【経済】感想:NHK番組「シリーズ 欲望の経済史~ルールが変わる時~」第5回「大衆の夢のあとさき ~繰り返すバブル~」

欲望の資本主義

シリーズ 欲望の経済史~ルールが変わる時~ http://www4.nhk.or.jp/P4384/
放送 NHK Eテレ。22:30~23:00。全6回。

【※以下ネタバレ】
 

第5回 大衆の夢のあとさき ~繰り返すバブル~ (2018年2月2日(金)放送)

 

内容

2月2日金曜
NHKEテレ1 午後10時30分~ 午後11時00分
シリーズ 欲望の経済史~ルールが変わる時~第5回「大衆の夢のあとさき」


それは百年近く前、繁栄の只中のアメリカで起きた。世界恐慌。株の大暴落。不況は長引き、銀行、企業は次々に倒産、未曽有の事態となる。なぜバブルは繰り返すのか?稀代の経済学者ケインズは投機に走る大衆心理を、ユニークなルールの美人投票に例え、その本質をうがった。リーマンショックに到るまで、繰り返すバブル。それは避け難い大衆心理の帰結なのか?ケインズの思考の真に示唆するところを、世界の知性たちとともに考える


【出演】ドイツ 経済ジャーナリスト…ウルリケ・ヘルマン,イギリス 上院議員、ウォーリック大学…ロバート・スキデルスキー,パリ経済学院 教授…ダニエル・コーエン,モルガンスタンレー…ルチル・シャルマ,CSOB銀行 マクロ経済…トーマス・セドラチェク,カリフォルニア大学 教授…バリー・アイケングリーン,オックスフォード大学 教授…ケビン・オウローク,【語り】首藤奈知子

 中国は経済成長率6パーセントと目覚ましい発展を遂げているが、実は外国から資金を注入して成長を維持している。1ドル成長するために4ドルの負債を抱えている。


 1920年代のアメリカは黄金の20年代と呼ばれるほどの好景気を謳歌したが、生産過剰のために金が余って投機が過熱しバブルとなった。1929年にバブルが崩壊し大不況となり、世界恐慌の引き金となった。


 20世紀の巨人ケインズは、投資を「美人コンテスト」に例えた。ただしそれは「自分が好きな人に投票する」のではなく、「優勝した人に投票した人には賞金をあげます」というルールのあるコンテストである。こうなると「自分が誰を美人と思うか」で投票するのではなく、「みんなはどの人に投票するつもりなのか」という動向を確認するほうが重要になる。結果的に誰一人美人と思わない人が優勝することもあり得る。投資も同じで、人気が有るからといって、その会社が優秀だというわけではない。だが、一度「優勝」すれば、価値が生まれ、それは幻想だと解っていても誰にも止められなくなる。


 ケインズは不況時に雇用が自動的に調整されると考えるのは楽観的過ぎるとして、政府の積極介入を唱えた。政府が金利を下げれば、お金が借りやすくなり、企業が設備投資に走り、そのため雇用が生まれるようになる。

 ただし単に金利を下げただけで設備投資が盛んになるとは限らない。そのためケインズは投資する人間の心理を考えるように説き、政府は電気ショックのような刺激を与えよと言った。極論としては、政府は何もない所に巨大な穴を掘る仕事を作り、それを適当に何かで埋めさせ、また不況になれば穴を掘り起こさせる。こうして仕事を作れば、失業者は無くなると言った。これが公共投資


 未来は予測できない。それをリスクと呼んでリスク対処しようという考え方もあるが、枠組みそのものが大変動するような事態が起こりうる。ケインズは、ルーレットの確率や明日の天気などはある程度予測できるが、20年後の銅の価格やある発明がいつ陳腐化するかなどは科学的に予測不可能として、これを不確実性と呼んだ。リスクは計算できるが、不確実性は計算できない。二つを混同すると大変なことになる。


 株の投機は危険だが、不動産の投機はもっと危険である。何故なら、国の富の半分は不動産だから。1990年代の日本のバブル崩壊や、2008年のリーマンショックも不動産バブルの崩壊だったことを見れば、それが解る。


 大衆がパニックに陥ると株式市場や銀行から金を引き上げる。それは個人としては正しい行動だが、それが株式市場や銀行に混乱を引き起こす。


 金融危機は予測できない。何故なら例えば「2年後に起きる」と予測した途端、みんながそれに対処しようとして行動してしまい、今すぐ危機が起きてしまうから。金融危機の予測は扱いが難しい。

感想

 ケインズ先生って調べてみたらめちゃくちゃ有名な人だったんですね。
 
 

他の回の内容・感想は以下のリンクからどうぞ

「シリーズ 欲望の経済史~ルールが変わる時~」内容・感想まとめ

perry-r.hatenablog.com
 
 
経済史の理論 (講談社学術文庫)
経済史入門―経済学入門シリーズ (日経文庫)