃し、博士は拉致されてしまう。

 しかし鉄人の操縦機は、敷島博士の書生である「滝一平」によってからくも持ち出されており、滝は大塚所長と共に原爆捜索を開始した。滝は原爆を発見し、東京壊滅を阻止できるか!?


ゲームシステムなど

 パラグラフ数400。

 ゲームには「時間ポイント」「鉄人パワーポイント」「主人公(滝一平)の体力ポイント」の3つのポイントがあり、全て持ち点100からスタート。

 時間ポイントは原爆爆発までの持ち時間を表しており、選択ミスなどの理由でどんどん減少し、この数値がゼロになるとゲームオーバーとなる。鉄人パワーポイントや体力ポイントは戦闘などで減少するが、回復することもあり、持ち点によってストーリーが分岐する。


感想

 評価は○(まあまあ)

 横山光輝の巨大ロボット漫画の古典「鉄人28号」の世界を使用したゲームブック。評価としてはまあまあでした。


 プレイヤーは原作の主人公の金田正太郎少年ではなく、オリジナルキャラクター「滝一平」青年(20歳/昭和10年生まれ)となり、悪の組織ブラックファントム団の陰謀の阻止を目指します。

 ゲーム展開としては、大塚署長と一緒に東京都内を総当たりで探索し、原爆の発見を目指すことになります。しかし都内ではブラックファントム団の巨大ロボット「ファントムX」が暴れまわっており、警察の行動を妨害してきます。ブラックファントム団の執拗な妨害、刻々と迫るタイムリミット、果たして滝はタイムリミットまでに原爆を発見し爆発を阻止できるのか?! というスリリングな展開となっています。

 またイラストの代わりに味のある写真が掲載されているのも良い感じです。どの写真も物語の一場面をミニチュアの鉄人やファントムXや車両を撮影して再現したものですが、リアリティを出すような工夫を全くしておらず、もうおもちゃをポンと置いて無造作に撮影した様にしか見えません。しかし、写真の説明文には、堂々と「写真提供:●●新聞社」等と書いてあり「これはリアルな写真です」という体で強引に押してくるので、それはそれで何となく楽しいものがありました(笑)


 原作漫画ファンとしては、「鉄人28号」の面白さのメインである、鉄人と悪のロボットのバトルシーンがどのように描写されているか気になっていましたが、これが意外にも結構うまく処理されていました。

 戦闘シーンでは選択肢として「足で蹴飛ばす …… XX番へ」「腰を抱える …… XX番へ」という風に二択で選択が示され、例えば蹴り飛ばすと相手のロボットが吹っ飛んで倒れるので、次のアクションとして「抑え込む …… XX番へ」「上から殴りつける …… XX番へ」という風に続き、全体として結構それらしく鉄人を操縦している感覚を味わえました。また敵ロボットは、ロケット弾、毒ガス、妨害電波、火炎放射、等のギミックを搭載しており、それらにどう対処するかでも色々戦闘の展開が変わって楽しめました。


 ストーリー構成はわりと単純で、滝が東京の各所(新宿や日本橋や日比谷など)を片端から調べていくと、その度に悪の組織の構成員やファントムXが出現するのでそれに対処していき、一つ課題をクリアすると次の捜索場所に向かい、の繰り返しです。しかし終盤はいよいよ原爆の隠し場所が判明し、悪の組織のボスとの対峙、ファントムXとの最終決戦、等が立て続けに発生するので盛り上がること必至です。まあこの段階に来ると、少し選択を間違えただけですぐに原爆が爆発してしまうので注意が必要ですけどね。


 難易度は「かなり易しい」部類で、特に引っ掛けも無く、一時間半~二時間程度でハッピーエンドまで到達できました。まあ、そのあと、選ばなかった選択肢に進むとどうなるかを調べるのが結構面白く、そっちに結構時間を取られたものの、合計でも四時間も有れば完全クリアできました。


 まあ、不満を言うなら、一つは原作漫画の雰囲気があまり(というより殆ど)出ていないこと。本作では原作漫画の主人公の金田正太郎は登場しない上、敷島博士も大塚署長もたいして出番がなく、滝一平がほとんど一人で行動しているだけなので、残念ながら原作漫画の雰囲気は殆どありません。プレイ前は「原作漫画の世界観で鉄人を操縦できる」と喜んでいたので、かなり肩透かしでした。

 またパラグラフ数400の割にはやり応えは軽く、雑誌の付録ゲームブックをプレイしている様な感覚でした。決してつまらないわけではないのですが、ページ数の割にはあっさり気味でしたね。


 と不満点はあったものの、総合的にはなかなかの出来栄えで、プレイして後悔するような作品ではありませんでした。鉄人28号好きならプレイして楽しめる一作だと思います。
 
 
 

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