感想:NHK番組「ニューヨーク白熱教室 〜最先端物理学が語る驚異の未来〜」第2回「“万物の理論”の驚くべき予言」(2015年4月10日(金)放送)


 NHK番組「ニューヨーク白熱教室 〜最先端物理学が語る驚異の未来〜」(全4回)の感想です。
(※以下、今回の話の結末まで書いてありますのでご注意ください)

NHK ニューヨーク白熱教室
http://www.nhk.or.jp/hakunetsu/newyork/index.html

 NHK Eテレでの視聴です(放送:毎週金曜 23:00〜23:54)(2015年4月3,10.17,24日)



■番組概要

>4月からの「白熱教室」の新シリーズに登場するのは、世界で最も有名な理論物理学者の一人であり未来学者としても知られるニューヨーク市立大学のミチオ・カク教授。日系3世のカク教授の専門分野は超弦理論と呼ばれる最先端の世界であるが、その興味は今、私たちの未来へと向かっている。21世紀に入ってもなお驚異の発展を続けている現代物理学は、これまでSFとしか思われてこなかった異次元や時間旅行などといった奇妙な世界が、私たちの身近に現実に存在することを解き明かしつつある。現代科学がこのまま進歩したとすると、一体私たちはどこへ行き着くのか?
ハイパースペース(異次元空間)を通っての恒星間旅行や、テレパシーでの交信、さらには私たちの意識や心が肉体を離れレーザービームに乗って宇宙を飛び回り、不老不死が実現する可能性までもが見えてきているという。それは決してSFや絵空事ではない、最先端科学が裏打ちする驚異の未来論である!

第2回 “万物の理論”の驚くべき予言


■今回の内容

>“万物の理論”の最有力候補である超弦理論はSF以上の極めて不思議な世界を予言する。まずは「多元宇宙」。ビッグバンから生まれた私たちの宇宙は実は唯一ではなく、無数に多くの“別の宇宙”が存在しうるという。また、未来や過去への時間旅行も可能だと考えられる。そしてブラックホールの中に入り込めば、別の宇宙への一足飛びの旅行も可能だという。“万物の理論”が指し示す、驚くべき世界を堪能する。

 その昔、宇宙は無限の広さをもち、かつ永遠の昔から存在する、と考えられていた。しかし、その場合、ある疑問が発生する。先の考えが正しいなら、地球は周りに無限に存在する星の光で照らされるので、夜空はまぶしく光り輝いているはずなのに、実際は暗いのは何故か? 作家のエドガー・アラン・ポーはアマチュア天文学者でもあったが、この疑問の答えを「宇宙の広さも年齢も有限だから」と考えた。それは正しかった。宇宙は138億年前「ビッグバン」で誕生した。



 ビッグバンの証拠は3つ。「赤方偏移」「ビッグバンの残り火」「元素の割合」。

 ドップラー効果により、遠ざかるものは赤く見え、近づくものは青く見える。天文学者ハッブルは、宇宙が我々の銀河系だけだけではなく、他にも多数の銀河がある事を発見した。さらにそれらの銀河は総て赤く見える、つまり赤方偏移していた。これは銀河が遠ざかっている証拠だった。遠い銀河ほど早く遠ざかるのは、風船に描いた点が離れているほど早く遠ざかるののと同じ。

 ビッグバンの残り火とは「宇宙マイクロ波背景放射」という絶対温度3度の電波。これは宇宙の全方向から届いている。

 宇宙の元素は水素75パーセント、ヘリウム25パーセント。これはビッグバンの理論から導き出される値と同じ。



 超弦理論から色々なことが予測される。

 「1 並行宇宙」。宇宙は11次元空間の中に浮いている泡的なもの。ビッグバンはある宇宙から別の宇宙が枝分かれして誕生すること。他の宇宙では物理法則が全く異なる可能性がある。ただし「超弦理論」はどの宇宙でも共通。

 「2 暗黒物質」。宇宙の物質の比率はさっき「水素75パーセント、ヘリウム25パーセント」と言ったが、あれはウソ。本当は「暗黒エネルギー73パーセント、暗黒物質23パーセント、残り4パーセントが水素とヘリウム」となる。暗黒エネルギーも暗黒物質も今のところ正体は不明。ただし存在することはわかっている。暗黒物質が無いと銀河系はひとつにまとまっていられないから。超弦理論では暗黒物質の正体は「高周波で振動する弦」ということになる。また「別の並行宇宙から11次元空間を越えて届いている重力」という説も有る。


 「3 異次元・ワームホール・タイムマシン」。超高速で回転するブラックホールは別の並行宇宙への入り口。タイムマシンも理論的には可能。しかし実現するにはブラックホール級のエネルギーとマイナスエネルギーが必要。もし過去に溯れたら歴史改変は可能か? 可能。その場合、別の歴史が枝分かれして発生する。



 超弦理論を使いこなせる文明とはどんなものか。学者は文明を3タイプに分けている。

(1)タイプI 惑星上のエネルギーを完全支配
(2)タイプII 恒星のエネルギーを完全支配
(3)タイプIII 銀河のエネルギーを完全支配

 タイプIIかIIIのレベルで無いとムリ。地球人は今のところタイプゼロである。


 ところで何故エイリアンは地球に来ないのか? 例えば、あなたがシロアリの塚を見つけたとき、シロアリと交渉して女王にあわせてくれと頼むだろうか? もちろんしない。それと同じで優れた技術を持つエイリアンがいたとしても、我々と接触して得られる利益が無いから無視するだろう。



■感想

 前回同様、話の上手い学者の面白トークレベルで、あまり歯ごたえはありませんが、面白いことは面白い。