感想:海外ドラマ「X-ファイル シーズン8」第2話「サーチ・フォー・モルダー Part2」


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■ディーライフ/Dlife X-ファイル シーズン8 http://www.dlife.jp/lineup/drama/xfile_s8/
放送 Dlife。全21話。

【※以下ネタバレ】



※シーズン8の他のエピソードのあらすじ・感想はこちら→「X-ファイル シーズン8」あらすじ・感想まとめ

第2話 サーチ・フォー・モルダー Part2 WITHOUT

■あらすじ

http://www.dlife.jp/lineup/drama/xfile_s8/episode.html
EP2 サーチ・フォー・モルダー Part2
モルダーは追い詰められてギブソンを解放し、自分は崖から飛び降りる。ドゲットは崖の下によこたわるモルダーを確認するが、スカリーとスキナーが崖の下に降りると・・・。


 お題は「宇宙人による誘拐(アブダクション)」。


 第1話「サーチ・フォー・モルダー Part1」の続編。

 ドゲットはモルダーを捕まえようとするが、モルダーは崖から転落した後そのまままた消えてしまう。スカリーはドゲットに、その「モルダー」は、実は自在に姿を変える宇宙人が変身した姿だと主張するが、もちろんドゲットは信じない。しかし、その後「スカリー」が二人同時に現われたため、ドゲットも異常事態を認めざるを得なくなる。

 スキナーはドゲットに、今回ドゲットがモルダー捜索を命じられたのは、カーシュ長官代行の罠だと指摘する。優秀なドゲットが自分の地位を脅かすのを防ぐため、解決不可能な仕事を命じ、ドゲットを失脚させようとしているという。

 やがてスカリーとスキナーは姿をくらましていたギブソンを見つけ出し、怪我の治療のため病院に担ぎ込むが、そこにまたしても宇宙人の処刑人バウンティハンターが現われる。スカリーは格闘の末、バウンティハンターの首の後ろの急所を打ち抜き、倒す事に成功した。

 ドゲットは事件の顛末をカーシュに報告するが、カーシュは内容が三流SFだと叱責し、モルダーを見つけるまで帰ってくるなと命じる。結局ドゲットはX-ファイル課の担当に左遷されてしまう。一方、UFO内部では何人ものバウンティハンターがモルダーを取り囲んでいた。


監督 キム・マナーズ
脚本 クリス・カーター


感想

 評価は◎。


 FBIの常識派代表とでも言うべき立場のドゲットが、捜査の中で色々な異常事態に直面し、だんだんと宇宙人の存在を信じさせるを得なくなる過程が上手く描かれていて、なかなか面白いエピソードだった。また冒頭いきなりUFOが飛行するシーンが描かれたり、随所で透明化したUFOが潜んでいるシーンが映し出されるなど、今までのX-ファイルとは微妙にノリが違っていたのが、これはこれで新鮮だった。


 今回は、「主役」のドゲットたちが一般人代表のため、逆にスカリーが超常現象信奉者側の代表として、半分怒りながらドゲットたちに宇宙人の存在を主張するのだが、スカリーも随分キャラが変わってしまったなぁと嘆息したくなった。ドゲットたちに「そのモルダーは、実は自由に変身できる宇宙人である」とか「ギブソンは宇宙人と地球人のハーフである」とか大真面目に説明して、ドゲットたちはもちろん、味方のスキナーからも痛々しい眼で見られるのが、視聴者サイドとしてはちょっといたたまれなかった。モルダーなら、こういう突拍子も無い事を口にした後、周囲から頭がおかしいと見られても軽く受け流す余裕が有ったのだが、真面目なスカリーの場合は「何故信じないのか」といきり立って反論してしまうのが、却って危ない人に見えてしまうので実に辛い。まあ、スカリーがドゲットに「君がモルダーに見えてきたよ」と言われるシーンには、ちょっと笑ってしまったが。

 クライマックスでは、シーズン2から顔なじみの宇宙人処刑人バウンティハンターがついにスカリーに倒されてしまう。「怪力」「銃が通用しない不死身の体」「変身能力」「(ついでに)治癒能力」、というチート級の無敵キャラで、今までに散々モルダーたちを苦しめてきたキャラだけに、スカリーの目の前であぶくになって消えてしまうシーンは結構感慨深かった……、と思いきや、ラストシーンで、UFOの中にはバウンティハンターが何人もいたので爆笑してしまった。確かに宇宙人は変身能力があるのだから、クローンみたいにあの顔の宇宙人が何人いてもおかしくはないのだが、何が悲しくてあのゴリラ顔をみんなで共有しているのだろうか。


 X-ファイルの前後編は、シナリオライターが前後を通して読み直したりしないらしく、前編と後編で話が上手く繋がらない事が多々ある。今回もまたしかりで、前編でモルダーのクレジットカードが使用されて花が買われたり、モルダーの墓石がFBI本部に届けられた件について、後編でも全く説明が無かった。宇宙人がわざわざこんな事をするはずも無く、この一件はなんだったのだという事になるのだが、多分クリス・カーターは書いたことも忘れていたのだろう。