【ゲーム】感想「和階堂真の事件簿 TRILOGY DELUXE」[Nintendo Switch](2023年)【クリア】

和階堂真の事件簿 TRILOGY DELUXE

階堂真の事件簿 TRILOGY DELUXE | My Nintendo Store(マイニンテンドーストア)
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★★【以下ネタバレ】★★
 

配信日  2023年10月19日
レトロなドット絵とハードボイルドなBGMの裏に張り巡らされたトリックを、貴方は見破ることができるだろうか。


『和階堂真の事件簿』は、ミニマルなドット絵で描かれる推理アドベンチャーシリーズです。プレイヤーは主人公・和階堂真として様々な事件に挑み、謎を解き明かしていきます。聞き込みでヒントを集め、推理パートで情報を整理し、論理を展開して事件に挑みましょう。


【エピソード1 -処刑人の楔-】
「連続して起きた謎の首なし死体の真相は?」
80年代の日本を舞台にカルト宗教と首なし殺人事件の謎を和階堂警部が解き明かす…


【エピソード2 -隠し神の森-】
「閉ざされた集落で起きる神隠しの真相とは?」
人里離れた集落で起きた神隠し事件に和階堂真が挑む!


【エピソード3 -影法師の足-】
「疑いを向けられたのは意外な人物?」
"容疑者"和階堂に迫る影。追われる身となった和階堂は真実にたどり着くことはできるのか…


【エピソード4 -指切館の殺人-】
「嵐で孤立したペンションで起きる怪異の真相とは?」
幽霊が出ると噂のペンション、指切館。訪問者たちを襲う怪異に和階堂が挑む!

 

概要

 2023年発売のミステリー系アドベンチャーゲームスマホ向けに単品展開された3作品を一つにまとめ、さらに新規シナリオ1本を追加した4 in 1ゲーム。


あらすじ

・和階堂真の事件簿 処刑人の楔

 過去に警官だった老人が、孫の男の子に過去に捜査した事件について語り始める。1980年代、人の首を切り落とすという猟奇殺人事件が頻発しており……


・和階堂真の事件簿2 隠し神の森

 旧家が絶大な権力を握るとある集落で、その旧家の当主が殺害される。その村では過去にも何人もの村人が不審な死を遂げていた……


・和階堂真の事件簿3 影法師の足

 和階堂真は何者に殴られて失神し、気が付くと目の前には血まみれの死体が横たわり、手には血まみれの刃物が握られていた。殺人の容疑者となった和階堂は記憶喪失に苦しみながら、己の無実を証明しようとするが……


・和階堂真の事件簿 指切館の殺人

 休暇で和階堂真が訪れたペンションが嵐のため外部から孤立してしまう。しかもその直後からペンション内では心霊現象とおぼしき異常事態が次々と発生する。そのペンションはオカルトマニアの間では幽霊が出現すると評判の場所だった……


ゲームジャンル/システムなど

 アドベンチャーゲーム

 システムは、基本的に、左右に少しずつスクロール可能な画面上でキャラクターを左右に動かし、人物に話しかけたりアイテムを調べたりして手がかりを収集する。途中重要な手掛かりを発見すると別の場所へと移動可能となり、移動先でも同様に情報収集を行う。

 これを繰り返し、必要な情報を全て収集し終わると、それまでのストーリー展開についてのテストが行われ、これに全問正解すると新章へと突入し、また一から情報収集を行う。この手順を事件の真相に到達するまで何度も繰り返す。

 任意の場所でのセーブ機能は存在しないが、随時オートセーブを行っているのでゲーム中断には支障はなし。

個別シナリオの感想(完全ネタバレ)

・和階堂真の事件簿 処刑人の楔

 所要時間:1時間5分。シンプルでほぼ一直線のストーリー。首を斬られた死体が登場した場合、その死体は警察が考える被害者とは別人、というのは当然の話なので真相に驚きは有りませんでしたが、物語の語り手が和階堂真ではなくその祖父だった、という叙述トリックはほんのちょっとだけ感心しました。


・和階堂真の事件簿2 隠し神の森

 所要時間:1時間50分。ひたすら一直線展開だった一作目と異なり、移動できる場所へ何度でもこまめに訪問してフラグを立てていくというスタイルとなり、アトベンチャーゲームらしくなりました。ただストーリーは「本格推理ゲーム」というより「探偵物二時間ドラマのシナリオ」ノリで、プレイヤーは何一つ頭を使わなくてもなんとなく終わってしまう、という展開はちょっとなぁという感じでした。


・和階堂真の事件簿3 影法師の足

 所要時間:1時間15分。もはや推理物ではなく完璧に「二時間枠サスペンステレビドラマ」ノリで、プレイしていてうーんという感じでした。さらに、再度叙述トリックが使用されており、ラストで「それまで和階堂真と名乗っていた人物は和階堂真ではなかった」というどんでん返しを持ってきていましたが、これは反則というか「それを言い出したらもう何でもありだろう……」という感がありました。


・和階堂真の事件簿 指切館の殺人

 所要時間:2時間。4作目にしてついに本格推理物っぽいノリに到達。心霊現象と思しきものの裏に潜む意外な真相を主人公が見事に暴く、という形で、それなりに満足感がありました。「死んだ肉親に合わせるために、死者の幽霊を呼び出すのではなく、生きている人間の方を殺す」というサイコパス思考は「そう来たか!」と結構感心しましたしね。

