【ゲームブック】『ホームズ鬼譚〜異次元の色彩』内の「ゲームブック」が「シャーロック・ホームズ10の怪事件」システムだったとは!!

ホームズ鬼譚~異次元の色彩 (The Cthulhu Mythos Files 8)

■ホームズ鬼譚〜異次元の色彩(オマージュ・アンソロジー詳細ページ)
http://www.soudosha.jp/Cthulhu/holmes.html

《バーナム2世事件・フーゴ・ハル著》   
2011年の春、アメリカのマサチューセッツ州アーカムにあるミスカトニック大学で、J・H・ワトスン博士の未発表の手記が発見された。手記の内容は19世紀末のロンドンで起きた怪奇な殺人事件をめぐるものだった。迷宮状に枝分かれしている文章を少しずつ読み進め、あたかもワトスン博士と共に捜査するようにして、事件の謎を解き明かす、新感覚ゲームブック

■アマゾン
https://www.amazon.co.jp/dp/4798830089/
単行本: 400ページ
出版社: 創土社; 四六版 (2013/9/3)
言語 日本語
ISBN-10: 4798830089
ISBN-13: 978-4798830087
発売日: 2013/9/3

 この本は、いわゆるクトゥルフ神話物のシリーズの一冊なのですが、その中に収録されている「バーナム2世事件」という話は『ゲームブック』なのです。しかし、いわゆるパラグラフを辿ってフローチャートを作るようなタイプではありません。1980年代に二見書房から発売されていた「シャーロック・ホームズ10の怪事件」やその続編で使われていたあのシステムの応用なのです!! マジか!?


 そのシステムとはどういったものなのか? まず物語はホームズのところに刑事が訪ねてくるお馴染みのシーンから始まります。「ホームズさん、バーナム二世という男が殺されたのですが死に様が変なんですよ、調査してもらえませんか?」。

 そして刑事の事件説明の中のキーワードには番号がつけられており、その番号を読むと、詳細な説明が得られます。その番号の文章の中にキーワードがあればさらにその番号に飛べます。ネットのハイパーリンクのようなものです。


 具体的に説明すれば、例えば刑事の説明の中に「XX町XX番地 (*1)」と住所が書いてあるとします。試しに「1」の文章を読んでみると

 『そこには豪華な屋敷が建っていた。中から人物A (*2)が出てきた。彼はその日人物B (*3)と会っていたと言う。我々は聞き込みを終えると屋敷を後にした』


 という様なことが書いてあります。そこで、次はプレイヤーは「「2」を読む(=人物Aと会う)」または「「3」を読む(=人物Bと会う)」という選択が出来ます。こんな感じで、次々と手がかりが得られるので、どんどん聞き込み/調査をしていくわけです。全てを調べたと考えたら「質問事項」に進みます。そこには「犯人は誰か」とか「凶器は何か」とか「犯行の動機は」とかそれ的な問いがあります。そして解答ページを見て答え合わせをして何問当たったかを見るわけです。


 「シャーロック・ホームズ〜」のゲームシステムは厳密には本作品と同一ではありませんが、証言やその他の中から次々と手がかりを見つけ出し、対応する番号の文章を読み、真相を推理する、という大まかな枠組みは同じなのです。なんと2013年にこのシステムと再会できるとは思わなかったぁぁぁぁ。懐かしい〜。


 ちなみに作者のフーゴ・ハル氏はゲームブック業界の重鎮ですが、また「シャーロック・ホームズ〜」の翻訳他を手がけた人でもあります。ご本人が作ったものですからハズレのはずもなかろうと思います。25年ぶりにロンドンでホームズと一緒に推理の旅に出ることになり、ウキウキしていますよ。