【SF小説】感想「サトラングの隠者」(宇宙英雄ローダン・シリーズ 704巻)(2024年1月10日発売)

惑星サトラングの隠者 (ハヤカワ文庫SF)

http://www.amazon.co.jp/dp/4150124280
サトラングの隠者 (ハヤカワ文庫SF) 文庫 2024/1/10
クラーク・ダールトン (著), エルンスト・ヴルチェク (著), 鵜田 良江 (翻訳)
出版社:早川書房 (2024/1/10)
発売日:2024/1/10
文庫:272ページ

【※以下ネタバレ】
 

《シマロン》に乗るグッキーらは惑星サトラン星系に到着し、助けを求める謎の隠者との接触に成功。その正体は驚くべき人物だった


隔離された故郷銀河をめざす最初の突入が失敗に終わったあと、銀河系船団は恒性へロスの第二惑星サトラングに向かった。“隠者”を名乗る謎の人物からの救難信号を受身したからだ。惑星に到着するや、グッキーは独断でただちに地表へと向かう。信号によれば、その隠者は死の危機に瀕しているらしい。グッキーはさまざまな場所を探すが見つからない。ようやく隠者を発見するが、細胞活性装置を強奪されたその人物は…!?

 

あらすじ

◇1407話 サトラングの隠者(クラーク・ダールトン)(訳者:鵜田 良江)

 ローダンやグッキーたちは惑星サトラングで死に瀕しているはずの「隠者」の捜索を開始した。ローダンは過去の記録から、隠者が銀河系にいた細胞活性装置保持者で、600年前専門家チームを率いて封鎖寸前の銀河系を脱出して惑星サトラングに移住し、銀河系を支配する謎の敵への対抗手段を研究していたと知る。グッキーは隠者と対面し、その正体がジェフリー・アベル・ワリンジャーと知るが、ワリンジャーは細胞活性装置を何者かに盗まれており直後に老衰死してしまった。ローダンたちはサトラングを離れ、ワリンジャーの亡骸を宇宙に葬った(時期:不明。NGZ1143年5月中旬頃)

※初出キーワード=恒星へロス(第二惑星がサトラング)。クロノパルス壁。



◇1408話 永遠のひとしずく(エルンスト・ヴルチェク)(訳者:鵜田 良江)

 ローダンたちは宇宙空間に会合場所「フェニックス=1」を定めたあと、手分けして情報収集を開始した。ティフラーは太陽系から約32万光年に位置するブラックホール「ポイント・シラグサ」近傍の研究ステーションに向かうが、研究者たちはステーションを放棄して姿を消していた。そのあと、ポイント・シラグサ近傍でカルタン人の巨大宇宙船《ナルガ=サント》の残骸の一部が発見され、内部で退行したカルタン人が生存していることが判明した。

 約650年前、M-33のカルタン人たちは混乱から立ち直ると、謎の敵「カンタロ」と戦っているというギャラクティカーを支援するため《ナルガ・サント》を銀河系へと派遣した。ところが銀河系に入ることができず、さらにブラックホールを利用して銀河系に潜入するという計画は失敗し《ナルガ・サント》は破壊されたのだった。

 ティフラーは《ナルガ・サント》の残骸がM-33へと帰還できるように手配したが、ミュータント・イルミナ・コチストワの精神が不安定になっていることを知った。(時期:NGZ1143年5月17日~18日とその前後)

※初出キーワード=ブラックホール・ポイント・シラグサ。集合地点フェニックス=1。リシュタル星系。惑星アイシュラン=ホ。ステーション・シラI~シラVIII。カンタロ種族。


あとがきにかえて

鵜田 良江氏
 ローダンの翻訳に復帰した&翻訳した「グラフィックノベル ベルリン1928-1933」の話。


感想

・前半エピソード「サトラングの隠者」 原タイトル:DER EREMIT VON SATRANG(意訳:サトラングの隠者)

 ローダンやグッキーは惑星サトラングのどこかにいるはずの「隠者」を捜索するが……、という話。

 ひぇぇ、久々に主要レギュラーキャラが退場してしまいました。ワリンジャーと言えば150巻~200巻のM-87サイクルからの付き合いだったのに、退場するときはこんなにあっさり……(涙)、ローダン・シリーズの作者チームは長い付き合いのキャラでもミュータントたちとかアラン・D・マーカントとか実にあっさり消してしまうから、油断も隙も無い……



・後半エピソード「永遠のひとしずく」 原タイトル:EIN TROPFEN EWIGKEIT(意訳:永遠のひとしずく

 ティフラーは情報を求め、ブラックホール・ポイント・シラグサ周辺にある研究ステーションを目指したが……、という話。

 ティフラーたちの話と、どこともわからない謎の場所(まさにディストピア)でのエピソードを交互に進め、やがてそれが《ナルガ・サント》残骸発見と内部で生き延びていた退行カルタン人の話として結び付く、という構成はうまいものがありました。

 ようやく戦うべき敵の名前が「カンタロ」らしいと判明。引っ張りまくったなぁ。

 今回は普段影の薄いミュータント・イルミナ・コチストワがやたら精神不安定的なセリフを連発しており、先行きが心配です……


その他

 本巻の翻訳者として、2022年3月発売の661巻「焦点のビッグ・プラネット」で翻訳チームを一旦卒業された鵜田良江さんがカムバックされました。見知った方が戻ってこられるのは何となくうれしい。
 
 
 

700巻~750巻(「カンタロ」サイクル)の他の巻の内容・感想は以下へどうぞ

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ローダン・シリーズ翻訳者一覧は以下へどうぞ

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