
飯沼一家に謝罪します | テレ東・BSテレ東 7ch(公式) https://www.tv-tokyo.co.jp/txqfiction_iinuma/
www.tv-tokyo.co.jp
【※以下ネタバレ】
概要
2024年12月末にテレビ東京系で4回放送されたホラー系ドラマ。モキュメンタリーとかなんとかいう、あの手の「フィクションではないフリをしているが、実は一から十までフィクション・作り物」というタイプの番組。心霊ホラー。
「都市伝説と化している、20年前に放送されたテレビ番組『飯沼一家に謝罪します』について、テレビ東京のスタッフが調査する」という設定のフィクションドラマ。
内容(全4回)
◆第一夜
20年前の2004年5月17日・深夜2時に「飯沼一家に謝罪します」という番組が唐突に放送され、謎めいた内容から現在2024年では都市伝説化している。テレビ東京はこの番組について調査することにした。
・テレビ番組「飯沼一家に謝罪します」の内容
冒頭で「矢代誠太郎」という男性がいきなり「飯沼一家に謝罪します」と謝る場面からスタート(※矢代氏は大学教授で民俗学などの権威であることがテレ東から語られる)
矢代氏は四年前の1999年に飯沼一家四人がテレビのバラエティ番組「幸せ家族王」に出演する前に、知り合いを通じて「一家の運気アップ」を依頼されオリジナルの儀式を施した。その後一家は「幸せ家族王」に出演し(注1)見事賞金と副賞を獲得した。
ところが儀式後の一家の集合写真を見ると顔の部分が異様に歪んでいた。さらに、その後、家の火事で一家四人は亡くなってしまったため、儀式は失敗だったと思われ、矢代氏は「四十九日の裁き」を受けると言って白装束でどこかの階段を上るシーンで終了。
・(注1)「幸せ家族王」
1999年ころ放送されていたバラエティ番組、一家四人がそれぞれ一人ずつ番組が課す難関に挑み、家族全員がクリアできれば賞金100万円とハワイ旅行を獲得できる。
課題は
・けん玉の大皿に一回で載せる→母親がクリア
・トランプ10枚の神経衰弱→妹がクリア
・テーブルクロス引き→兄がクリア
・紙飛行機を作り10メートルくらい先の輪っかに通す→父親がクリア
・テレ東スタッフの調査
当時の番組制作関係者へ取材したところ、当初は「健康に関する番組」というあたりさわりのない内容の予定だったが、スポンサーの意向により何故か謝罪番組と化していたことが解る。スポンサーは「池田IC食品」という会社で、放送前の2003年に設立され放送後すぐの2006年に無くなっていた。
◆第二夜
テレ東スタッフの調査。
矢代氏は現在行方不明。弟子に取材し1999年7月に飯沼家で行われた運気アップの儀式の映像が見つかった。また「幸せ家族王」を製作していたスタッフに取材。自宅を映した映像で一家四人が集合してポーズをとっているのに、二階の窓に人影があった。
その後、飯沼家一家は火事で全員亡くなったのではなく、息子の明正氏だけ助かり、父親の弟・飯沼典彦氏に引き取られたことが判明する。
◆第三夜
テレ東スタッフの調査。
飯沼典彦氏が札幌でリンゴ農家をしていたという情報をたどり北海道へ向かう。典彦氏は既に亡くなりリンゴ農家は廃業していたが、明正氏が妻と一人息子と三人で暮らしているのを発見。取材すると、謝罪番組のことは知らず、また家事の原因は父親が借金苦で一家心中を図り放火したのだろう、とのことだった。
「幸せ家族王」で飯沼一家の回のディレクターをしていた人物を発見。番組ではハワイ旅行に行った一家には現地での楽しそうな様子を撮影してもらい番組で使うのが恒例だったが、飯沼一家から送られてきた映像は意味不明で使用できず、テープの送り間違いかと問い合わせても返事が無かったという。
その映像は「一家が吊り橋や薄暗いトンネルなど、明らかにハワイではない場所を延々と歩き続ける」「自宅で無言で突っ立っている母娘の姿。何者かが階段を駆け上る姿(長髪のため長男ではない)」といったもの。
