プレミアムシネマ NHK https://www.nhk.jp/p/ts/QPN1RW1PYW/
放送 NHK BS。2025年7月29日(火)
【※以下ネタバレ】
アカデミー作品賞、監督賞をはじめ7部門受賞。第2次大戦下の日本軍捕虜収容所を舞台に、橋の建設をめぐるドラマをデビッド・リーン監督が壮大なスケールで描く名作。
アカデミー作品賞、監督賞をはじめ7部門に輝く、巨匠デビッド・リーン監督の戦争映画の名作。第2次大戦下の日本軍捕虜収容所を舞台に、捕虜の連合軍兵士を使って橋を建設しようとする日本軍と、人間としての尊厳を求める連合軍との対立、ひそかに進行する橋の破壊作戦を壮大なスケールで描く。アレック・ギネス、ウィリアム・ホールデン、早川雪洲はじめ国際的な名優の共演、主題曲「クワイ河マーチ」はあまりにも有名。
あらすじ
1943年。第二次世界大戦中。タイとビルマのジャングルの中にある日本軍の「第16収容所」にはアメリカ海軍のシアーズ中佐(ウィリアム・ホールデン)たちが捕らえられていたが、過酷な環境で大半の捕虜は死んでいた。シアーズは死体から奪ったライターを日本兵に渡し、病人扱いにしてもらって強制労働を免除してもらうことに成功した。
やがてニコルソン大佐(アレック・ギネス)が指揮するイギリス軍が捕虜として連れてこられた。所長の斎藤大佐(早川雪洲)は、イギリス兵に、バンコクとラングーンを結ぶ鉄道用にクワイ川に橋を架ける作業を命じる。ニコルソン大佐は士官に労働させることはジュネーブ条約違反だと抗議するが斎藤大佐は無視する。
翌日。イギリス兵は工事に向かったが、士官たちは直立不動のままで、斎藤大佐が銃殺すると脅しても無視した。斎藤大佐はニコルソン大佐たちを灼熱の懲罰房に閉じ込めるが、ニコルソンたちは屈服しなかった。しかもその後もイギリス兵を使った工事は遅々として進まなかった。
結局斎藤大佐が折れ、イギリスの士官は工事の指揮を任されることになった。ニコルソン大佐は兵士たちに規律と目標を与えるため橋の建設に邁進させることにした。そして、橋の設置場所の見直し、作業シフトの組み直し、等、工事に関して自分たちで仕切り始めた。軍医のクリプトンは裏切りだと非難するが、ニコルソン大佐は「斎藤の手術をするならば、手を抜くのか」と言われ答えに窮する。
一方、逃走したシアーズはイギリス軍に救助されていたが、イギリス軍から橋を爆破するため案内役として爆破チームに参加して欲しいと打診される。シアーズは自分は中佐ではなく二等兵曹で、周囲から良く扱われるため死んだ中佐の服を着ていた、と白状するが、そもそもイギリス側はそれを知ってシアーズに話を持ち掛けていたのだった。シアーズは逃げ道がなくなり作戦に参加するしかなくなる。
シアーズら四人のチームがパラシュートで降下するものの、一人が着地に失敗し死んだ。指揮官ウォーデン、シアーズ、青年兵士ジョイスは、地元住人の協力を得て橋を目指した。やがて無線で橋は5月12日に完成し翌13日に列車が通過するので、列車と橋を同時に破壊するように命令が下る。
ウォーデンは遭遇した日本兵との戦闘で足を撃たれ、必死に行軍を続けるものの、痛みと出血で歩けなくなってしまう。ウォーデンはシアーズに指揮権を渡すので自分は置き去りにしろと命じるが、シアーズは生きることこそ大事なのに格好をつけるなと激怒し、担架でウォーデンを運ばせる。一行はようやく橋にたどり着き、夜の間に橋に爆弾を取り付け、遠隔操作でジョイスが爆破する準備を整えた。
翌日。イギリス兵は徒歩で橋を渡り別の収容所へと移動したが、ニコルソン大佐とクリプトンは列車に乗せてもらうため後に残った。川の水位が下がり、爆弾のケーブルが丸見えになっていため、ニコルソン大佐がそれを見つけてしまい、斎藤大佐と一緒に調べに来てしまう。
ジョイスは斎藤大佐を刺し殺したが、ニコルソン大佐が日本兵を呼んだため殺された。シアーズはジョイスを助けに行こうとして自分も撃たれ、ニコルソン大佐に「裏切り者」と呪いの言葉を吐いて死んだ。そこにウォーデンが擲弾筒を打ち込み、瀕死となったニコルソン大佐が爆弾のスイッチに倒れ込んだため、橋は吹き飛び、列車も川に転落した。クリプトンは「狂気だ」とつぶやいた。終わり。
感想
評価は○(まあまあ)。
名前は超有名ですが全然見る機会の無かった映画。2時間43分という長さに閉口しましたが、まあまあ面白かったです。
しっかし内容が予想と全然違っていてビックリでした。てっきり「イギリス軍人が日本の横暴な軍人にこきつかわれて犠牲を出しつつ苦労して橋を作る辛気臭い映画」かと思っていたら……、途中から橋を爆破する戦争アクション映画になるし、最後は戦争の狂気を訴えるメッセージ映画になるし……、ええっ~という感じでした。
それとキャラの印象が最初と最後でガラッと変わってしまうのが面白い
ニコルソン大佐は、最初は斎藤大佐の横暴に負けず耐え抜くカッコイイ指揮官でしたが、途中では病院に来て「仮病のやつがいるだろう! 工事が遅れているから働け!」とか言い出してアラアラ?という感じに。さらに最後は日本軍の味方になって必死で橋の爆破を防ごうとするなど、もう評価大暴落。
逆にシアーズは、こずるく強制労働を逃れたりニコルソンたちを嘲笑したり、途中ではそもそも中佐ですらなかったことが判明するなどひたすら評価を落としますが……、ジャングルの中では置いて行けと言うウォーデンに「生きることこそ大事なのに! 絶対に置いて行かないからな!」と熱弁し、最後はジョイスを助けるため飛び出していくなど男気のある所を見せました。
そして評価がクルっと正反対になった二人が最後に顔を合わせ、シアーズがニコルソンに「裏切り者」とつぶやいて死んでいくところはインパクト大でしたね。
さわやかな「クワイ川マーチ」で誤解していましたが、戦場のドロッドロを描いた映画でした。でもまあ見てよかったです、ハイ。
ところでどう見ても本物の橋をぶっ壊し、本物の列車を転落させているようにしか見えないんですが……、マジ本物?
シネマ「戦場にかける橋」<字幕スーパー><レターボックスサイズ>
[BS] 2025年07月29日 午後1:00 ~ 午後3:43 (2時間43分)
(原題:THE BRIDGE ON THE RIVER KWAI)
〔製作〕サム・スピーゲル
〔監督〕デビッド・リーン
〔原作〕ピエール・ブール
〔脚本〕カール・フォアマン、マイケル・ウィルソン
〔撮影〕ジャック・ヒルドヤード
〔音楽〕マルコム・アーノルド
〔出演〕アレック・ギネス、ウィリアム・ホールデン、早川雪洲、ジャック・ホーキンス、ジェームズ・ドナルド ほか
(1957年・アメリカ/イギリス)〔英語/字幕スーパー/カラー/レターボックス・サイズ〕