感想:NHK番組「シリーズ江戸川乱歩短編集Ⅱ 妖しい愛の物語」第3回「人間椅子」

人間椅子 (江戸川乱歩文庫)

シリーズ江戸川乱歩短編集Ⅱ 妖しい愛の物語 http://www4.nhk.or.jp/P3860/
放送 NHK BSプレミアム

【※以下ネタバレ】
 

エロスと幻想が交錯する独特の作風で、“日本ミステリーの父”とよばれる江戸川乱歩。初期の傑作短編を気鋭のクリエーターたちが映像化する第2シリーズ。第1回「何者」第2回「黒手組」第3回「人間椅子」。日本初といわれる“本格探偵小説”の中で、日常に潜む人間の本性が深く描き込まれている。悩める三角関係からの自演殺人、暗号から解き明かされる愛の逃避行、そして、背筋も凍る“歪んだ愛のカタチ”…シリーズを通して明智小五郎を演じてきた満島ひかりが、「人間椅子」では初めて妖艶な女流作家を演じる。

  
※第2シリーズ「妖しい愛の物語」の他のエピソードはこちら→ 第1回 何者 | 第2回 黒手組
 

第3回 人間椅子 (2016年12月28日(水)放送)

 

あらすじ

シリーズ江戸川乱歩短編集Ⅱ 妖しい愛の物語 第3回「人間椅子
12月28日水曜 午後11時15分~ 午後11時45分


満島ひかりが主人公を演じて話題となったシリーズ第2弾。人の入れる肘掛け椅子を作り、椅子の中から肉体の感触を楽しむ男。女流作家(満島ひかり)に男から手紙が届く。


江戸川乱歩の短編小説を気鋭のクリエーターたちが映像化する。演出は渋江修平。人気女流作家・佳子(満島ひかり)のもとに「奥様…」と語りかける奇怪な原稿が届く。そこには、人が入れる肘掛け椅子を作り、座る人の肉体を椅子の中から感じて楽しむ男の告白が書かれていた。その椅子はホテルで使われていたが、今はある洋館の書斎で使われているという。肘掛け椅子を前に身震いが止まない佳子に、もう一通封書が届く…。


【出演】満島ひかり,【朗読】中村靖日

 高名な女流作家(満島ひかり)の元に、原稿用紙に書かれた手紙が届く。その内容は「私」なる人物から彼女にあてた告白だった。


 「私」は貧しい家具職人の家に生まれ、しかも容姿が極めて醜かったため、およそ女性とは縁が無かった。やがて「私」は椅子作りの名人として有名となり、ある時、外国人が経営する外国人向け高級ホテルのための椅子作りを依頼される。「私」は突然の思い付きで、椅子の一つを、人間一人がその中に潜むことができるように作り変える。

 「私」は椅子に潜んでホテルに入り込み、人気が無くなるのを見計らっては盗みを働くようになった。しかし当初金品目的だった「私」は、そのうち椅子に座った赤の他人と皮一枚を隔てて接する、という事に異様な興奮を覚えるようになった。

 数か月後。ホテルは売却され「私」の入った椅子は競売にかけられることになった。「私」はこれを機会に逃げ出そうとも考えたが、外国人ではなく日本人女性と皮越しにでも触れ合ってみたい、と考え、あえてそのまま椅子生活を続けることにした。

 そして椅子はとある金持ちに買い取られた。その椅子を使うのは主人の妻であり、彼女は物書きのため、一日中「私」の潜む椅子に座り続けていた。「私」は彼女ができるだけ快適に過ごせるように、さまざまに工夫を凝らした。そして「私」が好意を持った女性こそまさに貴方で、もう皮越しの触れ合いだけでは満足できなくなった。この手紙は昨夜椅子を抜け出して、屋敷の外から投函した。ぜひ一目会ってほしい。もし私に会ってくれるなら、窓から見えるように合図をしてほしい。


 ここまで読んだ作家は恐怖のあまり思考が停止してしまうが、そこに女中が手紙を持ってくる。その手紙の文字は「私」の書いた字だった。作家が恐る恐る手紙を読んでみると、中には「先生の作品の愛読者です。自分でも小説を書いて別途送ってみたので読んでみてください。タイトルは『人間椅子』です」と書かれていた。


感想

 評価は○。

 三部作の第三話。作品名と「椅子に人が入っている」というアイデアはあまりにも有名だが、小説の内容そのものは全く知らなかったので興味津々で視聴したのだが、実に面白かった。

 乱歩風のフェチ全開話かと思いきや、最後の「実は全部フィクションでした~、てへぺろ」というオチで失笑してしまった。

 ちなみに今回は「私」の原稿が朗読劇のように延々読み上げられるだけで、満島ひかりのセリフはゼロだった。しかしその分を補うためか、スケスケの服を着た姿は、いつもの男装とは違ってすごく妖艶というかエロチックだった。


※第2シリーズ「妖しい愛の物語」の他のエピソードはこちら→ 第1回 何者 | 第2回 黒手組

※全エピソードの一覧はこちら→「シリーズ江戸川乱歩短編集」あらすじ・感想まとめ