【ゲームブック】「送り雛は瑠璃色の」(思緒雄二):この感想に同意したい……

送り雛は瑠璃色の
創土社

【※以下ネタバレ】


 先日、ふと本棚に置いてあった「送り雛は瑠璃色の」(創土社)を10年ぶりくらいで取り出して読んでみたのです。

https://www.amazon.co.jp/dp/4789301192
送り雛は瑠璃色の 単行本 2003/5/1
思緒 雄二 (著)
出版社: 創土社 (2003/5/1)

 この作品はゲームブックの定番的なテーマだった「西洋風ファンタジー」とは一線を画す、純和風の伝奇物というか民俗ものというか、で世間の評価はものすごく高かったのですが……、自分がプレイした限りでは「噂程ではないな……」という印象しかありませんでした。


 そんなわけで、再度他の人はどんな感想を書いているのだろうと思って調べてみたのですが……

唐突過ぎるし謎が多すぎる

 何件か調べたのですが、この人の感想が一番自分の気持ちに近いように思います。

blog.gamebook.xyz

創土社版復刻ゲームブック送り雛は瑠璃色の」レビュー。古典好き向き、予想外にルールが厳しく、物語の唐突感が否めない。 - Yoyogi Jotaro の何だかよく分からないブログ
http://blog.gamebook.xyz/entry/2015/10/29/004019

時刻ばかりが過ぎていき、何事も起こらない平和な町だなあと思っている矢先、事件が起こります。


凄い変な事件です。まさかこう言う事件が起こるとは。平和な日常はこのような嵐のような事件の予兆だったのでしょうか。


さらにもまして同級生たちの変貌が著しいんですよね。主人公本人もある能力に半ば強制的に気付かされて、思いもよらない行動を強いられます。


強引すぎないかなあ。なんでそうなるの? と筆者は気持ち的に置いてけぼりでした。


やたらと主人公の力を必要とされるんですけど、なぜ必要とされているかの実感に乏しいんですよね。そういう場面に出くわすことがなかったもので。


そして背景を物凄い因縁がうごめいているのは察するんですが、どのパラグラフでそれに触れられているのか全く理解することが出来ませんでした。


出てくるのは古典や万葉集の和歌の解釈とか、得体のしれない白日夢。つかみどころがないですね。

 
 
 はいこれ。「ある日、美人のクラスメートに不可思議なことが起きたんだ」という冒頭はともかく、そのあと何故かよく解らないまま街中をうろうろする情報集めモードに突入し、しばらくすると大事件が起きて、何が何だかわからないままエンドなんですよね……、うーん?

 この作品は、作者は設定とか真相とかははっきり書いておらず、読者がその裏の設定を深読みして察してくれ、という感じの作りとなっています。結末まで行けばそれなりの回答が得られる、というストーリーでは無いんですよね。

 上記のサイトの人も書いているように、いつの間にか仲の良い友人たちが別人のように変わってしまうし、主人公も異能バトルの道づれにされるし、それでいて最後まですっきりした回答は得られない……、

 正直「独創的な実験作」ではあるにせよ、名作というのとは違うという気がしています……、
 
 
社会思想社

送り雛は瑠璃色の (現代教養文庫―アドベンチャーゲームブック)

送り雛は瑠璃色の (現代教養文庫―アドベンチャーゲームブック)