【SF小説】感想「カルタン人揺籃の地」(宇宙英雄ローダン・シリーズ 687巻)(2023年4月25日発売)

カルタン人揺籃の地 (ハヤカワ文庫SF SFロ 1-687)

http://www.amazon.co.jp/dp/4150124035
カルタン人揺籃の地 (ハヤカワ文庫SF SFロ 1-687) 文庫 2023/4/25
クルト・マール (著), エルンスト・ヴルチェク (著), 工藤 稜 (イラスト), 嶋田 洋一 (翻訳)
出版社:早川書房 (2023/4/25)
発売日:2023/4/25
文庫:272ページ

【※以下ネタバレ】
 

大艦隊でアンクラム宙域に押し寄せたベングエルとジュアタフ・ロボットに会ったローダンは、探索する"イマーゴ"の正体に気づく


突如アンクラム宙域にベングエルとジュアタフ・ロボットの大艦隊が押し寄せた。「イマーゴがこの付近にいるはず」というのがかれらの主張だった。困惑したプロジェクト・リーダーのレン・ノに懇願され、ローダンがその代表と会ってみると、惑星トゥヨンで起こったのとまったく同じ現象が発生した。ベングエルとジュアタフ・ロボットが謎の放電現象により生命を絶ったのだ!そしてその場には同様にヴェンノクがいて…

 

あらすじ

◇1373話 イマーゴ(クルト・マール)(訳者:嶋田 洋一)

 NGZ447年5月。タルカン宇宙。ローダンたちがアンクラム星系に戻った直後、星系にベングエル種族とジュアタフ・ロボットの合同大艦隊が出現した。彼らは正体不明の「イマーゴ」を探しており、ローダンはイマーゴとは自分のことだと察してすぐさま逃走した。やがてローダンは、通常宇宙のアブサンタ=ゴム銀河に所属していた星団が、ハウリ人によってタルカン宇宙に転送されたことを知り、さらに一惑星でエスタルトゥの手掛かりらしいものを発見した。そのあと、ローダンはカルタン人の大艦隊に捕捉され、彼らとナックの故郷であるチャリフ星系に連行された。(時期:NGZ447年5月15日~7月10日)

※初出キーワード=カンサハリヤ(二十二同盟)。イマーゴ(シェハラ)。惑星ヴァイラク=ゴム。惑星ナンサル/惑星ヴィナウ/惑星チャリプ。衛星アナンサル。


◇1374話 カルタン人揺籃の地(エルンスト・ヴルチェク)(訳者:嶋田 洋一)

 ローダンは、カルタン人たちに異宇宙メーコラーのことを知る重要人物として迎えられた。ローダンは、ハンガイ銀河転送を主導する組織・プロジェクト機構が、実際は正体不明の存在「知識権限の中枢」の指示に盲目的に従うだけの無責任な者たちの集まりと知る。ローダンはチャリフ星系に潜伏していたハウリ人諜報組織とプロジェクト機構内の裏切り者を摘発した。(時期:不明。NGZ447年7月頃)

※初出キーワード=シュオ=ゴン=ウェン(カルタン語の「プロジェクト機構」)。ゴン=ウェン(プロジェクト機構メンバー)。秘密組織ハン=シェイ=クォン。

あとがきにかえて

・お父様が99歳で亡くなった話の続き


感想

・前半エピソード 原タイトル:IMAGO(意訳:イマーゴ)

 ローダンがイマーゴだと言われて追い回されたり、謎の星団を見つけたり、カルタン人の母星系に連れていかれたり、と忙しい話。ローダンが「あれは一ヵ月以上前のことだった……」みたいに回想したりして、時系列が込み入っていたためどうも読み辛かったです。マールらしくない回。


P98に変な記述あり。

誤「惑星タンバウ」
正「惑星ヴァイラク=ゴム」

もちろん原書からの間違いですね……、日本側のミスなんてありうる?



・後半エピソード 原タイトル:WIEGE DER KARTANIN(意訳:カルタン人のゆりかご)

 ローダン一行が、ハンガイ銀河転送の責任者たちに会うものの、全員自分たちが何をしているのかよく解っていなくてガックリ、という話。カルタン人たちは、死にゆく宇宙から通常宇宙へ必死に逃れる難民というイメージだったのですが、実際は冒険が一杯の異宇宙にお引越しするつもりのお気楽な連中の集まりだったという…… 参った。

 P177にさらっと「<バ>ンタング」と有りますが、これは675巻に登場した惑星ベンタングのことでしょう。一冊毎に訳者がバラバラだから、こういう細かいところの用語を統一するのは困難だとは思いますけど、早川の編集者はこれくらい気が付いて直してほしい。こういう事のチェックに流行のAIとか使えないものか?
 
 
 

675巻~700巻(「タルカン」サイクル)の他の巻の内容・感想は以下へどうぞ

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ローダン・シリーズ翻訳者一覧は以下へどうぞ

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