【SF小説】感想:小説「ローダンNEO 1 スターダスト」(2017年7月20日(木)発売)

スターダスト ローダンNEO (ハヤカワ文庫SF)

http://www.amazon.co.jp/dp/B073XM94YF
スターダスト ローダンNEO (ハヤカワ文庫SF) Kindle
フランク ボルシュ (著), 柴田 さとみ (翻訳)


二〇三六年、スターダスト号で月基地に向かったペリー・ローダン達は異星人の船に遭遇する。それは人類にとって宇宙時代の幕開けだった……。宇宙英雄ローダンシリーズ刊行五〇周年記念としてスタートしたリブート・シリーズがtoi8のイラストで遂に日本でも刊行開始! 解説/嶋田洋一


2036年、NASAペリー・ローダン少佐は、連絡の途絶えた月のアームストロング基地を調査するため、“スターダスト”で月面に向かった。彼らは月で驚くべき光景を目にする。そこには巨大宇宙船が着陸していたのだ。一方地球では、異星人との接触の報に米中露をはじめとする国際社会が激しく動揺する…世界最長SF“宇宙英雄ローダン”を現代の創造力で語りなおす新プロジェクト、遂に日本刊行開始。

 
発売日 = 2017年7月20日(木)
シーズン= 1
 
【※以下ネタバレ】
 

あらすじ

 2036年6月19日。NASAは四週間前から連絡の途絶えている月面基地の安否を確認するため、ペリー・ローダン少佐以下が乗り込む月ロケット「スターダスト」を打ち上げた。しかし、スターダスト打ち上げの真の目的は、月面に突如出現した人工物体、おそらくは異星人の宇宙船、の調査だった。

 月に向かったスターダストは、月の裏側に入ったところで何者かに攻撃を受け不時着してしまった。ローダンは未知の人工物体にたどり着き、それが「アルコン人」と名乗る異星人の宇宙船であることを知る。アルコン人は外見は地球人に酷似していたが、その技術力は地球人をはるかに凌駕し、宇宙に「大帝国」を建設していた。

 しかし宇宙船の乗員の大半は職務も果たさず奇妙な仮想ゲームに没頭し、船内で正常なのは最高責任者のクレスト・ダ・ツォルトラルと美貌の女船長トーラの二人だけであった。ローダンたちはトーラに月面に追い出されそうになるが、ローダンは、クレストが末期の白血病で余命いくばくもないこと、そして地球ならば治療の可能性があること、を指摘する。

 クレストは生き延びる可能性にかけて、ローダンたちと共に地球に降りることを決意した。ローダンは、スターダストを、アメリカではなくアジアのゴビ砂漠へと着陸させた。(2036年6月19日~6月27日)


感想

 2011年にドイツでスタートした、ペリー・ローダンのリブート版「ローダンNEO」の第1巻。感想を一言でいうなら「重い」、の一言に尽きる。


 本巻のあらすじそのものは、オリジナルのローダンシリーズ第1話「スターダスト計画」の展開をほぼなぞっていて、オリジナルの読者には特に新鮮味は無いのだが……、「雰囲気」がオリジナルシリーズとはまるで違うのである。

 時代を1971年から2036年に変更しただけではなく、全体のトーンが実に陰鬱で、世界情勢は緊迫し、資源の枯渇や農作物の不作など、破滅の予兆がそこかしこに見えている。アメリカは国土安全保障省が絶大な権力を握る監視国家と化し、NASAは予算を削減され、宇宙への夢も希望もほぼ無い。と、作品世界は閉塞感でひたすら息苦しい。

 そんな薄暗い雰囲気の中で、さらに超技術を持った異星人が出現するのである。オリジナル版ではこの異星人との出会いは「人類の新時代の幕開け」となる、希望に満ちた物語だったが、NEOではそんな空気はみじんもない。今後、世界各国が半狂乱になって異星人の超技術を独占しようと動き、それが世界大戦の引き金を引くだろうことも想像に難くない。先行きに全く希望が見えない。

 さらに憂鬱になるのが、オリジナルシリーズでは有名キャラだったジョン・マーシャルの設定である。オリジナルでは、マーシャルは自らの超能力を自覚すると、それを世界のために役立てようとローダンの元にはせ参じた、明るく頼もしいキャラだった。

 しかしNEOにおいてのマーシャルは、天才投資家だったが、ひたすら金を稼ぐことに嫌気がさし、仕事を辞めてストレートチルドレンの保護施設を立ち上げ、子供の世話と資金繰りに四苦八苦している疲れた男、という設定である。しかも、ひたすら善意で子供の世話をしているのに、そのうちの何人かは正真正銘の犯罪者で、マーシャルを間抜けと見なし、施設を便利な隠れ家としか見ていなかったことが明らかとなる。読んでいて辛すぎである。このシリーズは読者をどこに連れて行く気なのだろうか。


 まさに「リメイク」ではなく「リブート」である。人物名、用語、世界観はなじみのあるものばかりでも、実際に与えてくれるものは、天と地ほども違う。ある程度予想と覚悟はしていたが、実物を突きつけられると、これが想像以上に堪えた。

 まあ、確かに時代を半世紀後ろにずらしただけの物語を新しく展開しても仕方ない、という考えは理解できるのだが……、「これが新時代のローダンだ」と言われても、すんなりとは受け止められない。小説としては合格で、しっかり読めたのは間違いないのだが……、なんだかんだと言っても、自分がどれだけオリジナル版が好きか、ということを再確認させてもらった気がする。

 しかしまあ1冊だけで評価を決めてしまうのも早計である。NEOの評価は、とりあえず第一期(「シーズン」と呼ぶそうである)8冊を全て読み通してから、という事になるのであろう。毎月一冊刊行予定なので、8巻が出る来年2月までは様子見であろうか。
 
 

次巻予告

 次巻は2巻「テラニア」(クリスチャン・モンティロン)(2017年8月24日(木)発売予定)。
  
 

第1シーズン(全8冊)の他の作品のあらすじ・感想は以下でどうぞ

第1シーズンあらすじ・感想まとめ
 
 
Perry Rhodan Neo Paket 1: Vision Terrania: Perry Rhodan Neo Romane 1 bis 8 (Perry Rhodan Neo Paket Sammelband)