感想:海外ドラマ「X-ファイル シーズン8」第15話「デッドアライブ Part2」


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■ディーライフ/Dlife X-ファイル シーズン8 http://www.dlife.jp/lineup/drama/xfile_s8/
放送 Dlife。全21話。

【※以下ネタバレ】


※シーズン8の他のエピソードのあらすじ・感想はこちら→「X-ファイル シーズン8」あらすじ・感想まとめ

第15話 デッドアライブ Part2 DEADALIVE

あらすじ

http://www.dlife.jp/lineup/drama/xfile_s8/episode.html
EP15 デッドアライブ Part2
モルダーの埋葬後、ドゲットにはモルダーを発見した功績から、Xファイルを離れて昇進の話が出る。しかしドゲットは、それがXファイル閉鎖への企みであると踏んで・・・。

 お題は「アブダクション」。


 第14話「デッドアライブ Part1」の続編。


 モルダーの葬儀から三ヵ月後、ドゲットはカーシュ長官代行から、モルダー発見の功績により別部署に転属させるとの提案を受ける。しかしドゲットは、相棒のスカリーが六週間後から産休に入る事になっていることから、これはカーシュがX-ファイル課を潰すための策略だと察して返事を保留した。

 ある日、海で死体が発見されるが、それは昨年(2000年)春にオレゴン州でモルダーたちと共にUFOに誘拐されたビリー・マイルズだった。ところがビリーは医学的には死んでいるはずなのに何故か生命反応が有った。それを聞いたスキナーはモルダーの墓を掘り起こすと、なんとモルダーも生きていることが解る。

 直後、スキナーの前にクライチェックが現われ、モルダーの治療薬になるウイルスのワクチンがあると教える。しかしワクチンを提供する条件として、スカリーの赤ん坊が生まれるのを阻止しろと命じる。彼女の子供は生まれてはいけない存在だという。

 やがてビリーが目覚め、皮膚を剥がすと肉体的には完璧な状態に戻っていた。ビリーは異星人に誘拐された事を憶えていたが、彼らは人類を救いに来たのだと言いだす。ドゲットは、刑務所にいるアブサロムに会いに行き、UFOや異星人について聞き出す。アブサロムによれば、UFOが人体実験の後に置き去りにした人々は宇宙ウイルスに感染しており、アブサロムたちが治療しなければウイルスが肉体を作り変え、最終的に異星人として蘇るという。これは異星人の地球侵略計画であり、蘇ったビリーはもう元の人間では無く異星人がすり替わったものだという。

 ドゲットが病院に戻ると、追い詰められたスキナーがモルダーの生命維持装置を外して殺そうとしていた。ドゲットはスキナーから事情を聞き、クライチェックを追いかけて対決するが、ワクチンを手に入れることは出来なかった。ところがスキナーがモルダーの生命維持装置を外した事で体温が下がってウイルスが死滅し、モルダーはワクチン無しで助かる事が解る。最終的にモルダーは目覚めた。

 最後、ドゲットはカーシュの提案を断りX-ファイル課に残る事を伝える。


監督 トニー・ワームビー
脚本 クリス・カーター & フランク・スポトニッツ


感想

 評価は◎。

 前編に続くアブダクト関係のエピソードで、行方不明だったモルダーがついに帰還を果たす記念すべき回。当然見ごたえ抜群だった。


 しかし、モルダーの帰還が予想外に早かったのには驚かされた。過去の事例から考えて、この前後編で登場した『モルダー』は過去のサマンサ同様ニセモノで、最後に本物がどこかに生きている事を暗示して今後に引っ張リつつ終わる、というパターンだとばかり思っていた。モルダー役デイヴィッド・ドゥカヴニーは事実上番組を降りているので、今後もゲストとして思わせぶりに少しだけ姿を見せるだけを繰り返して、そのままシーズン9のラストまで行くのだとばかり信じ込んでいた。そのため今回しっかり戻ってきてしまった事には困惑も隠せないのだが、おそらく今後も入院中という設定で寝てばかりなのではなかろうか。

 そして、モルダーが戻ってきてしまったおかげで、ドゲットの立ち位置も微妙になってしまい心配になってくる。ドゲットはモルダーが行方不明の間の代役というポジションでドラマに参加しているだけに、モルダーが戻ってきたらもう用済みである。早くも今回、病室で仲が良さそうに話しているモルダーとスカリーのところに現われたドゲットの仲間はずれ感がもの凄かった。今後この微妙な人間関係で一体どうやって話を回していく気なのか、興味津々である。

 今回は宇宙人の新しい地球侵略計画が明らかになった。以前はスモーキング・マンたち地球人の秘密組織がハチにウイルスを感染させ、それで人を刺させて感染させる、という計画だったのだが、秘密組織がエイリアン反乱軍に皆殺しにされてしまってその手が使えなくなったので、別の方法を編み出したという事のようである。しかし一々人間を誘拐し、ウイルスに感染させて地球に戻す、というのは、ハチ計画とは違って遥かに手間がかかって効率が悪い。ウイルスを空中散布でもすれば良いとか思うのだが、宇宙ウイルスは多分空気感染しないタイプなのであろう。こんなチマチマしたやり方で、宇宙人が地球侵略を完了するのはいつになるのか、人事ながら気が遠くなりそうである。西暦2000年時点で地球の人口は60億人いるのだから。国家の要人をすりかえて侵略するという手ならまだしも、荒野を歩き回っているような一般人をいくら誘拐しても地球征服の役に立つとはとても思えないのだが……、入植者/コロニストは大して怖くない相手かも、という気がしてきた。

 久々登場のクライチェックは、スカリーの赤ん坊が危険なので殺そうとする。第13話「受胎」のようにスカリーのおなかの中にエイリアンの子供がいるのかも?と思うと結構ゾワゾワしてくるが、クライチェックには、そんなに危険な子供ならスキナーに任せずにいつもの様に自分で殺しに行けば良いではないか、と突っ込みたくなった。

 さて、蘇ったビリー・マイルズが宇宙人が変身した姿だと解ったのは良いとして、その後ビリーはどこに行ってしまったのだろうか。突然物語から消えてしまうのだが、誰も気にしてないようで、こっちが心配になる。人間に化けた宇宙人を野放しにしておいて良いのだろうか。