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永遠への飛行 (ハヤカワ文庫SF) 文庫 2024/3/21
クラーク・ダールトン (著), クルト・マール (著), 長谷川 圭 (翻訳)
出版社:早川書房 (2024/3/21)
発売日:2024/3/21
文庫:272ページ
【※以下ネタバレ】
ローダン、ブル、ベオドゥ、グッキーらは、43人の選ばれし者と共に《エタニティ》にて飛び立つが、乗員選抜の手順に不審を感じる
ローダンたち六名は、永遠の奉仕者となる“選ばれし者”のベカッスとともに、惑星カッスバンで永遠の船に乗船した。つぎの寄港地のトゥールス3につくまでのあいだに、一行は手分けして船内を探るが、この船はロボット制御された無人船で、約七百名のベカッスしかいなかった。客室は船首部分に、エンジンは船尾部分にあるようだが、金属壁に遮られ通行不能。グッキーは、テレポーテーションで船尾部分へと潜入するが…!?
あらすじ
◇1417話 永遠への飛行(クラーク・ダールトン)(訳者:長谷川 圭(初))
ローダンたちは「永遠の船」の調査を始めるが、船は完全自動制御で船内には各惑星から乗り込んだベカッス種族しかいなかった。やがて船はローダンたちを不審者とみなし、次の寄港地・惑星「パウラII」で船から追い出すが、ローダンたちはパウラIIの宇宙港で数百年前から置き去りにされていたイホ・トロトの宇宙船《ハルタ》を発見した。ローダンたちは《ハルタ》を強引に永遠の船に接続し、一緒に次の目的地へと向かった。(時期:不明。NGZ1143年7月頃)
※初出キーワード=惑星パウラII。
◇1418話 巨人の洞窟(クルト・マール)(訳者:長谷川 圭)
永遠の船はパウラ星系近傍のブラックホールに突入し、内部に隠されていた宇宙ステーション「永遠」に到着した。永遠の司令官ロングンアタアンはベカッスを遺伝子実験の対象にしており、侵入してきたローダンを殺そうとするが反撃を受けて自爆してしまった。ナックのラカルドーンはローダンに、過去にイホ・トロトがステーション内のエネルギー柱「過去の柱」の向こうに追放されたことを伝え、《ハルタ》はトロト救出に向かった。
ローダンたちは柱の向こう側「時空の泡」で小惑星を発見し、休眠状態だったトロトと再会した。トロトはローダンがブラックホールに墜落して死んだという噂を調査中、カンタロの罠にはまったのだった。小惑星「アムリンガル」には過去に「超越知性体“それ”の年代記制作者」が作った「アムリンガルの時の石板」があり、エルンスト・エラートたちもここを訪れていた。しかし石板は695年前の時空の異変の際に破壊されていた。
ラカルドーンとは、かつてソト=ティグ・イアンに仕えていたナック・タワラのことで、タワラの罠でローダンたちは時空の泡の中に閉じ込められてしまった。しかし《ハルタ》が過去の柱を破壊して脱出すると永遠は崩壊し、《ハルタ》は謎の空間「ブラック・スターロード」へと墜落した。(時期:不明。NGZ1143年7月頃)
※初出キーワード=宇宙ステーション永遠。ブラック・スターロード。
あとがきにかえて
長谷川 圭氏
翻訳チーム加入のあいさつ、ドイツで日本語教室を教えている話。
感想
・前半エピソード「永遠への飛行」 原タイトル:FLUG IN RICHTUNG EWIGKEIT(意訳:永遠への飛行)
ローダンたちが「永遠の船」を調査する話。既に半ば引退しているダールトン先生にわざわざ書いてもらったのに、ロボット宇宙船とかでバタバタするだけの中身のない話というのはもったいなさすぎる……
・後半エピソード「巨人の洞窟」 原タイトル:DIE HOHLE DES GIGANTEN(意訳:巨人の洞窟)
ローダンたちが、目的地の宇宙ステーション「永遠」に到着し、カンタロらしい相手と遭遇し、トロトを発見し、アムリンガルの時の石板(の残骸)を発見し、エラートたちの消息を知り、謎のブラック・スターロードに転落する話。
という風に超中身が濃いエピソード。一話にこんなに要素が詰まっている話なんて第三勢力時代にもそうそうなかった、というレベルの密度で、あらすじがものすごく長くなってしまった。しかし「アムリンガルの時の石板」が出てくるのなら、今回をダールトン先生に書いてもらうべきだったのでは。
その他
翻訳チームに新メンバーとして、かつて「ローダンNEO」シリーズを翻訳していた長谷川圭氏が加入。これは鵜田良江氏と同じパターンですね。