【科学】感想:NHK番組「神の数式 完全版」第3回「宇宙はなぜ始まったのか ~残された“最後の難問”~」

神の数式 完全版 DVD-BOX

NHKオンデマンド | 神の数式 完全版 第3回 宇宙はなぜ始まったのか~残された“最後の難問”~
https://www.nhk-ondemand.jp/goods/G2014053661SA000/
放送 NHK BS1。全4回。

【※以下ネタバレ】
 

この世は何でできているのか。人類の究極の謎を解くとされる「神の数式」。ヒッグス粒子の発見で、その輪郭に迫った天才達の100年の苦闘を描く、4回シリーズ完全版。


出演者ほか
【出演】オジェル・ノザキ,【語り】小倉久寛


人類の思索の歴史。それは、全宇宙の謎を解く唯一無二の“神の数式”を追い求めた歴史でもあった。ニュートンアインシュタイン以来、科学者たちは「あらゆる自然現象は、最終的には一つの数式で説明できるはずだ」と信じてきたのだ。そしてノーベル賞を受賞したヒッグス粒子の発見によって、人類はその究極の数式の輪郭をつかもうとしている。2013年9月に放送し大きな反響を得た番組を4回シリーズの完全版として届ける。

 
前回:第2回
perry-r.hatenablog.com
 
 

第3回 宇宙はなぜ始まったのか ~残された“最後の難問”~ (2013年12月)

 

内容

神の数式 完全版 第3回「宇宙はなぜ始まったのか~残された“最後の難問”~」
[BS1] 2018年3月17日(土) 午後0:00~午後0:50(50分)


宇宙はなぜ始まったのか。アインシュタインやホーキングら物理学の巨人たちが挑んできた究極の謎。新たに登場した超弦理論は果たしてそれを説き明かす「神の数式」なのか。


ヒッグス粒子の発見によって、人類の「神の数式」の探索は新たな段階に入った。残された最後の難問「宇宙誕生の謎」に迫る物理学者たちの闘いを追う。素粒子の世界を支配する素粒子の数式と、大宇宙を統べる数一般相対性理論の統合は、アインシュタイン以来の夢だった。そのカギを握るのがブラックホール。新たに登場した超弦理論がその唯一の統合理論ではないか、と注目されている。車いすの天才ホーキングら天才たちの苦闘を追う


【出演】オジェル・ノザキ,【語り】小倉久寛

一般相対性理論の限界

 物理学者たちは宇宙を一つの式で表現できる「神の数式」を追い求めている。

 宇宙がビッグバンで誕生した瞬間は、ブラックホールの底と数学的に同じ。そのためブラックホールの底を数学的に表現できれば、宇宙誕生の瞬間が式としてあらわせる。

 宇宙については記述する式は「一般相対性理論」だが、一般相対性理論ではブラックホールは記述できない。というのは「《ブラックホールの奥底からの距離》と《空間のゆがみ》を現す式」を計算すると、ブラックホールの底、つまり奥底からの距離がゼロの場所では、分母がゼロになってしまい、答えが無限大=計算不能、になってしまうからである。一般相対性理論ブラックホールの底には通用しない。



●消せない「無限大」

 旧ソ連の物理学者マトベイ・ブロンスタイン(1906~1938)は、宇宙を現す「一般相対性理論」に、正反対の、ミクロの世界の素粒子を現す式を組み合わせれば、ブラックホールが記述できるのではないかと思いついた。ブラックホールは極限まで圧縮されたミクロの点だからである。

 しかし、計算するとやはり分母がゼロ、つまり無限大が現れてしまい、計算不能に陥った。正しい式同士を組み合わせたはずなのに何故計算不能に陥るのか? ブロンスタインは研究を進めたが、最終的に無限大が無限大個発生することになってしまった。その後ブロンスタインはスターリンによって、国家への反逆者として処刑されてしまった。



●「弦理論」の復活

 1970年代にこの無限大を解決する光明が見えてきた。それが「弦理論」で、簡単に言うと素粒子は粒、つまり大きさの無い点ではなく、輪ゴムのような形をしたものがぶるぶる震えている物、という考え方。この考えは現実と会わないため、1970年ごろに既に忘れられたものになっていた。

 「一般相対性理論素粒子の式」は「素粒子は大きさの無い点」として扱っている。物理学者ジョン・シュワルツは、点同士がぶつかると距離はゼロになる→つまり分母がゼロになる→つまり無限大が発生する、という流れで計算結果に無限大が生じることを発見した。

 しかしもし素粒子が点ではなく、輪ゴム的な「弦」であれば、衝突しても距離はゼロにならない、つまり無限大は発生しないのである。

 第四回に続く。
 ↓
perry-r.hatenablog.com


感想

 
 2013年9月21日・22日に、NHK総合NHKスペシャル枠で「神の数式」という番組が二夜連続で放送されたあと、同年12月に最新の情報を加えて全4話にアップグレードした「完全版」が全4回でBS1で放送されました。「完全版」の後半第3・4回は「車椅子の天才」ホーキング博士が登場していたのですが、先日3月14日に博士が亡くなったので、この度再放送されました。

 NHK総合で二夜連続バージョンを見た時、この番組はすんごい面白いと思っていたのですが(その時の感想がこちら)

感想:NHK番組「NHKスペシャル 神の数式」『第1回 この世は何からできているのか ~天才たちの100年の苦闘~』(2013年9月21日(土)放送)
http://perry-r.hatenablog.com/entry/20131006/p22

感想:NHK番組「NHKスペシャル 神の数式」『第2回 宇宙はどこから来たのか ~最後の難問に挑む天才たち~』(2013年9月22日(日)放送)
http://perry-r.hatenablog.com/entry/20131006/p21

  
 その後、「BS1」で「完全版」が放送されていたとは露知らず、で、今回初めて存在を知りました。

 「全4回」になっていたので、てっきり、NHK総合版の2回分に全く独自の3・4回目を追加したのかとワクワクしながら見たのですが、実際は「NHK総合版・第2回」を「BS1完全版・第3&4回」にした模様で、以前見た内容とかなりダブっていたのでガッカリ。でもこういう宇宙論話は大好きなので、ほぼ再視聴にもかかわらずかなり楽しめました。第4回も楽しみです。

続き 「完全版」第4回
perry-r.hatenablog.com
 
 

参考

NHK総合版 第1回
perry-r.hatenablog.com
NHK総合版 第2回
perry-r.hatenablog.com
  
神の数式 完全版 VOL.2 [DVD]