【SF小説】感想「M-3の捜索者」(宇宙英雄ローダン・シリーズ 705巻)(2024年1月24日発売)

M-3の捜索者 (ハヤカワ文庫SF)

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M-3の捜索者 (ハヤカワ文庫SF) 文庫 2024/1/24
アルント・エルマー (著), クルト・マール (著), 小津 薫 (翻訳)
出版社:早川書房 (2024/1/24)
発売日:2024/1/24
文庫:288ページ

【※以下ネタバレ】
 

サトー・アンブッシュらは《シマロン》搭載のハミラー管から情報を引きだそうとするがハミラー管は密かに操縦権奪取を企てていた


フェニックス=1を出発した“シマロン”は球状星団M-3へと向かった。ポルレイターからこの約七百年のあいだに銀河系でなにが起きたのかを訊きだすと同時に、銀河系に進入するための援助を得るためだ。だがその途上、突然、サトラングで遭遇したのと同じ亡霊船の攻撃を受ける。ローダンはヴァーチャル・ビルダーを起動し、“シマロン”の虚像を作成、敵がそれを攻撃しているあいだにハイパー空間に逃走しようとするが!?

 

あらすじ

◇1409話 M-3の捜索者(アルント・エルマー)(訳者:小津 薫)

 ローダンはM-3球状星団のポルレイター種族の援助を求めるため《シマロン》で出発した。途上、《シマロン》は惑星サトラング近傍で目撃された亡霊船の攻撃を受け、さらに船内のハミラー・チューブが操船を妨害したため危機に陥るが、なんとか切り抜けた。ところが到着したポルレイターの拠点は放棄されており、ローダンは残った施設を管理しているナックからポルレイターの隠遁先である惑星ガットムの場所を教えられる。

 ローダンはガットムでポルレイターと再会し、過去の歴史を知らされた。700年前、ギャラクティカーはハウリ人や謎のカンタロ種族との戦争のためポルレイターに超兵器の提供を要求し、ポルレイターは最初は応じていたものの、エスカレートする要求についに応じることを拒んだ。するとギャラクティカーはポルレイターを攻撃してきたため、ポルレイターはそれを撃退し、ギャラクティカーとの同盟を破棄したのだった。

 ポルレイターはローダンに、過去の事を知りたければ「アムリンガルの時の石板」を探すように示唆すると、ガットム諸共姿を消してしまった。(時期:~NGZ1143年5月26日~6月10日)

※初出キーワード=ボレア星系/惑星ガットム。



◇1410話 宇宙ハンザの特使(クルト・マール)(訳者:小津 薫)

 ニッキ・フリッケルたちは、大マゼラン星雲のグラド種族の自由貿易惑星「アイシュラン=ホ」を目指していたが、亡霊船の攻撃を受け、なんとか逃走に成功した。ニッキたちはアイシュラン=ホで、宇宙ハンザの特使を自称するものの、惑星の責任者への面会は門前払いされる。ニッキはテラナーの末裔である商人パウロッテの協力を得て情報収集を進め、高度な技術を誇るカンタロ種族が700年前の戦争に勝利し争いを終結させたことを知る。しかしその後ニッキは謎めいた陰謀に巻き込まれた挙句、誘拐されてしまった。しかもパウロッテの死体を調べると、生体部品と機械を組み合わせた「ドロイド」だったことが判明した。(時期:NGZ1143年5月22日~)

※初出キーワード=ドロイド。


あとがきにかえて

小津 薫氏
 「モーパッサン 怪奇傑作集」の話。


感想

・前半エピソード「M-3の捜索者」 原タイトル:SUCHER IN M 3(意訳:M-3の捜索者)

 ローダンがポルレイターに会いに行く話。

 久々登場のポルレイターですが、有名な(?)エビ・カニ風の行動体を止めてヒューマノイドボディに切り替えていたというのに意表を付かれました。しかしなぁ、情報をくれる人達ってなぜみんなそのものずばりを教えてくれずに「《アムリンガルの時の石板》を探せ」とか、理解できないようなあいまいなことしか言わないんだろう……(苦笑)



・後半エピソード「宇宙ハンザの特使」 原タイトル:DER DROIDE(意訳:ドロイド)

 ニッキ・フリッケルたちが惑星「アイシュラン=ホ」で情報収集を試みると……、という話。

 今まで、宙航士の先祖から退行してしまった人たちの星とか、破壊されたステーションとか、精神を病んだもののサナトリウムとか、そんなところばかりめぐっていたので、久々に文明の息吹に触れてホッとさせられました。ニッキを誘拐したのはいったい誰だ?

 今回の作品タイトルは、原題の「ドロイド」とか仮題だった「ある商人の話」とかより洗練されているので、悪くないなと思いました。


その他

 カンタロ・サイクル突入後、翻訳チームを卒業した方の復帰ラッシュが続いていますが、本巻の翻訳者・小津薫氏も、2017年発売の547巻「試験惑星チェイラツ」以来の7年ぶりのローダン翻訳です。「あとがきにかえて」に何も書いていないので最初気が付かなかった……
 
 
 

700巻~750巻(「カンタロ」サイクル)の他の巻の内容・感想は以下へどうぞ

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ローダン・シリーズ翻訳者一覧は以下へどうぞ

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