 完璧とは言いませんが、4シナリオの中で一番いい出来でした。


総合感想

 評価は○(まあ悪くはなかった)

 プレイ時間:6時間10分(シナリオ4本の合計)

 本作は「~の事件簿」というキャッチーなタイトルで以前から気になっていたのですが、ニンテンテンドーストアで安売りになっていたタイミングで購入。評価としては「そこそこ」でした。


 ドット絵によるレトロな見た目と趙シンプルなゲームシステムの組み合わせで、正直スーパーファミコン時代のゲームの移植と言われても通りそうな手触りでした。

 ただし、今風の工夫もあり、移動先では会話や調査可能な対象には矢印が表示され、無駄に画面上をさまよったりしなくていい様になっていましたし、手掛かりの収集も「手がかり数 n/n個」と常時表示され、最終的に何個集めればいいのか・今どれくらい集まったのか、が解るのは心理的に楽で、この辺りの2020年風のユーザーへの配慮は好印象でした。


 ただ、シナリオはちょっと想定より雑というかで、いささか失望させられました。1本目は最後のどんでん返しが有ったのでまあまあでしたが、2本目は横溝正史金田一世界の雑なコピーという感じでしたし、3本目に至っては推理のないサスペンス調で「うーん、期待と何か違うな……」とぼやいていました。

 4本目「指切館の殺人」で、ようやく自分の求めていた探偵物のノリが来ましたので喜んだのですが、総合的に見ると、正直推理ゲームとしては物足りなかったという気持ちです。結局「推理物」ではなく「探偵が主人公のゲーム」にとどまっていました。

 まあ出自が無料のスマホゲームですから、あんまり深みを求めてはいけなかったのでしょう。つい普通のコンシューマーゲームと同じ感覚で勝手に期待してしまい、勝手に失望してしまった、というところでしょうか。本格推理物ゲームは、それなりに対価を出さないと手に入らないのかもしれません。


参考:あらすじ(完全ネタバレ)

・和階堂真の事件簿 処刑人の楔

 過去に警官だった老人が、孫の男の子に過去に捜査した事件について語り始める。1980年代、人の首を切り落とすという猟奇殺人事件が二件未解決のままだったが、ついに三件目が発生した。和階堂警部の捜査で被害者は新興宗教団体「殉教者の光」の信者で、死の直前まで教祖サタと一緒に行動していたと解る。

 団体の教義は自己犠牲で、サタは過去に究極の自己犠牲である首の切断を二度行い、そのたびに復活したという。和階堂警部はサタを追い追い詰めるものの取り逃がしてしまう。

 その話を聞いていた孫の真は祖父の話に矛盾があると指摘する。実は和階堂(祖父)は単独で猟奇事件を捜査しているうち、サタが信者を殺そうとして逆に殺される現場に出くわしていた。和階堂(祖父)は犯人に同情し、サタが犯人であるように偽装して、真犯人をかばったのだった。



・和階堂真の事件簿2 隠し神の森

 旧家・千堂家が絶大な権力を握るとある集落で、当主・次彦が森の中で死体となって見つかり、しかも神「御隠様」の格好をさせられていた。その村では過去にも何度も村人が不審な死を遂げ、同様に森で見つかったという。

 真相を追う和階堂真は遂に村の陰惨な歴史を暴く。過去に千堂家は一族に邪魔な村人を殺害して森に捨て、しかもそれを権力でもみ消していた。先代当主はその過去を世間に明かそうとするが、次彦に殺害された。犯人は先代当主の娘・正代で、父親の復讐のため次彦を殺害した。最後、正代が自首しておしまい。



・和階堂真の事件簿3 影法師の足

 和階堂真は何者に殴られて失神し、気が付くと目の前には血まみれの死体が横たわり、手には血まみれの刃物が握られていた。殺人の容疑者となった和階堂は記憶喪失に苦しみながら、己の無実を証明しようとするが、自分が人身売買組織デモンズシャドウの幹部とズブズブの関係にあったという事実が浮かび上がり、さらに苦悩する。

 やがて警官・田中が和階堂真を追い詰めるが、そこに現れた本物の和階堂真が真相を語る。今まで追われていた「和階堂真」とは、和階堂(本物)の捜査に協力していた私立探偵・安養寺だった。安養寺はデモンズシャドウへの潜入捜査の際に和階堂を自称していたが、殴られたショックで記憶を失い自分が本物の和階堂真だと思っていたのだった。田中がデモンズシャドウと繋がった悪徳警官だとバレ事件は解決した。


・和階堂真の事件簿 指切館の殺人

 休暇で和階堂真が訪れたペンションが嵐のため外部から孤立してしまう。しかもその直後からペンション内では心霊現象とおぼしき異常事態が次々と発生する。そのペンションはオカルトマニアの間では幽霊が出現すると評判の場所だった。

 ペンションを訪れていたオカルト好きの大学生たちのうち、サトグチは兄が行方不明だというイズミに対し、兄にあわせると約束していたというが、突然行方不明となってしまう。さらに常連宿泊客の一人が毒物を盛られたと思しき状態で死んでしまう。

 和階堂真は外部からの支援がない中、単独で調査を行い、過去にペンションで麻薬中毒者による集まりが行われており、噂の心霊現象とは中毒者が見た幻覚に尾ひれがついただけだと解る。そしてペンションのオーナーが薬物事件を隠蔽しようとサトグチを殺害したことを見抜くのだった。


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