感想:特撮「ロボット刑事(劇場版)」(1973年)

ロボット刑事 Vol.1 [DVD]

東映チャンネル | ロボット刑事(劇場版) 2016年10月放送! http://www.toeich.jp/program/1TT000002912/201610
放送 東映チャンネル。2016年10月9日(日)放送。

【※以下ネタバレ】
 

http://www.toeich.jp/program/1TT000002912/201610
ロボット刑事(劇場版)


'73年夏東映まんがまつりの一編として公開された石ノ森章太郎原作のロボットアクション。TVシリーズ第1話『バドーの殺人セールスマン』から第12話『マザーが狙われる!』までを一部エピソードを除いて再編集。殺人ロボット組織バドーに立ち向かうロボット刑事Kは、警視庁特別科学室の新條、芝刑事と行動を共にする。Kは芝刑事の家に下宿。人間の命と平和を守るため、バドーの殺人セールスマンを次々と追い詰めるKの活躍を描く。


上映時間 26分
制作年度 1973
監督 奥中惇夫/内田一作/折田至
脚本 伊上勝/中山昌一/上原正三
出演 千葉治郎/高品格/紅景子/加賀由美子/千葉真一野田圭一(ナレーション)

 

あらすじ

 警視庁の新條・芝の両刑事の前に、刑事ロボット「K」が現われ、二人と共に捜査を行うことになった。同じ頃、犯罪組織「バドー」が暗躍を開始していた。バドーは犯罪を計画する人間と契約を結び、ロボットが犯罪を代行する代わりに利益を受け取っていたのだった。Kは様々な犯罪を実行するバドーロボットと対決し次々と打ち破っていった。

 そして、Kはロボット「ロッカーマン」を追い、ついにバドーの秘密基地へと突入する。しかしそれはKをおびき寄せ倒すための罠だった。Kはロッカーマンを倒したものの、エネルギーが底を尽いたところに、さらに新手の「スプリングマン」の攻撃を受ける。Kはなんとかその場を逃れ、基地「マザー」へと帰還しようとするが、その途中で(視聴者の知らない)謎の男が死に掛けているところに出食わし、形見だという万年筆を受け取る。しかしその男は実はバドーの一味で、万年筆には小形水爆が内蔵されており、Kがマザーでエネルギーを補給した瞬間爆発する仕掛けだった。新條刑事はそのことを知りKに連絡するが、時既に遅く水爆が爆発してしまう。

 ところが直後Kが新條たちを助けに来る。新條の連絡は届いており、Kとマザーは海中に逃れて無事だったのだった。Kはスプリングマンを倒すが、バドーの基地への入り口はなぜか消えていた。Kとバドーの戦いは続く。<完>


感想

 1973年に放送された「ロボット刑事」(全26話)の前半の総集編的映画。いやー、懐かしすぎる! 約40年ぶりに動いているロボット刑事を見ました。そしてオープニング曲が今聞いてもカッコイイ! 燃えます。


 ストーリーは、テレビの1クール分の内容を30分に圧縮してあるので、基本的に

1)殺人ロボット「●●マン」が現われた
2)しかし「●●マン」はKによって倒された
3)しかし続いて「■■マン」が出現した
(以下エンドレスでループ)

 という展開をナレーションで説明しつつ数分おきに繰り返すだけの忙しい内容です。しかしそれでも、とりあえずどんな感じの番組かというところはつかめましたね。内容をすっかり忘れていたので、これはありがたかったですよ。

 結構驚かされるのは、1973年に一話完結方式では無く続き物という形で放送していたらしいこと。「ナナツマンを倒したKの前に、刺客ロボット・コワシマンが現われ大ピンチに」とか「バドーがロッカーマンを使ってKを基地におびき寄せてエネルギー切れを狙い、さらにもう一段Kを騙して水爆を持たせてマザーごとの破壊を狙う」とか、30分に収まらない長めのストーリーを展開していたというのが凄い。この様な、スペシャル前後編で無い話で、話が複数回にまたがる、という構成は昭和では実に珍しいですよね。

