感想:海外ドラマ「X-ファイル シーズン6」第3話「トライアングル」


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■ディーライフ/Dlife X-ファイル シーズン6 http://www.dlife.jp/lineup/drama/xfile_s6/
放送 Dlife。全22話。

【※以下ネタバレ】

※シーズン6の他のエピソードのあらすじ・感想はこちら→「X-ファイル シーズン6」あらすじ・感想まとめ

第3話 トライアングル TRIANGL

あらすじ

http://www.dlife.jp/lineup/drama/xfile_s6/
EP3 トライアングル
モルダーはバミューダ三角地帯に幻の豪華客船クイーンアン号が現れたとの情報を得る。だが、現場へ向かったまま行方不明に。ローンガンマンの3人がモルダーを捜しにいく。

 お題は「バミューダトライアングル、タイムスリップ」。


 大西洋サルガッソー海を漂流していたモルダーは、豪華客船「クイーン・アン号」に救助されるが、船員たちからはドイツのスパイ呼ばわりされる。船員たちは「今」が1939年9月3日というが、モルダーはこの船が時空の裂け目に入って1998年に現われたと主張し、ホラ吹きとみなされる。モルダーがラジオを聞くと、イギリスがナチスドイツに宣戦布告したニュースが放送されていた。直後、船はナチスドイツの兵士に占拠され、モルダーも捕まってしまう。

 一方、FBI本部にいたスカリーは、ローンガンメンの3人組から、モルダーが大西洋上で失踪したと聞かされる。その日の朝、モルダーは1939年に大西洋でUボート(ドイツ軍の潜水艦)に撃沈されたと伝えられるクイーン・アン号発見の知らせを聞き、すぐさま調査に向かうが、その後行方不明になったのだという。スカリーはスキナーに頼んで大西洋上の最新データをもらい、ローン・ガンメンと共に駆けつけてクイーン・アン号を見つけるが、内部には誰もいなかった。

 1939年のクイーン・アン号の中ではナチスドイツの兵士と乗客・乗組員との乱闘が始まっていた。モルダーは船内でスカリーそっくりのアメリカのスパイと出会い、この船はサルガッソー海に進路を戻さないと歴史が狂ってしまう、と言い残して海に飛び込む。モルダーが気が付くと病院で、モルダーは自分の体験を語るものの、全て妄想だと思われて信じてもらえないまま終わる。


監督 クリス・カーター
脚本 クリス・カーター


感想

 評価は△。


 シーズン5・第5話「プロメテウス」と同様、制作総指揮のクリス・カーターが脚本のみならず監督も担当したエピソード。そして「プロメテウス」同様にX-ファイルの名前を借りた何か別物になってしまったハズレ回で、さらに言うと、内輪のお遊びが酷い話でもあった。

 今回のテーマは超常現象マニアなら必ず知っている「魔の三角海域/バミューダトライアングル」で、導入部は、その海域の中に第二次大戦中に撃沈されたはずの船が出現し、モルダーが調査に向かう、という、シーズン2・第19話「歪み」を髣髴とさせるものとなっている。また、モルダーを追ってきたスカリーたちが、幽霊船と化したクイーン・アン号を発見する、というところも一緒である。

 ちなみに、バミューダ・トライアングルは、超常現象系のメディアでは「時空の歪み/異次元への穴がある」「海底にUFOの基地がある」「海底に古代文明の遺産が眠っている」などと紹介されるが、真面目なメディアによれば「遭難が多発する異常海域などは存在しない」という結論が出ている。しかしまあ、フィクションの中のネタとして楽しむ分には問題はないとは思う。


 それにしても、今回の話はテーマは面白いが展開が酷い。モルダーが過去1939年にタイムスリップした挙句、船内でナチスドイツの傲慢な兵士たちと対決する、という話に呆れ返ってしまったが、さらにお遊びのつもりなのか、船内にはいつものレギュラーキャラたちが別の役柄で登場しているのも、何か浮かれすぎという感じがする。配役は、


スカリー=アメリカの女スパイ
スキナー=ドイツ軍兵士。ただし何故かモルダーたちの命を助ける
スモーキング・マン=ドイツ軍兵士。四六時中タバコをすっている。
ジェフリー・スペンダー=ドイツ軍兵士。英語を喋り、モルダーを恫喝する
カーシュ=船員。機関室で働いている


 といった具合。こういう試みは面白いというよりおふざけ感のほうが強い。さらにモルダーがスカリーそっくりのスパイとキスするシーンが有るが、モルダーとスカリーの仲をやきもきして見つめていたファンへのサービスのつもりだったのだろうか。


 という事でモルダー側のタイムスリップ話はX-ファイルらしさが乏しく面白みにかけたが、序盤のスカリー側のFBI本部での物語はなかなか興味深かった。まずスカリーがカーシュの部屋に強引に入り込むと、部屋の隅にスモーキング・マンがいて、カーシュも秘密組織の手先だと判明するとか、スカリーが電話を取るとスモーング・マンからダイアナ・ファウリーへのもので、もうダイアナも真っ黒と解るなど、細かい点に面白みが感じられた。ちなみにスキナーは左遷されたとばかり思っていたが、単にモルダーとスカリーの上司では無くなったというだけで、普通に仕事をしていたので、一安心ではあった。

 スカリーはモルダーの行方を捜そうと、スキナーとカーシュのところに行くが失敗し、ついに思い余ってジェフリー・スペンダーに対して情報を持ってくるように命令するが、スペンダーが素直に了承して消えた後、すぐさまスカリーがカーシュから呼び出される展開には笑ってしまった。カーシュもスペンダーも敵なのだから、そうなるのは当然で、何故スカリーがスペンダーがいう事を聞くと思っていたのか、その理由が聞きたいくらいである。スカリーはスペンダーの事を「あの裏切り者!」と罵っていたが、信じるほうがどうかしていると言うべきだろう。

 最後は病室でモルダーがタイムスリップした事を必死で訴えているのに、スカリー&スキナー&ローン・ガンメンの全員がたわごと扱いして聞き流しているオチはユーモラスではあった。しかし全体的にお祭り気分の特別編の様なもので、X-ファイルのエピソードとしては評価しがたい回だった。