感想:アニメ「閃光のナイトレイド」第13話(最終回)「せめて、希望のかけらを」


 アニメ「閃光のナイトレイド」の感想です。

閃光のナイトレイド
http://www.1931.tv/

 BSデジタル放送BSジャパンでの視聴です。

第13話(最終回) せめて、希望のかけらを


■あらすじ

 棗は高千穂の部下に撃たれて死んだ。それを見た蔓は心が揺れ、葵・雪菜を地下施設に案内する。葵は世界平和を理由に上海の人間を犠牲にしようとする高千穂を糾弾し、力を使わない道が有るはずと説くが、高千穂は全てを検討した上の行動だと反論した。しかし、預言者・静音はこれ以上先に進まないように高千穂に頼む。さらにその場に桜井が現われ、高千穂を射殺すると新型爆弾は日本軍が接収すると宣言した。

 しかし爆弾の開発者・市ノ瀬は、自らの理論の証明に取り付かれ、爆撃機を上海に飛ばさせる。葵・蔓は爆撃機を乗っ取ると、爆弾を海に捨てようとするが、とてもたどり着けないことが判明する。葵は自分の超能力で爆弾を宇宙に投げ飛ばして葬り去るが、爆撃機の墜落に巻き込まれ行方不明になった。

 雪菜は静音の力を借り、新型爆弾が爆発する際の恐怖のビジョンを地上に居る人間に見せた。桜井は静音を連れて行こうとするが、部下の壱師に記憶を消されてしまう。壱師は日本人ではなく中国の利益のために密かに活動する人間の一人だった。静音は新しい預言者をもう生み出さないため、壱師に自分の記憶を消すように頼む。
 2年後、溥儀の即位式典が開催された。雪菜は新京で行方不明の葵が生きているらしい事を知る。しかし世の中はかつて静音が見たような暗い時代へと一直線に突き進んでいた(完)。


■感想

 一言で言うと生煮えというか、素材は良いのに料理に失敗したという感じの作品でした。

 満州国建国前後、未来を知ってしまい歴史を変えようとする男、平和を望みつつも犠牲を出す方法に反対する人たち、超能力、新型爆弾、etcetc。概要だけ読めば相当面白そうなのに、スタッフにその理想形を具体化する力が無かったと言うか、非常に残念な作品になっておりました。

 設定からすると、もっと重厚なストーリーになってしかるべきなのですが、とにかく軽かった。現実の歴史の、満州国建国の辺りという、色々と揉めそうな時代を舞台にしているのですから、できれば史実をどっさり盛り込んだお話にして「知られている歴史の裏でこういう出来事が進行していた」というリアリティを感じさせて欲しかったのですが、その辺りがサッパリでした。

 また、桜井機関の四人の超能力が殆ど意味なしだったのもどうかという感じでした。雪菜と棗はともかく、葵と蔓の力はあまり使いでがなく、「銃とか腕力とかで代替できるのでは?」と思わせるシーンばかり。二人の能力が必須だったのは最終回の後半だけでしたね(そこから逆算してそういう力を持たせたのでしょうか?) また、葵や棗の超能力の制限事項もなんだかよく解らないままで、あまり意味の無い拘りだったように思えます。

 高千穂勲は、悲惨な未来を知ってしまい、国を裏切り多くの人を犠牲にしても歴史を変えようとする、時間改変SFに出てきそうなキャラでしたが、なんか薄っぺらいというか、「未来を変えなければ!!」みたいな覚悟が伝わってこない人でした。まあ、クールさが売りのキャラではありましたが、内に秘めた想いとかそういうのを表現して欲しかったですよねぇ。キャラが薄いのであの最期も特にインパクトなかったし。

 預言者・静音は重要キャラなのですが、葵との関係の描き方が下手すぎて、恋人だったという印象殆ど無し。折角誘拐して逃げたエピソードであの淡々とした会話は無いのでは・・・、最終回の行為もだからどうした、という感じだし、さらに葵との関係がその後どうなったのか描かれないのもあんまりだと思えます。


 と、色々有りすぎて、視聴しながら「もっと、こう、上手く作れないの!?」とジリジリしながら身もだえしてしまうような、惜しい感じの作品でした。絵は良かったし、設定に期待もしたし、雪菜役の声優さんも頑張っていたし、応援したいアニメでは有ったのですが・・・、残念無念の一言。


★蛇足

 棗がテレポーターを相手にしたとき、目をつぶったらめっちゃ圧倒しだしたのは何故? だったら最初からそれをやれよ、と突っ込みたくなりました・・・