 「ロボット刑事」で斬新と言えば設定面も進んでいます。バドーは自分で世界支配を狙うとかの荒っぽい組織では無く、あくまで「犯罪を犯したい人間に営業をかけて契約を結び、ロボットで犯罪を代行。そして犯罪のアガリから対価を頂く」というビジネスモデルの組織な訳です。これって21世紀でも通用する発想でしょう。これを40年前にやっていたって凄い。

 まあ、後半になるとバトーが自分で犯罪を実行しだした挙句、最終回は凄いことになるそうですが、少なくとも前半の展開は今でも古びていませんよね。バドーロボットのデザインがあまりにもあんまりなことを除けば、結構楽しめました。

 最近は昭和のコンテンツを今風の技術で蘇らせることが珍しくもなくなりましたが(マジンガーZとかサイボーグ009とかその他色々)、ロボット刑事って絶好のコンテンツだと思うのですけどね。ロボット刑事と犯罪代行業者の対決なんて、石ノ森風人間ドラマを濃く描けば今でもいけますよ。リメイクというかリブートというかを(まともなスタッフに)やってもらいたいですよよねぇ。

一言メモ

 劇中に千葉真一が、新條刑事の兄役として出演しています。その際のナレーションが「弁護士新條何とかを演じるのは、新條刑事役の千葉治郎の兄、千葉真一である」って言うのですが、そんな番組とは関係ないメタ情報必要あるのか…… 子供にとっては、心底どーでもいい話だと思うですけどね。基本的にナレーションは「●●マンもKの敵ではなかった!」とかいう内容なので、ここの説明だけ動く浮いていたですよ。


参考:バドーロボット一覧

・ワッカマン

 円盤が積み重なって人型になっているロボット。円盤を自由に分解・合体させることが出来る。Kの犠牲者第一号。


・テナガマン

 手を自由に伸縮させて、小さな窓から手を突っ込み人間を絞め殺したり出来る。背中から一輪車を出して走行可能。「がんばれロボコン」のロボコンの車輪ギミックを思わせる。


・ジリキマン

 強力な磁力を発する。デルザー軍団の磁石団長に似ている。


・カメレオマン

 プリズムで光を曲げ姿を隠すことが出来るが、Kの敵ではなかった模様。


・ナナツマン

 怪盗ロボット。優雅に熱気球で移動する。何がナナツなのか不明だが、多分盗みの道具が七つ有るという事かもしれない。


・コワシマン

 K破壊の為に送り込まれた刺客ロボット。左手がハンマー。ハンマーと踏みつけ攻撃でKを破損させる功績を挙げるが、リターンマッチで負けた。ちなみに新條刑事はこいつのハンマーに頭を殴られても怪我だけで済んでいる。新條が凄いのか、それともKかぜい弱なのか、どっちか解らん。


・ヒコーマン

 わきの下に傘みたいな羽がついていて空を飛べる。あんまり飛行するに相応しい体型には見えません。


・カミナリマン

 電撃を武器とするロボット。さすがにイナズマンではなかった。電気でKを苦しめたが結局は敗北した。


・コシカケマン

 巨大な椅子に化けて新型飛行機の情報を盗もうとした。椅子状態で女性を捕まえて坂を下っていくシーンはシュールすぎた。


・ロッカーマン

 ロッカーに手足が生えたロボット。人間をロッカーの中に閉じ込めて骨も残さずに消してしまうことが出来る。一見マヌケそうなデザインだが、オフィスに一人で居るときにいきなりロッカーに手足が生えて襲ってきたら結構怖いと思う。ところで、前述の様にロッカーは殺人装置なので、このロボットは胴体の中身が空っぽである。機械はどこに入っていて、どうやって動いているのだろうか。


・スプリングマ

 全身(頭も含めて)スプリングで出来ている。文字通りヘッドスプリングが可能で、ピョンピョン飛び跳ねてKを翻弄した。


 バドーはもう少し真面目にロボットをデザインするべきではなかろうか。


ロボット刑事 Vol.2 [DVD]