ダークサイドミステリー NHK https://www.nhk.jp/p/darkside/ts/4847XJM6K8/
放送 NHK BSプレミアム。
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【※以下ネタバレ】
本当の謎は、人間の闇
「「学校の怪談」 子どもがささやく怪異の闇」(2023年4月6日(木)放送)
内容
ダークサイドミステリー 「学校の怪談」子どもがささやく怪異の闇
[BSプレミアム] 2023年04月06日 午後9:00 ~ 午後10:00 (60分)
学校は怪談のテーマパーク!なぜ教室が恐怖の舞台に?怪異は校舎のどこに?花子さん、赤い紙・青い紙など人気怪談をマジメ分析。オトナが忘れた懐かしく恐ろしい闇の正体!
夜中に鳴るピアノ、動く人体模型、四次元教室、「赤い紙・青い紙」「トイレの花子さん」…1990年代「学校の怪談」ブームを、超マジメに民俗学者たちと深堀り!オトナが忘れ、子どもだから見える闇の正体とは?▽学校のどこに?怪異出現ベスト10!▽なぜ?花子さん進化の謎▽最恐!「赤い紙・青い紙」怖さの秘密▽日本最古「学校怪談」はカッパ?▽極秘の伝承!怪異を呼ぶ怪しい呪文・儀式。▽投稿1万通!ブームの裏側。
【出演】栗山千明,【ゲスト】横浜国立大学 教育学部教授…一柳廣孝,小説家…峰守ひろかず,【語り】中田譲治,能登麻美子,【司会】伊藤海彦
●「学校の怪談」シリーズ誕生
1990年代初めに「学校の怪談」が大ブームとなった。その火付け役となったのは二つの出版社(講談社とポプラ社)から発売された「学校の怪談」と銘打った二つのシリーズ。内容は、講談社版は怖い噂話を並べたもの。ポプラ社版は怪談にきちんとオチまでついている民話風。
講談社版は民俗学の研究として子供たちから直接噂話を聞き取って本にしたもの。1990年11月発売。その9か月後、1991年8月に発売されたポプラ社版は「日本民話の会」が作成した物。日本民話の会とは児童文学者や民俗学者の集まりで、50年にわたり民話を収集していた。そして現代の民話として子供たちの間に伝わる怪談を本にしたが、児童文学者が書いたのできちんとオチのついた話になっていた。
この二つのシリーズは競うように続編を発売。アンケートハガキで読者から怪談を募集しており、三年間で一万通のハガキが届いたという。この両シリーズは累計発売数は500万部の大ベストセラーとなった。
●「学校の怪談」の歴史
学校怪談の歴史を調べてみると、政府によって学校というものが作られた明治時代までさかのぼる。
確認できる最古の学校怪談は、明治35年に熊本県八代の学校で「トイレから手が出てきて尻を撫でられる」というもの。明治45年岩手県遠野の学校では「生徒を点呼すると、本来の数より多い」という話が伝わっている。ただしこれらは、それ以前からあったカッパや座敷童の話が元ネタ。オリジナリティはまだない。
昭和17年には、青森県の師範学校で「学校の七不思議」として、あかずの便所、十三階段、ひとりでに鳴るピアノ、といった、のちの定番話が、上級生から下級生に語られていたという。
戦後になると怪談は進化し、有名な「赤い紙、青い紙」が登場する。この話は民話の構成「挑発→反応→結果」そのままで、子供たちが自分たちが気が付かないまま民話と同じ形で独自怪談を作っていった。
昭和40年代になるとこの「赤い紙、青い紙」怪談は進化し「赤か青の紙を選ぶと死ぬが、黄色い紙を選択すれば助かる」という分岐が誕生する。ただ殺されるだけではなく、正しい選択をすれば生き残るというエンタメ要素が追加された。
●学校の怪異の舞台
学校で怪異が発生する(異界と繋がりやすい)場所はどこか。怪談を分析してベストテンをつけると
1位 トイレ
2位 特別教室
3位 普通教室
4位 通路
5位 体育館
6位 運動場
7位 宿泊施設(林間学校など)
8位 プール
9位 保健室
10位 職員室
となった。
トイレというのは狭く薄暗くしかも一人になる空間なので、怪異と出会いやすいというのはよく理解できる。そしてトイレの怪異と言えばスーパースター「トイレの花子さん」である。呼びかけると返事がある怪異なので、何か恐ろしいものに襲われるのではなく、安心て自分から積極的に体験できる怪異という事で大人気に。
教室での怪異というのは、他の場所の怪異とは異なり、わざわざ放課後に秘密の儀式をすると怪異が出現する、というパターン。子供たちは、特別教室などの非日常的な場所では積極的に怪談を楽しみ、普段使う通常教室では特別な儀式という条件付けをすることで日常空間を怪異を楽しむ場所に変える、という使い分けをしていた。
●「学校の怪談」ブームの終焉
1990年代初めに始まった学校怪談ブームは、テレビアニメや映画が作られるほどにまでなったが、2000年頃に収束した。
ブームで常に人気だったのは「トイレの花子さん」だったが、その姿は時代により移り変わった。最初はトイレで声を掛けると姿が見えないのに返事が返ってくる、というものだったが、1992年頃になると花子さんは狂暴になり生徒が襲われる様な話に変化した。そのあと、1994年頃になると一転、映画やアニメの中では子供たちを助けてくれる救い主となった。
だが、このようなメディア化が子供たちが怪談に求めた「生、死、恐怖、不安」といった要素からかけ離れてしまい、学校怪談に興味を失わせたのではないか。
だがブームは去っても、相変わらず子供たちの間では学校怪談が語られているという。また「放課後にパソコンを使っていると画面の中に引きずり込まれる」という今風の話も生まれているようで、インターネットと組み合わさって学校怪談は進化していくのかもしれない。
感想
「学校の怪談」というなんとも郷愁を覚えるテーマの回でした。どうやってブームになり、どうして終息していったのか、とかを細かく追っており、結構面白い回でしたね。
おまけ
・怪談パートの語り手として、のとまみこと能登麻美子が特別参加していました。
・冒頭に栗山千明が「学校の怪談と言えば……、そう、サヨコ!」と言い出してワロタ(笑)(※栗山千明は2000年に放送されたNHKドラマ「六番目の小夜子」のメインキャラを演じていた)