【アニメ】ビジネス雑誌:週刊東洋経済2023/5/27号「アニメ 熱狂のカラクリ」の内容が凄い【永久保存版】

週刊東洋経済 2023/5/27号(アニメ 熱狂のカラクリ)

週刊東洋経済2023年5月27日号 | 東洋経済STORE
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週刊東洋経済 2023/5/27号(アニメ 熱狂のカラクリ)
週刊東洋経済編集部 (著)
出版社:東洋経済新報社; 週刊版 (2023/5/22)
発売日:2023/5/22

 
 ネットの方では低クオリティのクソ記事を量産しがちな「東洋経済」ですが、金が儲からないサイトでは手を抜いても、きちんと本屋で売る雑誌の方の「週刊東洋経済」はキチンとした仕事をしています。

 そして、今週発売号「2023/5/27号」の特集「アニメ 熱狂のカラクリ」が凄かった! 雑誌の七割くらいをアニメの記事に割いており、読みごたえが物凄かったです。


内容

【特集】アニメ 熱狂のカラク


過去10年で市場規模は2倍以上に拡大――。日本にはそんな急成長産業があります。アニメです。映画では興行収入100億円超えの作品が続々登場するなど、今や国民的カルチャーになりました。動画配信サービスの普及で海外ファンも急増、大企業はアニメへの投資にアクセルを踏んでいます。一方で、アニメ制作現場が利益を得にくい構造や、横行するセクハラなどの根深い問題は依然として残ります。「アニメ『聖地』ランキング」、投資家必見の「アニメ四季報」も掲載。沸騰するアニメビジネスの最前線を徹底取材しました。

 

特集
アニメ 熱狂のカラク

part1 熱狂!アニメマネーの全貌
10年で市場規模は2倍以上に アニメマネー、世界で乱舞
[インタビュー エンタメ社会学者のアニメ産業展望]
外市場5兆円へ、課題は「ビジネス人材」不足 Re entertainment 代表 中山淳雄

製作委員会は「カネ余り」 プロダクションは「豊作貧乏
出版社がボロ儲け 狂乱のIPバブル
[コラム]「パチンコ」アニメ版権の明暗
[インタビュー]バンダイナムコホールディングス 社長 川口 勝

アニメーター賃金に異変 氷河期から「二極化」へ
[トップインタビュー]アニメ制作スタジオの風雲児 2社が挑む「業界の悪習」打破
トムス・エンタテインメント 社長 竹崎 忠/MAPPA 社長 大塚 学
セクハラは依然「日常」 声優たちの過酷な境遇 ジャーナリスト 辻 麻梨子


要旨
 
 日本アニメの勢いが止まらない。海外に同時配信できることで市場が拡大。また2022年は邦画の興行成績トップ5が全てアニメだった。


 製作委員会には、儲けようとする企業が自分たちも一枚かもうと殺到し、濡れ手に粟の大儲け状態で笑いが止まらない。しかし作る方のアニメ会社は作って作っても儲からず、アニメ業界は「資本家が労働者を搾取してボロ儲けする」という構図そのもの。


 アニメの原作となる漫画を作る集英社講談社小学館は、IP(知的所有権)をカネにする方法を見つけて、ここも笑いが止まらないくらい大儲け。特に集英社の勢いはすさまじい。業界関係者の中には、ジョークで「漫画部門とIP部門が有ればいいから、儲からない雑誌部門なんか爆破してしまえ」とかいう人間もいるという。


 アニメーターも若いアニメーターは先輩から技術を教わることが出来なくなり、二流のままずーっと低賃金でこき使われている状態。


 トムス・エンタテインメント社長のインタビュー。『ゲーム業界は、ゲーム機の会社がクリエイターたちに自分たちのためにゲームを作ってくださいとお金を積む。逆にアニメ業界は仕事を頼む方がアニメを実際に作っているクリエイターたちより威張っている。何故実際に物を作っているクリエイターの方が立場が下なのか。おかしい』


 声優たちは30代になっても年収が100万円以下の人間が大半。またセクハラも当たり前で「プロデューサーが女性声優を恋人代わりにディズニーランドに連れて行く」とかある。ハラスメントは当たり前の遅れた業界。しかし仕事を回してもらうためハラスメントに耐えるしかない状態。
 
 
 

part2 アニメで攻める日本企業
ソニー×アニメ]ソニーが築いた「アニメ帝国」の凄み
[動画配信×アニメ]「黒船」はなぜ失速したか ネットフリックスの反省
[音楽×アニメ]超一流アーティストがアニソン「全集中」の必然
[テレビ局×アニメ]脱広告依存で加速 テレビ局のアニメ戦争
[映画会社×アニメ]東宝が「本気モード」 横綱東映を猛追
[玩具×アニメ]グッズの海外進出 困難を極める事情
[中国×アニメ]市場も技術も急成長 中国アニメの脅威

