感想:海外ドラマ「X-ファイル シーズン7」第22話(最終回)「レクイエム」


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■ディーライフ/Dlife X-ファイル シーズン7 http://www.dlife.jp/lineup/drama/xfile_s7/
放送 Dlife。全22話。

【※以下ネタバレ】


※シーズン7の他のエピソードのあらすじ・感想はこちら→「X-ファイル シーズン7」あらすじ・感想まとめ

第22話(最終回) レクイエム REQUIEM

あらすじ

経費を使いすぎる、とFBI会計検査官に嫌味を言われるモルダー。そこへ、7年前にガールフレンドのテレサと共に異星人に誘拐されたオレゴン州のビリーから、電話が入る。


 お題は「宇宙人による誘拐」。


 モルダーとスカリーたちに、七年前のオレゴン州での事件の関係者ビリー・マイルズから連絡が入り、またアブダクション事件が発生したと知らせてきた。ビリーの事件は、モルダーとスカリーが出会って初めて手がけたもの(シーズン1・第1話「序章」)だった。現地では、海軍の戦闘機と何かが衝突する事件が発生し、さらに七年前にUFOにアブダクトされた男が行方不明だという。ところがビリーの父親の警官は相変わらずUFOについて信じようとしないため、捜査が進んでいないらしい。実はビリーの父親は宇宙人の処刑人バウンティハンターの変身した姿だった。捜査中、スカリーは何度も原因不明の体調不良に襲われる。そして、最終的にビリーも含めて七年前のアブダクションの被害者は全員行方不明になってしまった。

 一方、スモーキング・マンは、以前(第2話「第六の絶滅 Part2」)で行なった手術が失敗し、もはや死にかけていた。それでもマリタ・コバルービアスを使ってクライチェックを呼び戻し、オレゴンに墜落したUFOを見つけ出すように命じる。スモーキング・マンは、再度異星人に関する計画を再スタートさせるつもりだった。しかしクライチェックは憎いスモーキング・マンへの意趣返しとして、コバルービアスと共に、モルダーに協力することを選ぶ。

 モルダーは再度オレゴンに向かうことにしたが、過去にUFOにアブダクトされた人間が次々と消えていることから、スカリーも再度誘拐されることを心配し、自分とスキナーだけで現地に向かった。ところがスカリーは再誘拐された人たちのカルテを調べ、いずれも最近脳に炎症が出ていたことを知る。それはモルダーがかつて(第2話「第六の絶滅 Part2」)発症していた病状と同じだった。つまり、モルダーこそがUFOのアブダクションの対象に間違いなかった。

 オレゴンの森の中で、モルダーはUFOを隠していたバリアを見つけて中に踏み込み、そこで今までに姿を消していた人々と再会する。そしてスキナーの目の前でUFOが飛び去り、モルダーは行方不明となっていた。クライチェックはスモーキング・マンを地獄に追い返すといって階段から車椅子ごと突き落とす。一方、失意のスキナーがスカリーにモルダー失踪を伝えるが、二度と妊娠できないはずのスカリーが子供を身ごもったことを教えられる。


監督 キム・マナーズ
脚本 クリス・カーター


感想

 評価は○。


 今回はテーマこそ「宇宙人による誘拐」というオーソドックスなものだったが、内容は「レクイエム(葬送曲)」というタイトルに相応しい物で、「シリーズの最終回」というより「X-ファイルという番組のラスト」と思わせる悲しげなテイストに満ち満ちていた。


 今回は、戦闘機と激突して森の中に墜落したはずのUFOを探す、という、シーズン1の頃のエピソードを思い出させるピュアなUFO話となっており、実に懐かしい気持ちに襲われた。思えば、シーズン1の頃のエピソードは昭和にテレビで頻繁に放送されていたオカルト系番組のノリそのままで、あの頃(7年前)は本当に良かった、としみじみさせられた。

 今回、久しぶりにシーズン1の初回エピソードの舞台とキャラクターが再登場したのは「長い長い旅を経て、ぐるりと一周して原点に戻ってきた=だから、もうこれでおしまい」という事をあからさまに表現しているように思えたし、モルダーもスカリーのオレゴン行きを止める際に「何事にも終わりは来る。それが今だ。」と意味ありげなことを言っていた。何より、ラストで主役のモルダーが、存在を追い続けていたUFOに乗って表舞台から去ってしまうのだから、もう暗喩的な「X-ファイルは今回で終了いたします。長い間ごらん頂きありがとうございました」宣言だと受け取っても間違いとは言えないはずである。何より、番組の最後に「TO BE CONTINUED(続く)」と表示されなかったのだから。

 まあ、長い間引っ張ってきていた「サマンサの行方」ネタも、今シリーズの第10話「存在と時間 Part1」・第11話「同 Part2」で(一応)解決したし、話もネタ切れ気味だったし、7年も放送したから、モルダーが念願の宇宙人の具体的な証拠を見つけてUFOで宇宙に旅立ってしまい完結、という結末もこれはこれでアリだったと思う。スカリーが妊娠したとかいう話は「多分モルダーの子供だから、愛する人の子供を育てて幸せに暮らすはず」とか、今回スキナーがもろにUFOを目撃したことで今後はスキナー直々の支援の下でX-ファイル課の仕事は続いていくのではないか、とか、色々と視聴者が脳内補完可能なので、ここで終わっていても問題はなかったと思う。シーズン8が「まだ続いてよかった!」と思える内容なのかどうなのか、結構不安である。

 ところで、スモーキング・マンが脳の病気になって、もう車椅子でしか動けないような弱りようなのに、喉のところに穴を開けてまでタバコを吸っているのには笑ってしまった。しかしスモーキング・マンの世話をしていた女性は何者だったのだろうか。故ダイアナ・ファウリーに妙に似ていたので、一瞬ダイアナが死んだことはなかったことになったのかと思ってしまった。


 七年ぶりに登場したビリー・マイルズの声は、子安武人氏でした。