スタッフは飯沼家に謎の五人目がいたのかと明正氏に確認しようとするが連絡取れず。スタッフは25年前に飯沼家があったあたりの住民に取材。その結果、番組に出演した少年は明正氏ではないとわかる。さらに当時明正氏は引きこもり状態だったため、100万円の賞金が欲しい一家は知人のつてで連れてきた「岸本良樹」少年を代役にしたと判明。
スタッフは岸本良樹氏を訪ねて徳島県に行き、母親「岸本悠美子」氏を取材した。以下悠美子氏の証言。
・良樹氏は東京での番組出演の後元気が無くなって引きこもりとなり、喋らなくなった挙句に動かなくなった。病院で調べたが原因不明。
・やがて良樹氏が飯沼家で「運気アップの儀式」を受けたとわかり、矢代氏を問い詰めると儀式が原因かもしれないと認めたので公開謝罪を要求した。東京の知人に食品会社を設立してもらって謝罪番組を制作した。
◆第四夜
テレ東スタッフの調査。
「岸本悠美子」氏インタビューの続き。矢代氏の所在については無言。息子の良樹氏は二階にいるとのことで、スタッフが面会に行くが薄暗い部屋で何も見えず医療機器の音と布団が確認できるだけ。呼びかけに返事無し。
悠美子氏から良樹氏が東京の飯沼家で撮影したという写真を見せてもらうが、すべて人の顔の部分がゆがんでいる。また一枚は真っ黒で何も見えない。また良樹氏が動けなくなる前に人一人がくぐれる輪っかのようなものを作っており「向こう側に行くために必要」と説明していたとのこと。
矢代氏については謝罪のための「四十九日(しじゅうくにち)の裁き」という儀式をやってもらったとのことだが「でも、あれじゃあね、やっぱり駄目みたいですね」「中途半端な知識で儀式なんかやっちゃいけないんですよ」云々とのコメントで詳細は不明。
スタッフが飯沼家が「ハワイ旅行」の映像として送ってきたものを解析。いずれも心霊スポットを徘徊している画像と判明する。
やがて明正氏と再度連絡が付き、スタッフは北海道へ向かう。スタッフが良樹氏が身代わりになって番組に出ていた話を始めると明正氏が妻子を庭に出し聞かれないようにする。さらに厳重に封印している何かを差し出し、スタッフが開梱するとビデオカメラとテープが現れる。
再生すると
・自宅。薄暗い部屋の中で両親と妹が突っ立ってテレビで「幸せ家族王」の再生を見ている。
・また大きな輪っかが吊るされている。
・直後三人がじっとこちらを見つめており、撮影者は慌てて逃げだす
スタッフが明正氏に、徳島の岸本悠美子氏から預かった真っ黒写真と、それを解析した一枚を見せる。解析した方は長髪の少年の後ろ姿や紙を張り付けた室内が映っている。スタッフが「オカルト好きだったのか」と聞くが明正氏は無言。
スタッフは明正氏氏が岸本家に毎年リンゴを送っている話を持ち出す。明正氏が「すいません」と小声で言うところでおしまい。
感想
評価は○(考察系ドラマ)。
2024年の年末に放送されたホラー。評価はまずまず。
「20年前のテレビ番組」「さらに25年前のテレビ番組の録画画像やビデオカメラの映像」、という設定の古そうに加工した荒れた画質の画像を多用し恐怖感を煽る、ということで
このテープもってないですか?(2022年)
perry-r.hatenablog.com
イシナガキクエを探しています(2024年)
perry-r.hatenablog.com
と全く同じ手口(?)のホラー番組です。
番組の性質上、当然ながら、すっきりと謎が解かれるはずもなく、真相はあいまいなまま終わります。視聴者がそのあとで「真相はあーだ、いや、こーだ」と考察合戦を行うことが前提の番組。実にあざといですね(?)
まぁほぼ確定なのは、
・今は矢代氏は徳島の岸本良樹氏の部屋で一緒にいる
・飯沼家の火事は明正氏の仕業
、ということくらい。
・一家がおかしくなったのは矢代氏の儀式のせいか、明正氏がオカルトで何かしたのか?
・一家はなぜ心霊スポットをうろついていたのか?
・輪っかや「向こう側」とは?
・毎年明正氏が岸本家にリンゴを送る理由(既にリンゴ農家は廃業しているのに)
などが不明のままでした。
モヤモヤが残ったままの幕引きでしたが、まぁこういう未解決事項があった方がより心に残るのでしょう。フェイク・ドキュメンタリーとしてはいい出来だったと思います。
