http://www.amazon.co.jp/dp/4150124906
地獄の息子たち (ハヤカワ文庫SF SFロ 1-744) 文庫 2025/9/3
H・G・フランシス (著), K・H・シェール (著), 長谷川 早苗 (翻訳)
出版社:早川書房 (2025/9/3)
発売日:2025/9/3
文庫:272ページ
【※以下ネタバレ】
アダムスらが惑星ミコンの探索を開始する一方、惑星アプツラドではカンタロの指導により次世代クローンが急速に育成されていた!
あらすじ
◇1487話 遺伝子工場の反乱(H・G・フランシス)(訳者:長谷川 早苗)
NGZ1146年12月。アンティの故郷星系アプトゥトの第四惑星アプツラドのカンタロの遺伝子工場では、数十年の研究の末、アンティの遺伝子を使ったクローン「バアロル=700」が実用化段階を迎えていた。ところが研究所の所員たちが次々と不審死したため、アラスの主任はヴィッダーの工作員の犯行と考え独自に調べ始めた。やがて主任は部下の一人が工作員だと突き止めたが、テロを行っていたのは彼らを憎悪するアンティたちだった。主任は良心に目覚め、工場ごとクローンを爆破しようとするが、カンタロに察知され計画は失敗し殺害された。(時期:NGZ1146年12月4日~12日)
※初出キーワード=惑星アプツラド。バアロル=700クローン。
◇1488話 地獄の息子たち(K・H・シェール)(訳者:長谷川 早苗)
ヴィッダーは謎の存在「アガー・カトメン」が超能力を持つクローンを惑星ミコンに集め、強大なエスパー軍隊を編成するとの情報をつかみ、調査に向かった。グッキーとラス・ツバイはミコンに潜入しヴィッダーの工作員と合流したものの、超能力が厳しく監視されており能力を使う事すらできない状態だった。結局一行はミコンに来訪したアガー・カトメンに接近すらできないまま逃走を余儀なくされた。一方、アンドロメダ銀河からはポスビのフラグメント船10,000隻と護衛のハルト船2,000隻が1147年2月に銀河系に到着することになった。(時期:NGZ1146年12月18日~31日)
※初出キーワード=エツァウル星系(惑星ミコンが所属する恒星系)。地獄の息子たち(バアロル=700クローンの別名)
あとがきにかえて
長谷川 早苗 氏
本巻の簡単な紹介。
感想
・前半エピソード「遺伝子工場の反乱」 原タイトル:REBELLION IN DER GEN-FABRIK(意訳:遺伝子工場の反乱)
カンタロに仕えるアラスはアンティの遺伝子を使ったクローン「バアロル=700」の研究開発を進めていたが……、という話。
ローダン側ではなくアラスが主人公となり、研究所周辺で起きる不審死の謎を解き明かそうとする、というミステリ仕立てのエピソードでなかなか面白かったです。ただ関係者全員死亡という結末が苦すぎ……
・後半エピソード「地獄の息子たち」 原タイトル:SOHNE DER HOLLE(意訳:地獄の息子たち)
グッキーとラス・ツバイは超能力を持つクローンが集められている惑星ミコンへ潜入したが……、という話。
超久しぶりにシェール御大担当回ですが、惑星中が超能力を持つクローンだらけなのでミュータントたちが戦力としてまるで期待されておらず、おとりの役目で投入された、というひどい話。ミュータント部隊の凋落ぶりが悲しい。というかミュータントたち全員が、イルミナ・コチストワ同様に生きることに倦んでいるような描写が不穏過ぎる。