 
要旨

 幾多のアニメ会社の中でもソニー系列の「アニプレックス」の存在感は飛びぬけていて、もう「アニプレックスとそれ以外」という状態になっている。


 ネットフリックスオリジナルアニメについて。数年前に参入した時は黒船と呼ばれて騒がれたが、今はもう見る影もない。原因は「独占配信」という形式。独占ゆえに配信してもテレビ放送と違いまるで話題にならない。例えば、一作目が大ヒットした「タイガー&バニー」の続編を独占配信したが、まるで話題にならず業界を震撼させた。

 またアニメ会社も「アニメ関連商品」が作れないので、もうネットフリックスを見限っていて、面白い企画はテレビで放送し、つまらない企画はネットフリックスに持って行く、という状態。そしてネットフリックスはアニメから手を引きつつある。


 今やアーティストがアニメの曲を歌うのは当たり前となった。売れるから。


 中国アニメ。テレビアニメはまだまだだが、劇場アニメはかなりのものが作れるようになってきた。人員育成にも力を入れている。
 
 
 

part3 アニメを知ろう!生かそう!
ビジネスパーソンが押さえるべき 最新教養アニメ20
[コラム]劇場版『コナン』ヒット連発の裏側

トップランナーの推しアニメ1]『プラネテス』ほか サイバーエージェント 執行役員副社長 日高裕介
トップランナーの推しアニメ2]『Dr.STONE』ほか 東京大学大学院経済学研究科 教授 小島武
トップランナーの推しアニメ3]『未来少年コナン』ほか BNPパリバ証券 経済調査本部長 河野龍太郎

[独自集計]途切れない誘客に称賛 「アニメ聖地」ランキング
“聖地”がうらやむ日本の「アニメ聖地」ベスト20
[コラム]「元祖聖地」は放送15年後も活況

AIはアニメ制作をどのように変えるか
[特別付録]こんなにある! 珠玉のアニメ関連銘柄 「アニメ四季報

 
要旨

 見るべきアニメ20選。鬼滅の刃、スパイ×ファミリー、すずめの戸締り、エヴァンゲリオン完結編、ウマ娘、他。

 聖地巡礼ガルパン大洗町とか、らき☆すたの埼玉県久喜市とか。


感想

 ビジネス雑誌の週刊東洋経済の大アニメ特集号。アニメ雑誌では絶対に記事にならないような内容がこれでもかと並んでおり、アニメ好きなら絶対目を通して損はない内容です。これは凄いわ。
 
 

https://str.toyokeizai.net/magazine/toyo/
担当記者より
特集「アニメ 熱狂のカラクリ」を担当した森田です。最近、『すずめの戸締まり』と『THE FIRST SLAM DUNK』が中国で立て続けに大ヒットしたというニュースが、ネットやテレビを沸き立たせました。


これは一過性の現象ではありません。動画配信の普及で、日本アニメが世界に同時拡散するようになり、その市場規模は2021年に2兆7422億円。10年で2倍以上に成長しました。今の日本では数少ない成長産業です。


業界関係者を徹底的に取材する中、繰り返し問うたのが「アニメ業界のキープレーヤーは誰か」。そして、大方の返答は「集英社」と「ソニーグループ」に集中しました。


集英社は『週刊少年ジャンプ』を擁し、『鬼滅の刃』や『呪術廻戦』、『SPY×FAMILY』など、ヒット作を上げればキリがない「漫画王」。アニメプロデューサーたちは、飲み会やゴルフに同社の編集者を誘い出し、必死にアニメ化の権利獲得を図ります。


エレキからエンタメへと大転換したソニーグループは、アニメ『鬼滅の刃』シリーズを仕掛けたプロデューサー集団・アニプレックスと、日本アニメの配信で世界最大級のクランチロールを傘下に抱えています。有力なアニメスタジオも持ち、アニメの企画・制作から配信まで、バリューチェーンを超一流企業でカバーしています。


そして今、業界内で密かに注目されているのが、両社の関係性です。集英社ソニーは、アニプレックスを介した“蜜月”関係で知られており、近年も異例の合弁企業が組まれています。ただ、強くなりすぎたソニーグループを警戒し、集英社が人気原作を他社に振り分けるのではないかと、アニメプロデューサーたちが手ぐすねを引いているのです。


今回の特集では、こうした大企業を取り巻く様相から、アニメーターや声優の労働・ハラスメント問題まで完全網羅しました。アニメと関係性の薄いビジネスパーソンにも、思わず読み込んでいただけるように、面白く、そして生々しく作り込めたと自負しています。特別付録には「アニメ四季報」も。どうぞご笑覧ください。
担当記者:森田 宗一郎(もりた そういちろう)