感想:小説「難船者たち」(宇宙英雄ローダン・シリーズ 529巻)(2016年9月21日(水)発売)

難船者たち (ハヤカワ文庫 SF ロ 1-529 宇宙英雄ローダン・シリーズ 529)

http://www.amazon.co.jp/dp/4150120897
難船者たち (ハヤカワ文庫 SF ロ 1-529 宇宙英雄ローダン・シリーズ 529) 文庫 2016/9/21
H・G・フランシス (著), クルト・マール (著), 工藤 稜 (イラスト), 若松宣子 (翻訳)


銀河間の虚空にあるマークスのルックアウト・ステーションを襲った種族の正体とは?


ハルト人イホ・トロトと惑星ジャルヴィス=ジャルヴ出身のブルーク・トーセンは、“デポ"をめざして飛行をつづけている。同じころ、異知性体三名の乗る宇宙船が銀河間のブラックホールをめざしていた。宇宙船に乗るセレスプラマー人たちの故郷惑星は、小惑星群との衝突が避けられず、種族は絶滅の淵にある。そこで、三名はブラックホールによる空間ジャンプで、はるか彼方にあるべつの居住惑星を探そうとしていたのだ!


発売日 = 2016年9月21日(水)
サイクル= 第16サイクル「宇宙ハンザ」


【※以下ネタバレ】
 

内容

◆1057話 難船者たち(H・G・フランシス)(訳者:若松宣子)

 セト=アポフィスの支配下にあるイホ・トロトとトーセンは、宇宙船の不調のため、宇宙駅ルックアウト・ステーションに寄港したが!?


 ローダン・シリーズでおなじみ「本編とは関係の無い、作者が適当にひねり出した今回限りのエピソード」は、不定形種族セレスプラマー人の大冒険話。種族が滅亡したため、ブラックホールを利用して宇宙船を移動させ、ルックアウト・ステーションにたどり着くものの、テラナーやマークスと全くメンテリティが違うため、大混乱、というか大虐殺を引き起こす話。異種族とのコミュニケーションは本当に大変だ、という教訓が得られるエピソードですが、「水素を流し込んだら全滅しました」で簡単に済ませるのもどうなのかと……、せめてラストの死に様くらい書いてあげるべきなのでは。

 今回は上記の寄り道話がメインで、肝心の本筋は「トロトたちが宇宙駅に来たが、すぐに出て行った」とそれだけというシンプルさ。確かに『エイリアン』もどきの話でページを埋めないと一本書けませんよね。なお、今まで「デボは100億光年以上の彼方にあるツインクエーサー」と言っておきながら、唐突に「実は違いました」という方向転換ぶりも凄い。クエーサーの説明の「プシオン・リフレクター」とか「プシオン性ジェット流のミラー・フィールド」とか何を言っているのか全く解らない。



◇1058話 M-3への進撃(クルト・マール)(訳者:若松宣子)

 ローダンはポルレイターが銀河系のM-3球状星団に向かったことを知り、捜索に乗り出したが!?


 ローダンやミュータントたちが宇宙船に乗って未知の宇域の調査に向かう、という昔テイストのエピソード。今まで姿を見せなかったイルミナ・コチストワが久しぶりに登場しているのも懐かしいことしきりです。ちなみに今回初登場の女傑ニッキ・フリッケルは今後レギュラーキャラとして活躍することになります。この時点で出ていたのか。



 前半はイマイチ、後半はそこそこ、でした。


表紙絵

 メインはブルーク・トーセンと、明らかに様子のおかしいイホ・トロト。


あとがきにかえて

 担当は「若松宣子」氏。全3ページ。ロボット脳ネーサンの語源と、ツール・ド・フランスの話。


次巻予告

 次巻は530巻「黒いモノリス」(クルト・マール&クラーク・ダールトン)(2016年10月6日(木)発売予定)。


おまけ

 関連サイトはこちら。

ペリー・ローダンへの道
http://archduke.la.coocan.jp/PRSindex.htm