【SF小説】感想「探索者の工房」(宇宙英雄ローダン・シリーズ 743巻)(2025年8月20日発売)

探索者の工房 (ハヤカワ文庫SF)

http://www.amazon.co.jp/dp/4150124884
探索者の工房 (ハヤカワ文庫SF) 文庫 2025/8/20
ペーター・グリーゼ (著), H・G・エーヴェルス (著), シドラ 房子 (翻訳)
出版社:早川書房 (2025/8/20)
発売日:2025/8/20
文庫:272ページ

【※以下ネタバレ】
 

ヒューマニドロームに入ることに成功したアンブッシュ・サトーらは、そこで出会った瞑想中のナックから情報を得ようと試みる……


超現実学者のサトー、《ウクスマル》船長シュヴァルツ、小柄なハルト人テンナールの三名は、気がつくと不思議な空間にいた。やがてどこからともなく声が聞こえ、「探索者の工房にきてほしいなどとだれも要求していない!ここにくる道を開いたのはわれわれとはいえ、今後起きることすべての責任は自分でとってもらおう」奇怪な部屋に閉じ込められた三名は、はたして無事に脱出し、ナックを説得することができるのか…!?

 

あらすじ

◇1485話 探索者の工房(ペーター・グリーゼ)(訳者:シドラ 房子)

 アンブッシュ・サトー、ロイデル・シュヴァルツ、ハルト人リンガム・テンナールの三人は、ナックが「探索者の工房」と呼ぶヒューマニドローム内に転送された。ところが内部はナックの生み出した超現実によって混沌としており、さらに遭遇したナックたちは会話に全く応じようとしなかった。しかしヴィッダーに協力するナック・ヴァロンゼムが突如出現したことで事態は好転し、200名のナックが惑星ヘレイオスに同行することになった。ナックたちはヒューマニドローム内で瞑想し「不可解なもの」を探し続けていた。サトーたちは宇宙船にナックたちを乗せてロクヴォルトを離れた。(時期:NGZ1146年10月頃)

※初出キーワード=無し


◇1486話 アッカーティルでのミッション(H・G・エーヴェルス)(訳者:シドラ 房子)

 アンブッシュ・サトーはナックたちを惑星ヘレイオスに移送していたが、突然ナックが内部対立を始めてしまい、解決のためには惑星アッカーティルに向かう必要があると告げられた。アッカーティルは小型ブラックホールが衛星の特殊な惑星で、ブラックホールとナックたちが作った時空歪曲の影響で時間流修正が発生したが、最終的にナックたちの対立は解消された。ギャラクティカーは、過去にナックが秘密結社に参加しなんらかの目標を追っていたが、今では大半が結社を離れたことを知った。また「アガー・カトメン」なる人物が遺伝子操作生物ビオントたちに対し惑星ミコンへ集まるように命令したことを突き止める。アガー・カトメンは650年前にハンザ・スポークスマンを勤め既に死んでいるはずの人物だった。(時期:不明:NGZ1146年10月頃)

※初出キーワード=惑星アッカーティル(ラフメイン星系)。惑星ミコン。


あとがきにかえて

シドラ 房子 氏
 今年2025年5月28日にスイスのブラッテン村が崖崩れで壊滅した話


感想

・前半エピソード「探索者の工房」 原タイトル:WERKSTATT DER SUCHER(意訳:探索者の工房)

 サトーたちは「探索者の工房」ことヒューマニドロームでナックを説得しようとするが……、という話。

 話の大半は超現実の不条理世界を探索する不条理系の話で全然面白く無し。最後にヴァロンゼムが来て事態が一発解決してしまったので「今までサトーたちが散々苦労してきたことの意味は……」とガックリ来ました。でもまあ、ナックが「不可解なもの」を探している云々という説明があったのは良かったかなと。



・後半エピソード「アッカーティルでのミッション」 原タイトル:MISSION AUF AKKARTIL(意訳:アッカーティルでのミッション)

 突然ナックが惑星アッカーティル行きを要求し……という話。

 時間流がおかしくなっているという設定で、何度もそれまでと全くつながりのない物語が始まるという支離滅裂なエピソードで、読んでいて大混乱でした。このあたりはいかにもエーヴェルスらしい作風でしたね。正直、ドイツの編集者はよくこれにOK出したなぁと思いましたよ。

余談

 表紙絵を見てようやく理解しましたが、ナックは全身機械で覆ったロボットみたいな姿なんですね。あれ、でも顔にもマスクをつけているはずでは?
 
 

700巻~750巻(「カンタロ」サイクル)の他の巻の内容・感想は以下へどうぞ

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