真夏の夜の異界への旅 http://www4.nhk.or.jp/P4556/
放送 NHK BSプレミアム。2017年8月5日(土) 19:00~22:00。
【※以下ネタバレ】
内容
▽「鬼伝」「怪談人(かいだんびと)」「霊場伝説」の3本立て
ゾクゾクする異界の話を3本立てでお届けする。まずは夜7時から、古来より日本人の心の中にある鬼とその伝説に迫る「鬼伝」。続いて夜8時から、怪談家・稲川淳二、「呪怨」などの映画監督・清水崇、「リング」などの小説家・鈴木光司の3人が怖い話の極意を明かす「怪談人(かいだんびと)」。最後は夜9時10分から、霊場たる日本各地の山岳に伝わる怖くて不思議な昔話を現地への旅と再現ドラマで紹介する「霊場伝説」。
【出演】平祐奈,高橋英樹,いとうまい子,川島明,三倉茉奈,植野行雄,稲川淳二,鈴木光司,清水崇,関根勤,中川翔子,レッド吉田,遼河はるひ,渡辺裕太,今野浩喜,新谷あやか
1.「鬼伝」
コメディー。鬼の一家(父親:高橋英樹、母親:いとうまい子、子供:川島明、三倉茉奈、植野行雄)が日本の鬼にまつわる話を調べていくという構成。
・第一章 岡山・桃太郎と戦った鬼
・第二章 福島・悲しみの人食い鬼婆
安達ケ原の鬼女伝説。
・鬼は何故角と虎の服なの?
→一説によれば、「鬼門は北東。昔の方位で言うと丑(うし)と虎の間。だから牛の角と虎の服」ということらしい。
・第三章 青森・神様になった鬼
青森県鬼沢。水が不足して困っていた村のために、鬼が水路を作ったという伝説。鬼の正体は、特殊技術を持った漂泊の民だったのでは。住民は鬼を神として崇め、今も節分の豆まきをしない。
2.「怪談人(かいだんびと)」
怪談の稲川淳二、「呪怨」他のホラー映画監督・清水崇、「リング」他のホラー作家・鈴木光司の三人が集まって対談し、関根勤と中川翔子がそれを見守っているという設定で適時コメントを入れる、という内容。
清水崇
呪怨では先達の幽霊描写を超えようと、ぼんやりした写し方をせず、幽霊は「白塗りにした役者をバーンと写す」という手法を開発した。人が目を見開くと感情が伝わってくるが、ごくたまに「何を考えているのかわからない」という人がいる。そういう人をオーディションで選んだ。
稲川淳二
日本全国で不思議な話のパーツ(例:家のベランダに全然知らない人の靴が置いてある)を集めてきて、保存している。そのパーツパーツをうまく組み合わせて一つの怖い話に仕立て上げる。
鈴木光司
小説を書くとき、あらすじとかオチとか全く考えずに書き始める。リングも最初「人が同時に四人死ぬ」という展開にどう理屈をつけようと頭を絞っていて、子供がビデオテープを机に置いていったのを見て、「念写のテープで呪われる」という話を考え付いた。
三人にNHKのビルの中を歩いてもらい、長い廊下とかトイレ前とかロッカー前とかで「ここでこんなことが起きたら怖い」とか恐怖シチュエーションを発想してもらう。
最後に「マンションに帰宅したAさんが、数分後にベランダで叫んでいた。何があった?」というお題で、三人がそれぞれ5分程度の作品を作って放送。
清水崇「失礼しました…」
主人公のAさん(女性)が自分のマンションの前に戻ってくると、道にゴミが散らばっている。自室に戻ると、彼氏から元カノにまとわりつかれている云々という伝言が残っている。またスマホに知らない女性から「失礼しました」と言うだけの意味の解らない電話がしつこくかかってくる。さらに彼氏から「元カノが死んだらしい」という電話が入る。
やがてマンション前の道路が騒がしくなり、見下ろすと自分の死体が転がっている。Aさんが言葉を失っていると、部屋の中から女が現れ「今から失礼しま~す」と言ってAさんをベランダから突き落とす。Aさんが道路に叩きつけられて、その衝撃でゴミが散らばった。〆。
稲川淳二「お願い…」
若い会社員のAさんは事故物件があるというマンションに引っ越した。ある雨の日帰宅すると、自分の部屋の前まで雨が垂れた後がある。もちろんドアのカギは締まっている。鍵を開けて中に入り、窓の外を見ると女の顔が浮かんでいる。そして稲光が光ると、今度は女の顔がガラスに映りこんでいる。つまり室内に入ってきている。Aさんは慌ててベランダに飛び出し、手すりにしがみついた。そういえば「事故」の内容は、若い男がベランダから飛び降りたという話だった。直後Aさんの首に女が手を回してきて、「お願い、死んで」とささやいた。Aさんは絶叫した。
鈴木光司「水の流れる音がする」
Aさんが帰宅して、ふと後ろを見るとバスルームのドアが開いている。やがてトイレの水を流す音が聞こえてくる。Aさんは怖くなって恋人の男に電話を掛けると、バスルームの中から着信音が聞こえる。ふと気が付くと、電話のかけ先を間違えて、前の彼、ストーカーとして付きまとった挙句トイレで首つり自殺した男の番号にかけていた。慌てて電話を切ると、今度はその元彼の番号で電話がかかってきた。Aさんはベランダに出てなんとか逃げようとするが、突き落とされて、アスファルトが迫ってきた。
3.「霊場伝説」