【SF小説】感想「あるサイノスの死」(宇宙英雄ローダン・シリーズ 710巻)(2024年4月5日発売)

あるサイノスの死 (ハヤカワ文庫SF)

http://www.amazon.co.jp/dp/4150124396
あるサイノスの死 (ハヤカワ文庫SF) 文庫 2024/4/5
H・G・エーヴェルス (著), シドラ 房子 (翻訳)
出版社:早川書房 (2024/4/5)
発売日:2024/4/5
文庫:256ページ

【※以下ネタバレ】
 

パウラ・ブラックホール内の時空の泡に閉じ込められた《ハルタ》船内で、イホ・トロトはローダンにこれまでの驚くべき冒険を語る

 

あらすじ

◇1419話 あるサイノスの死(H・G・エーヴェルス)(訳者:シドラ 房子)

 ローダンたちの乗る《ハルタ》はブラックホール内で身動きが取れなくなり、その間にイホ・トロトは過去を回想し始めた。

 NGZ445年11月。アブサンタ=ゴム銀河。トロトは“丸太”の調査中に謎の通信を受信し、調査の結果M-87銀河出身のペレヴォン種族の墜落した宇宙船にたどり着いた。ペレヴォンはかつてはM-87の種族の宿敵だったが、世代交代で平和志向となり、今では完全に和解していた。M-87の種族は力の集合体エスタルトゥからの侵略の試みを何度も撃退し、情報収集のためアブサンタ=ゴムへとやって来ていた。

 トロトは残されたメッセージをペレヴォンの王「ポヴァリスロング」に伝えるためM-87に向かうが、正体不明のヒューマノイド「ジュファル・アマ・スンヌー」と行動を共にすることになり、またポヴァリスロング王は人工臓器密売の犯罪組織と関係しているらしいことを知る。

 さらにポヴァリスロング王は“ブラック・スターロードの鍵”と呼ばれる秘宝「ミモトの宝石」を所持していたが、トロトは惑星「ゴンダウァルカン」の「魔術師」ならその秘密を知っていると聞き、すぐさま会いに向かうものの、魔術師は何者かに襲撃されて瀕死の状態でサイノスであることを示して死んでしまった。(時期:NGZ1143年7月頃、過去NGZ445年11月~446年1月頃)

※初出キーワード=ミモトの宝石。ミモト星系。ミモト・ブラックホール。ジュファル・アマ・スンヌー。ドルイソラ銀河(M-87の現地名)。恒星ヤンガル(惑星ヤンヨク)。ガス惑星ガシュダル/衛星ヌシュト。恒星アリオア(第六惑星ゴンダウァルカン)。



◇1420話 スターゲート(H・G・エーヴェルス)(訳者:シドラ 房子)

 トロトの回想の続き。

 トロトは惑星「ヤンヨク」でポヴァリスロング王と会見し、惑星「トフタル」から重要データが納められている「ブラック・キューブ」を回収してくるという依頼を受ける。トロトは苦労してキューブを手に入れるが、時空の異変に巻き込まれ、仕事を終えた時には一年後のNGZ427年2月となっており、その頃にはプシオン・ネットは大崩壊を開始していた。

 ポヴァリスロング王は臓器犯罪組織の一員であることが発覚してその地位を追われ、トロトはミモトの宝石とブラック・キューブの両方を手に入れた。二つを組み合わせると、ブラックホールを利用する銀河間移動システム・ブラック・スターロードの情報が出現し、トロトたちは「ミモト・ブラックホール」に突入した。

 しかしブラックホール内で身動きが取れなくなり、内部に存在した惑星「ミモト」にいた「ミモトの守護者」こと「ハルツィド」と交渉し、宝石とキューブを渡す見返りとしてブラックホールから解放された。しかし、既にその時には194年後のNGZ640年になっていた。

 以後トロトはローダンを探して宇宙をさまよい、最終的にカンタロたちの罠にはまり200年間休眠状態を強いられたのだった。

 やがて《ハルタ》は銀河系内のペルセウス・セクターのブラックホールから通常宇宙に飛び出し、しかも時間を遡ってNGZ490年に到着していた。(時期:過去NGZ446年2月頃~、NGZ1143年7月頃)


※初出キーワード=ブラック・キューブ。連星ヌレッグ=ラッダシュ(惑星トフタル)。ミモトの守護者。惑星ミモト。


あとがきにかえて

シドラ 房子氏
 カフカの小説をもとにしたオペラ「アメリカ」を鑑賞した話。


感想

・前半エピソード「あるサイノスの死」 原タイトル:DER TOD EINES CYNOS(意訳:あるサイノスの死)

 約700年前にトロトがM-87銀河を訪問した時の回想。エーヴェルスらしくもうやりたい放題で、ローダンたちがタルカン宇宙で出会った謎キャラ「ゴジョー・アマ・スンヌー」とつながりがあるらしい「ジュファル・アマ・スンヌー」を唐突に登場させたり、「ゴンダウァルカンの魔術師」が登場したと思ったら速攻退場、しかも正体は意味なくサイノスだった、とか、本筋以外の余分な情報が多すぎた……


・後半エピソード「スターゲート」 原タイトル:STERNENTORE(意訳:スターゲート)

  約700年前にトロトがM-87銀河を訪問した時の回想(続編)。エーヴェルスの暴走は留まるところを知らず、キューブを取りに行ったらいきなりATGフィールドの迷宮に取り込まれるし、ブラックホールの中に恒星系があってさらに正体不明の「ミモトの守護者」が待っていたり、「ジュファル・アマ・スンヌー」が謎を振りまきまくった挙句にいつの間にか消えてしまうし、で、あらすじを追うのも大変でした。
 
 

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